Web Syllabus(講義概要)

2019年度

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地方自治法Ⅱ(Local Autonomy Law Ⅱ) 内貴 滋
1年 後期 専門 基礎系選必 2単位
【地域・後期】 19-1-0804-1968

1.
授業の概要(ねらい)・ディプロマポリシーとの関連

前期で地方自治制度の基本事項を学んだことを受け、26才で取り組んだ財政課長としての予算編成から、法制の実務、総務部長、副市長、総務省審議官、消防大校長での経験を通じて、国と地方そして公務員をめぐる行政の実際と課題を学生の皆さんとともに考えます。また、機関委任事務の廃止に至る中央集権から地方分権への動きを振り返り、最近の市町村合併、道州制、そして地方自治法の抜本改正の動向を論じ、将来の日本を考えます。
そして、地方自治の母国と言われる英国を中心に、諸外国の自治制度との比較をしながら日本の特色を論じます。
この授業を通じてDP(2・3)に関する知識・技能・態度を習得します。また、毎回、アクティブラーニングとして学生の将来に備え公務員試験問題を実践的に解き学生との意見交換(ディスカッション)を実施します。また、総務省自治大学校客員教授としての授業内容も適宜取り入れます。なお、昨年は栃木県の部長になり実際の予算編成の現場の感覚を磨いてもらいましたが、今年も同様な取り組みを予定します。
本科目は、実務経験のある教員による授業です。担当教員は総務省及び出向した自治体(北海道庁・大分県庁・富山県庁・北九州市等)において多くの法律・条例を立案しまた現実にそれを施行し運用した経験を持っています。授業では国や自治体における公共政策の実際の政策や直面した課題などを題材とした議論等を行います。

2.
授業の到達目標

現在、我が国は地方自治を含む行政大改革の真只中にあります。
担当教官は、8年に及ぶ英国勤務(外交官、自治体代表)を含め行政官として総務省における法案の責任者として国会対策を担当するとともに、政令市の副市長、都道府県の総務部長として新卒採用・人事管理,組合交渉、予算編成、議会対策、法律・条例の立案の実務に幅広く携わるとともに、一村一品運動、ふるさと創生の企画・実施など、まさに地方自治に一生を捧げてきました。「東京だけが日本ではない。」自らのふるさとに誇りを持つことこそ真の発展に不可欠です。国際通訳ガイドでもあり、具体的な実務経験を通じての視点から、「地方公共団体の権能と運営の実態」を実践的に理解することで、学生はその一員である地域社会をより身近なものとし、住民の権利や義務に関連させて、地方自治の発展に寄与しようとする住民としての自治意識を醸成できます。
学生は公務員(国・県・市町村)を志すもののみならず、会社など広く各界を志望するものを対象に 生きている実例・法をともに学び、社会人への基礎を築くことが出来ます。

3.
成績評価の方法および基準・フィードバック方法

試験の成績で評価します。(100%)解答・評価はその後の授業等で解説しフィードバックします。

4.
教科書・参考書

 教科書  『英国地方自治の素顔と日本』2016年3月、ぎょうせい 内貴滋著ISBN978-4-324-10126-1
       
      (上記の文献は地方自治法Ⅰ・Ⅱの他 行政法I・Ⅱ、地方行政論Ⅰ・Ⅱ、公共政策論Ⅰ、
       地方財政論Ⅰ・Ⅱ、地方自治行政演習Ⅰ・Ⅱ、危機管理論(リスクマネージメント)の
       共通の主要参考文献です。)

 レジメ   LMSに掲載するのでダウンロードして持参のこと

5.
準備学修の内容・必要な時間

予習として各回の授業をLMSに掲載する授業資料を読み、専門用語の意味をまとめ持参すること。(1.5時間)
また、事後学習として単元のまとめとして配布する「君たちはどう考えるか」などの小レポートをまとめ提出すること。(1時間)
日頃から新聞やテレビなどで国民生活や政治問題などに関心を持ち、疑問をもってください。
毎回取り組む公務員試験問題を復習すること。(0.5時間)

6.
その他履修上の注意事項

若者としての夢と誇りをもって、ともに積極的に挑戦しましょう。

7.
授業内容

【第1回】
地域づくりの心-一村一品運動における国との戦い
【第2回】
住民の権利・義務(1)地域経済学科の学生は市長・知事に立候補できるか?
【第3回】
(2)我が国の選挙制度-議員定数の不均衡
【第4回】
(3)市議会の不正を知ったら
【第5回】
諸外国の自治制度-地方自治の母国「英国」は日本よりすぐれているのか?
【第6回】
県・市町村の主な行財政の現状と課題
(1)予算及びその編成過程と決定過程-26才の財政課長として
【第7回】
(2)あなたが栃木県の部長だったら
【第8回】
(3)国家財政と地方財政-国と地方はどちらが火の車か?
【第9回】
(4)交付税交付金と地方税-子供手当てのお金はどこから来るのか?
【第10回】
(5)監査制度と行政評価-あなたの故郷の通信簿は5それとも1で落第か
【第11回】
中央集権と地方分権の歴史
     (1)三位一体改革
【第12回】
(2)市町村合併
【第13回】
(3)道州制-県はなくなってしまうのか?
【第14回】
最近の地方自治をめぐる課題-法改正、都市制度など
【第15回】
まとめ
  学外授業として栃木県庁・県議会、宇都宮市・市議会などを訪問予定