Web Syllabus(講義概要)

2019年度

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行政法Ⅱ(Administrative LawⅡ) 内貴 滋
1年 後期 専門 地方自治・行政選択 2単位
【地域・後期】 19-1-0805-1968

1.
授業の概要(ねらい)・ディプロマポリシーとの関連

青信号だったのに赤信号を突破したと言われ、警察官から運転免許をとりあげられたら、どうしますか。こ具体的事例を通して、国民が国や自治体から理不尽な扱いを受けた場合の救済を学びます。
 また、英国に起源を持つ情報公開制度や行政手続きについても解説します。  
①行政不服審査法を中心に苦情処理、オンブズマン制度を含む行政上の不服申し立て制度の意義と本質を具体的事例に即し論じます。
②行政事件訴訟法の体系と基本を判例を含めて論じます。特にその中心である抗告訴訟をとりあげ、取消訴訟、無効確認訴訟、不作為の違法確認訴訟など訴訟類型に即して論じます。
③国家賠償法を中心に公権力の行使による国家賠償の基本的考え方を考察します。
この授業を通じてDP(2・3)に関する知識・技能・態度を習得します
なお、毎回、アクティブラーニングとして学生の将来に備え、公務員試験問題を実践的に解き学生との意見交換(ディスカッション)を実施します。総務省自治大学校客員教授、消防大学校長の経験を踏まえた授業内容を適宜取り入れます。
本科目は、実務経験のある教員による授業です。担当教員は総務省及び出向した自治体(北海道庁・大分県庁・富山県庁・北九州市等)において多くの行政関係の法律・条例を立案しまた現実にそれを施行し運用した経験を持っています。授業では国や自治体における行政の仕組みと基本的考えたの実際や直面した課題などを題材とした議論等を行います。

2.
授業の到達目標

現在、我が国は行政大改革の真只中にあります。
担当教官は、8年に及ぶ英国勤務(外交官、自治体代表)を含め行政官として総務省における法案の責任者として国会対策を担当するとともに、政令市の副市長、都道府県の総務部長として新卒採用・人事管理,組合交渉、予算編成、議会対策、重要政策の企画・実施、法律・条例の立案に幅広く携わり、まさに国・地方自治に一生を捧げてきました。この具体的な実務経験を通じての視点から授業を行います。
 地球温暖化、高齢化、グローバル化など国を取り巻く情勢が大きく変化し、国民ニーズが多様化する中で、行政の果たすべき役割は極めて多岐にわたっています。これらの情勢を踏まえ、公務員(国・県・市町村)を志す学生はもとより、NPO,民間企業での活躍を目指すものにも役立つよう、千数百を超える法律からなる行政全体を通ずる基本原理を個別行政をも具体的に論じながら、身近なものとして身につけることができます。
行政法Ⅱでは行政法Ⅰで学んだ基礎を踏まえ、国家や地方公共団体により、違法または不適正な行政活動が行なわれた場合の国民を救済する補償体系とその実際を学ぶことができます。

3.
成績評価の方法および基準・フィードバック方法

試験の成績で評価します。(100%) 解答はその後の授業等で解説・評価しフィードバックします。

4.
教科書・参考書

教科書   『英国地方自治の素顔と日本』、ぎょうせい 内貴滋著ISBN978-4-324-10126-1
     (上記の文献は地方自治法Ⅰ・Ⅱの他 行政法I・Ⅱ、地方行政論Ⅰ・Ⅱ、公共政策論Ⅰ、
       地方財政論Ⅰ・Ⅱ、地方自治行政演習Ⅰ・Ⅱ、危機管理論の共通の教科書です。)

レジメ   LMSに掲載するのでダウンロードして持参のこと

5.
準備学修の内容・必要な時間

日頃から新聞やテレビなどで国民生活や政治問題などに関心を持ち、疑問をもってください。
予習として各回の授業内容に該当する範囲をLMSに掲載する授業資料を読み、専門用語をまとめ持参すること。(1.5時間)
また、事後学習として単元のまとめとして配布する「君たちはどう考えるか」などの小レポートを提出すること。
毎回取り組む公務員試験問題を復習すること。(1.5時間)

6.
その他履修上の注意事項

若者としての夢と誇りをもって、ともに積極的に挑戦しましょう。

7.
授業内容

【第1回】
行政救済法の理念と体系
【第2回】
行政争訟(1) 行政上の不服申し立て意義と概要
【第3回】
行政争訟(2) 行政不服審査法 目的・基本構造・手続き・審理
【第4回】
行政争訟(3) 行政不服審査法の課題とその他の行政争訟
【第5回】
行政争訟(4) 苦情処理・オンブズマン制度と説明責任の本家である英国の制度
【第6回】
英米法の流れを汲む動き(1) 透明性と行政手続法
【第7回】
英米法の流れを汲む動き(2) 説明責任と情報公開法
【第8回】
行政事件訴訟(1) 行政事件訴訟法の意義と特色
【第9回】
行政事件訴訟(2) 司法権とその限界
【第10回】
行政事件訴訟(3) 抗告訴訟の概要
【第11回】
行政事件訴訟(4) 取消訴訟 基本構造・訴訟要件
【第12回】
行政事件訴訟(5) 取消訴訟 審理・執行停止
【第13回】
行政事件訴訟(6) その他の抗告訴訟:無効確認訴訟・不作為の違法確認、義務付け訴訟など
【第14回】
国家賠償法(1) 公権力行使にかかる賠償責任(2)営造物の瑕疵に基づく賠償責任
【第15回】
損失補償
 なお、学外授業として地方自治法履修者とともに栃木県・宇都宮市などを視察し、行政の実践を学びます。