Web Syllabus(講義概要)

2019年度

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地方行政論Ⅰ(Local AdministrationⅠ) 内貴 滋
2年 前期 専門 地方自治・行政選択 2単位
【地域・前期】 19-1-1433-1968

1.
授業の概要(ねらい)・ディプロマポリシーとの関連

世界に冠たる日本の地方行政制度を、世界とも比較し、注目されている地方自治体を経営するというガバナンスの観点から公務員行政の基本を優しく解説し論じます。
 そして、組織・人事のガバナンスとして地方行政の担い手である公務員制度を実際に起こった事件をとりあげ、その実態に触れ、具体的に考える姿勢を養います。また、現在論議の的となっている行政評価制度や監査・評価のガバナンスのあり方を論じます。また、、国家行政と地方行政の制度と実態を踏まえ国、県、市町村の統治構造や情報管理のあり方について幅広く実情と今後を展望し、この授業を通じてDP(2・3)に関する知識・技能・態度を習得します
担当教官は現在、自治体の地方創生委員会の委員長などを歴任するとともに、これまで、総務省の法令責任者や内閣府、大分県(地域振興課長、財政課長)、富山県(企画県民部長、総務部長),北九州市(副市長)において地方行政の責任者として実務を担ってきたので、それらの経験を伝えるとともに、総務省自治大学校教授としての授業内容も適宜取り入れます。毎回、アクティブラーニングとして学生の将来に備え「君たちはどう考えるか」を題材に学生との意見交換(ディスカッション)を実施します
本科目は、実務経験のある教員による授業です。担当教員は総務省及び出向した自治体(北海道庁・大分県庁・富山県庁・北九州市等)において『一村一品運動』『ふるさと創生』など地方行政に関する多くの政策を立案しまた現実にそれを実施した経験を持っています。授業ではこれらの地方行政政策の実際の立案や直面した課題などを題材とした議論等を行います

2.
授業の到達目標

住民にとって最も身近な基礎的団体である地方公共団体は、誕生の時の住民届けから始まり、保育所・幼稚園・小中高校の教育、病院、高齢者福祉など生涯にわたる基本的行政サービスの供給主体です。また、公共事業を通じて社会資本整備の担い手として国の2倍の歳出規模を誇る公的資本形成の主体でもあります。
 この「民主主義の学校」と呼ばれる重要な地方自治体をめぐり、最近、国の規制緩和や新しい公共の在り方など地方分権の動きが加速し、それを支える公務の担い手である職員の役割が重要となっています。その際には、特に、現在注目されている政府・自治体を経営するというガバナンスの観点から地方行政のありかたを捉えることが重要となっています。
この講義では、自治体をとりまく新しい動きをとらえながら、地域経済学科の学生に期待される、自治体を経営するという視点にたち、学生は地方行政を身近に論ずことを主眼として将来に役立つ人材としての基礎をつくることができます。

3.
成績評価の方法および基準・フィードバック方法

定期試験(70%)及びレポート(30%)で評価します。フィードバックとして解答はその後の授業等で解説・評価します。

4.
教科書・参考書

教科書    『英国地方自治の素顔と日本』2016年1月発行予定、ぎょうせい 内貴滋著ISBN978-4-324-10126-1
       (上記の文献は地方自治法Ⅰ・Ⅱの他 行政法I・Ⅱ、地方行政論Ⅰ・Ⅱ、公共政策論Ⅰ、
       地方財政論Ⅰ・Ⅱ、地方自治行政演習Ⅰ・Ⅱ、危機管理論の共通の教科書です。)

レジメ   LMSに掲載するのでダウンロードして持参のこと

5.
準備学修の内容・必要な時間

予習として各回の授業をLMSに掲載する授業資料を読み、専門用語の意味をまとめ持参すること。(1.5時間)
また、事後学習として単元ごとに配布する「君たちはどう考えるか」などの小レポートを提出するよう学習すること(1.5時間)


テレビ・新聞などを活用し、日常的な政府・自治体の動きに関心を持つように心がけてください。
公務員試験の確認問題を復習すること。

6.
その他履修上の注意事項

挑戦する気持ちを忘れずに。

7.
授業内容

【第1回】
オリエンテーション―国家行政と地方行政 変化する環境・地域の力-国の規制緩和
最近の国・自治体をめぐる構造改革の動き
      三位一体の改革、市町村合併、道州制
【第2回】
新しい公共 -民間活力活用・サッチャーから学ぶ (PPP・PFI・公共サービス改革法)
【第3回】
公の施設と指定管理者
【第4回】
公務員組織・人事のガバナンス-
     (1)県や市の採用・人事責任者としてどのような学生を採用するか(国家行政組織・地方公務員制度の法体系)
【第5回】
(2)ユダヤ人を助けた杉原千畝は公務員法違反なのか
【第6回】
(3)尖閣列島事件の海上保安官の行動は懲戒行為にあたるのか
【第7回】
(4)人事院 対 労働組合 (2011年政府との対立)
【第8回】
(5)警察官と消防士もストライキ?
【第9回】
(6)同期より出世が遅れたら,堤防決壊を防いで死んでしまったら
【第10回】
(7)人材育成ー自治大学校、地域づくりリーダー、地域おこし隊、リーダー養成塾
【第11回】
財政のガバナンスー財政健全化に向けて
【第12回】
情報管理のガバナンス - 情報公開条例・情報保護条例の現状と課題(説明責任)
     昭和天皇コラージュ事件と情報公開のありかた
【第13回】
監査と評価のガバナンス(1)監査制度の現状と課題-なぜ国は尖閣列島を20億で買えたのか?
【第14回】
(2)行政評価の仕組み―あなたの故郷の通信簿は5か1か?
【第15回】
統治構造のガバナンス(1)国と地方の関係(2)大都市制度の改正問題(3)地方議会と住民投票(4)議員報酬は必要か(諸外国は?)