Web Syllabus(講義概要)

2019年度

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農業経済学Ⅰ(Agricultural EconomicsⅠ) 加瀬 和俊
2年 前期 専門 地域経済系選択 2単位
【地域・前期】 19-1-0821-4203

1.
授業の概要(ねらい)・ディプロマポリシーとの関連

 この授業のねらいは日本の各種の農業の実態について基本的な理解を得た上で、農業経営の内容を農業従事者たちがより生きがいを感じ、インセンティブをもって仕事にいそしむことができる方向に改善していけるようにするための方策を考えることです。この目的にそうように、講義を中心にしながらも、必要に応じて映像を見たり、農家・地方農業公社・農協・自治体の農政課等にインタビューし、それぞれの場で奮闘する人々の問題意識・使命感を理解できるようにします。この科目は日々途切れることなく食料を供給している基礎産業のあり方を学ぶものであり、学科の DP1に対応しています。

2.
授業の到達目標

・耕地が均平であることと外部からの水の供給が不可欠である点で、欧州の畑作農業とは根本的に異なるアジア・モンスーン地帯の日本農業の特質を理解します。
・穀作・蔬菜作・畜産など各種の農業の生産・経営の実態を学び、生産者たちの生活・労働のあり方や経営戦略などを理解します。
・生産統計・経営統計等を活用して、各種の農業の経済・経営的な特徴点を諸外国の農業や日本の過去の農業と対比して比較し、その根拠について理解します。
・農業経営の基盤をなす農地の現況と農地政策について知り、面的な農地分布のあり方、農地利用度、農業政策による農地貸借市場の展開状況などについて理解します。

3.
成績評価の方法および基準・フィードバック方法

定期試験50%、小テスト30%、発表・レポート20%を目安として評価します。試験・レポートの後には、フィードバックとして、模範解答、設問・出題の意図、誤答とされる理由、得点の分布などについて講評します。

4.
教科書・参考書

教科書は使用しません。参考書はその都度、必要に応じて、入手しやすいもの・わかりやすいものを「ぜひ読むべきもの」、「読むことが望ましいもの」など重要度がわかるように紹介します。

5.
準備学修の内容・必要な時間

授業のたびに要旨を書いたプリントを配布しますので、復習として必ずその全文を読み返すとともに、使用されているキーワードの意味、他の概念との関連・相違点などを事典・用語辞典などで調べてノートに記録し、正確に活用できるようにします。また予習としては、毎回の授業の最後に翌週の授業のテーマ、今回と次回の授業の内容的な関連などについて解説しますので、それらの事項に関連して知っているキーワードの意味などをノートに書き出します。予習・復習の時間の目安としては、授業時間と同程度の時間が必要です。

6.
その他履修上の注意事項

 農業経済学は文科系の科目ですが、自然産業である農業を対象としていますから、連作障害、輪作体系、交雑種、土質のペーハー、人工授精技術など、自然科学的な知識も大いに必要になります。産業の内容を理解するために必要な範囲で、必要な領域の勉強をえり好みせずにしていきます。

7.
授業内容

【第1回】
国民経済の中の農林水産業
【第2回】
米作農業①ー農法の推移と論理
【第3回】
米作農業②ーコメの社会経済史
【第4回】
米作農業③ー米政策の推移と効果
【第5回】
各種の穀作農業の現状
【第6回】
蔬菜・花卉農業の論理と実態
【第7回】
果樹消費の推移と生産動向
【第8回】
畜肉業の実態ー規模拡大と労働生産性上昇に注目して
【第9回】
酪農業の実態ー消費・流通特性と乳価政策の影響にふれて
【第10回】
農地問題ー農地制度史と農地の所有・貸借問題
【第11回】
農地改良投資と収益性
【第12回】
農地政策と農地貸借の進行
【第13回】
農民層分解ー規模階層間の生産性格差の帰結
【第14回】
農地所有が消滅したらー漁業権の論理から農地問題を相対化する
【第15回】
テストとまとめ