Web Syllabus(講義概要)

2019年度

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農山村論Ⅱ(Rural EconomicsⅡ) 加瀬 和俊
2年 後期 専門 基礎系選必 2単位
【地域・後期】 19-1-0851-4203

1.
授業の概要(ねらい)・ディプロマポリシーとの関連

この授業では、第一に、消費単位かつ生産単位としての農家の特質を都市における核家族と対比して把握するとともに、第二に、過疎地農村を典型とする高齢者の多い地方自治体の行政の特徴点について学習します。農業の継承のためには土地資産が分割されることなく一人の後継者に相続される必要があるのに、戦後の日本社会は兄弟間の均分相続を定めていること、過疎地の自治体は財政力が限られているのに高齢化によって行政費用は都市や平場農村の自治体に比較して多額を要することといった不利な条件の下で、現実の農家がどのように農業生産と家計を維持し、農村自治体がどのようにして住民に要請される自治体事業を担っているのかを、いくつかの農村地域の実例をとりあげつつ検討していきます。上記の内容を実感をもって学修できるように、グループ学修の方式も必要に応じて採用します。この授業は学科のDP1,2に対応しています。

2.
授業の到達目標

・農村部における家族、村落内の人間関係の特質と、それが歴史的にどのように変化して今日にいたったかについて理解し、人口減少・少子化の下で、その点が今後どのように変化していくのかについて検討できる。
・相続法制の改訂、生活近代化運動の展開、家族農業協定の推進などの措置によって、戦後における農家の継承関係が大きく変化した事実について学び、今後のあるべき方向について構想することができる。
・人口減少・高齢化による行政需要の増加の趨勢の下で、零細な地方自治体とその職員たちがどのように奮闘してそれらの課題に応えようとしているか、国・県との協力関係がどの程度機能しているのか等について学び、あるべき地方行政の方向について考える力をつけます。

3.
成績評価の方法および基準・フィードバック方法

 定期試験50%、小テスト30%、発表・レポート20%を目安として評価します。試験、レポートの後には、フィードバックとして、設問・出題の意図、模範解答、誤答と例とそれが誤答とされる理由、得点の分布などについて講評します。

4.
教科書・参考書

 教科書は使用しません。参考書はその都度、必要に応じて、入手しやすいもの・わかりやすいものを「ぜひ読むべきもの」、「読むことが望ましいもの」など重要度がわかるように紹介します。

5.
準備学修の内容・必要な時間

 授業のたびに要旨を書いたプリントを配布しますので、復習として必ずその全文を読み返すとともに、使用されているキーワードの意味、他の概念との関連・相違点などを事典・用語辞典などで調べてノートに記録し、正確に活用できるようにして下さい。予習としては、毎回の授業の最後に翌週の授業のテーマ、今回と次回の授業の内容的な関連などについて解説しますので、予想されるキーワードをノートに書きだし、その大まかな内容についてノートに整理しておくようにします。予習・復習の時間としては、授業時間と同程度の時間が必要です。

6.
その他履修上の注意事項

 この授業は学際的な知識を必要とします。必要な説明は授業の中でしますが、関連する行政学、財政学、社会学などの授業で得た知識・考え方も積極的に活用して授業内容を理解するようにします。

7.
授業内容

【第1回】
家と村の永続性ー都市社会との対照性
【第2回】
農家生活の近代化過程
【第3回】
家族農業協定
【第4回】
農家世帯の継承と分離ー相続方式の変容にふれて
【第5回】
過疎地自治体の財政問題
【第6回】
過疎地自治体の決算カードを読む
【第7回】
家族自治体財政の補強策ー地方債、地方公営企業、第三セクター
【第8回】
農山漁村自治体の役割①ー医療過疎対策
【第9回】
農山漁村自治体の役割②ーごみ処理問題
【第10回】
農山漁村自治体の役割③ー災害対応
【第11回】
農山漁村自治体の役割④ー買物難民への支援と財政制約
【第12回】
農山漁村自治体の役割⑤ー放棄不動産問題
【第13回】
中山間地農業の実態と支援策
【第14回】
地方創生・過疎対策の論理と限界
【第15回】
テストとまとめ