Web Syllabus(講義概要)

2019年度

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先端制御工学 (Advanced Control Engineering) 芳谷 直治
2年 前期 専門科目選択 2単位
【専工前・前期】 19-3-1034-2016

1.
授業の概要(ねらい)・ディプロマポリシーとの関連

制御工学は産業革命以来、機械設備の自動化を目的として発展し、20世紀に入ってからは電気通信分野の発展にも大きく貢献しました。1960年頃には1入力1出力系を対象とした古典的制御技術が完成し、その後、多入力多出力系に適用可能で厳密な数学的理論に基づいた状態フィードバック制御理論が発展しました。
現在,社会の各分野における制御技術の必要性は年々高まっており、制御技術をより深く理解して応用することは、技術者にとって重要性を増しつつあります。この授業の第1のねらいは、高度な制御技術の基礎を理解して今後のさらなる発展に対応できるとともに、実システムでの問題解決ができるようにすることです。第二のねらいは、実習で用いる数値計算・シミュレーション用のフリーソフトウェア「Scilab/Scicos」(サイラブ/サイコス)の機能を理解して活用できるようにすることです。
この授業では,理工学研究科の学位授与の方針DP1に関する知識,技法,態度を習得します。

2.
授業の到達目標

PID(比例+積分+微分)制御などの古典的な制御技術について理解し,PID制御系の設計・調整ができる。
1960年以降に発展した状態フィードバック制御理論の概念と、その中の代表的手法である極配置制御と最適制御について理解し,制御系設計・調整ができる。
制御系設計・調整をフリーソフトウェア「Scilab/Scicos」を用いて実行できる。

3.
成績評価の方法および基準・フィードバック方法

授業中の小問題答案を50%、レポートを50%として評価します。
問題の解答は後の授業で説明するので,正解できなかった場合は,できなかった理由を必ず把握してください.

4.
教科書・参考書

教科書:
(1) 橋本 洋志,石井 千春,小林 裕之,大山 恭弘 共著「Scilabで学ぶシステム制御の基礎」, 
オーム社 (2007),ISBN978-4-274-20388-6 C3054,\2800+税 (おもに用いるテキスト)\2,940
(2) 橋本 洋志, 石井 千春 著 「Scilab/Scicosで学ぶシミュレーションの基礎」,
     オーム社,(2008),,ISBN978-4-274-20487-6,\2,940  (Scicosの説明と応用例を記載)
参考書:
(1) 木村 英紀:「制御工学の考え方」 講談社ブルーバックス (2002), ISBN-13: 978-4062573962, \950
(2) 佐藤 和也,平元 和彦,平田研二:「はじめての制御工学 改訂第2版」 講談社 (2018),
ISBN-13: 978-4065137475,\2,808

5.
準備学修の内容・必要な時間

本大学の学部での制御関連の授業は古典的制御技術が中心であり、この授業はその発展です。この授業の受講には,古典的制御技術の基礎と、複素数・微積分・微分方程式・線形代数(行列とベクトル)の基本を身につけていることが必要です。
 授業では適宜,復習に役立つ問題を出すので、その答案を必ず提出するとともに,授業で学んだ内容は必ず復習してください。(1時間以上) また、次回の授業予定を知らせるので、次回までに教科書等の該当部分に目を通し、わからない語句はできるだけ調べてノートに記して授業に臨んでください。(1時間程度)
当該期間に30時間以上が,上記の予復習,問題解答,レ,ポート作成に必要です.

6.
その他履修上の注意事項

おもに黒板による講義形式で進め、コンピュータ実習も取り入れます。授業中に小問題を出すこともあります。

7.
授業内容

【第1回】
システム制御入門:システム制御とは,フィードバックとは,
  古典制御と現代制御,制御技術者の心構え
【第2回】
制御工学の基礎(復習,プリント配布):
  微分方程式とラプラス変換・逆変換,伝達関数,制御系ブロック線図,
【第3回】
Scilab/Scicos入門(教科書(1)の2.1-2.11,教科書(2)の1.1-3.7):
  インストールと基本操作,プログラミング,ブロック線図,シミュレーション
【第4回】
システムの時間応答 [教科書(1)の5.1-5.3]
【第5回】
システムの安定性とPID制御 [教科書(1)の7.1,7.2,8.1-8.4]
  PID制御系構築,シミュレーション
【第6回】
Scicosの操作の習得とPID制御シミュレーション
  [Scicos使用,教科書(2)の3.1-3.7]
【第7回】
コンピュータ実習:PID制御 [Scicos使用,教科書(2)の8.1,プリント配布]
【第8回】
状態方程式(1) [教科書(1)の9.1-9.3]
  状態空間,伝達関数と状態方程式,システムの状態方程式表現
【第9回】
状態方程式(2) [教科書(1)の9.4-9.6]
  特性方程式と安定性,可制御性と可観測性
【第10回】
極配置と状態オブザーバ [教科書(1)の10.1,10.2]
  極配置制御・状態オブザーバの設計法と特徴
【第11回】
最適レギュレータ(LQ最適制御) [教科書(1)の11.1-11.2]
  最適レギュレータの考え方,2次形式評価関数と最適解,重み行列の設定
【第12回】
最適サーボ系 [教科書(1)の11.3]
  外乱抑制とロバスト性,拡大偏差系
【第13回】
最適サーボ,オブザーバを用いた最適制御のシミュレーション
  [Scicos使用,教科書(2)の8.2-8.3,プリント配布]
【第14回】
コンピュータ実習:最適サーボ系[Scicos使用,教科書(2)の8.2-8.3,プリント配布]最適レギュレータへの最適サーボ系の組み込み,重み行列変化による制御特性変化の把握,他
【第15回】
総合まとめ,演習