Web Syllabus(講義概要)

2019年度

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熱力学特論 (Special Thermodynamics) 森 一俊
2年 通年 専門分野選択 2単位
【専工後・通年】 19-3-1041-3009

1.
授業の概要(ねらい)・ディプロマポリシーとの関連

熱力学の概念や基本原理と身近な物理・化学現象とを関連させながら講義を進めます。熱力学が応用されている熱機関や機器類の効率や作動およびサイクルと、人類の生活にそれらの機器がどのように利用されとても大きな影響を与えている事を学びます。熱力学を理解し熱機関や機器類の効率向上を図る事、それらの機関や機器類を人類の英知を傾けきちんと利用する事、および地球温暖化を熱力学的に紐解く事で、地球の自然環境の循環性とその保全の為に、今後の人類のライフスタイルの提案に繋がるような講義を目指します。そのため、プレゼンテーション(3回)と討議・演習形式の講義を行います。この講義ではDP1~DP6についての知識、技術、態度を修得します。

2.
授業の到達目標

東日本大震災による福島第一原子力発電所の炉心溶融に伴う原子力への安全神話の崩壊は,世界中のエネルギー政策の将来の方向性を検討し直す契機となりました。そして、太陽光や風力を主体とする再生可能エネルギーの導入促進と共に、米国でのシェールガス革命に端を発し、天然ガスを含む化石エネルギーを主燃料とした政策も検討されつつ有ります。更には各種パワーユニットの電動化が急速に進みつつあります。熱力学は人類の文明の発展に大きく貢献する各種熱機関の基本原理となるエネルギー変換や熱の移動を取り扱う学問ですので、火力発電所のタービン、飛行機や船および自動車のパワーユニット、加えて原発や地熱および低温度差発電などのサイクル効率向上が必須となる今後は、これまで以上に熱力学の重要性が増すと思われ、熱力学の基礎概念や基本原理や熱力学が応用されているそれらの熱機関や機器類の効率向上がとても大切な事を学びます。そして地球温暖化問題を熱力学的に把握、熱学的機関としての地球の自然環境の循環性とその保全の大切さを理解する事を目標とします。従って学生は、熱力学に関する知識とプレゼンテーションスキル(技能)を身に付け、社会システムの基礎を担う熱力学の重要性を認識・議論する(態度)事が出来ます。

3.
成績評価の方法および基準・フィードバック方法

プレゼンテーションと討議の内容(60%)、課題への提出レポート内容(40%)で評価します。
提出されたレポート(課題演習)内容及びプレゼンテーション&討議形式の講義結果の評価結果を、コメントや補足説明を加えフィードバック(結果への評価を返却・解説)を行います。

4.
教科書・参考書

適宜資料を配布したり、参考書を紹介しながら講義を進めます。
基本となる参考書:「はじめて学ぶ熱力学」斉藤考基、浜口和洋、平田宏一、オーム社

5.
準備学修の内容・必要な時間

学部で熱力学を履修し、熱力学に興味を抱いて頂く方が良いでしょう。従って,参加型によるプレゼンテーションと演習・討議形式の講義を遂行します。
シラバスで次回の講義範囲を確認し、約1時間程度、LMS掲載の資料や教材&教科書を読み演習問題を解いて予備学修を行って下さい。また、約2時間程、学んだ内容を復修し講義で行った演習問題に取り組み、理解を深めて下さい。更に3回開催するプレゼンテーション&討議形式の講義には十分な時間を取って準備し、自身が満足出来る発表や質疑討論が行えるようにして下さい。

6.
その他履修上の注意事項

LMSへの掲載資料・教材にパワーポイントによる動機付けに続いて、演習・討議やプレゼンテーション形式の講義とし、理解度の向上と素養を身に付け、プレゼンテーション力とコミュニケーション力のポテンシャル向上に繋げます。更に、講義毎に、個人記録表を配布・記載・回収・チェック・返却する事で、講義の振り返りを実施し、教員の講義の質向上&改善、学生の講義内容の理解度向上、学生と教員間の意思疎通を図ります。

7.
授業内容

【第1回】
熱力学の歴史と熱機関・熱機器
     ・熱利用・熱力学の歴史および熱機関・熱機器の発明発見
【第2回】
熱エネルギーと仕事
     ・熱の仕事当量や熱機関における熱と仕事の関係およびエントロピーの定義
【第3回】
エネルギーの状態と変化
     ・物質の状態量変化と熱力学の第一,第二法則およびエネルギーの変化と流れ
【第4回】
理想気体の状態変化
     ・理想気体の状態式と内部エネルギー,エンタルピーとエントロピーおよび理想気体の状態変化
【第5回】
プレゼンテーションと討議(1)
【第6回】
熱機関のサイクル(1)
     ・カルノーサイクル,オットーとディーゼルサイクル
【第7回】
熱機関とサイクル(2)
     ・ブレイトンサイクルおよびスターリングサイクル
【第8回】
蒸気の状態変化
     ・相変化と乾き度および水の蒸気表とh-s線図
【第9回】
蒸気機関のサイクル(1)
     ・ランキンサイクル
【第10回】
蒸気機関のサイクル(2)
     ・再熱・再生・コンバインドサイクル
【第11回】
プレゼンテーションと討議(2)
【第12回】
冷凍とヒートポンプサイクル
     ・冷凍機とヒートポンプ
【第13回】
熱エネルギーの利用技術
     ・熱エネルギー源,熱を伝える技術および燃料の燃焼
【第14回】
エネルギーと地球の自然環境
     ・地球温暖化と熱力学
【第15回】
プレゼンテーションと討議(3)