Web Syllabus(講義概要)

2019年度

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地方行政論Ⅱ(Local AdministrationⅡ) 内貴 滋
2年 後期 専門 地方自治・行政選択 2単位
【地域・後期】 19-1-1445-1968

1.
授業の概要(ねらい)・ディプロマポリシーとの関連

担当教官は現在、国や自治体の地方創生委員会委員長など多くの審議会・委員会の歴任し、我が国の最重要課題に位置付けられる「地方創生」「地域づくり」に深く関与して来た。そこで、地方行政論Ⅰに続き、地方行政の実情と具体的な地域振興・地方創生政策をわかり易く講義します。具体的には「地方創生」の制度と実情・課題を論じます。また、全国総合開発計画と地域計画の歴史を振り返るとともに、過疎・辺地、人口過密などの地域課題を是正し、均衡ある国土の発展を図るための地方行政の体系を論じます。また、基礎的行政区域を越える圏域行政の必要性と対象事業を論じ地域計画の策定のありかたを学びます。さらに、定住自立圏、構造改革特区、新産業創出促進法、PFI、新しい公共など最新の地域計画の動向や、自ら担当した地域づくり政策(地域振興の実践事例―例「1村1品運動」、「ふるさと創生」事業、地域国際化計画)を取り上げ、それぞれの地域の特性と目指すべき政策意図を検証します。そして、比較地域論―ニュータウンから広域圏都市―EUと英国の諸施策)も論じ、世界の地方行政の動向を学びます。以上の授業を通じてDP(2・3)に関する知識・技能・態度を習得します
なお、毎回、アクティブラーニングとして学生の将来に備え「君たちはどう考えるか」を題材に学生との意見交換を実施します。また、総務省自治大学校客員教授としての地方自治体の実例を論じる授業内容も適宜とりいれます。
本科目は、実務経験のある教員による授業です。担当教員は総務省等及び出向した自治体(北海道庁・大分県庁・富山県庁・北九州市等)において文科省所管のJET事業の立案等地方行政の多くの政策を立案しまた現実にそれを施行し運用した経験を持っています。授業ではこれらの実際の行政政策の立案の考え方や実際に直面した課題などを題材とした議論等を行います。

2.
授業の到達目標

 我が国にとって最も重要な課題は中央集権体制から地方分権体制に移行し、「国土の均衡ある発展」と「それぞれの特色を活かした地域の振興」を図り、「地方創生」を実現することです。そのため地方行政はこれまで様々な変遷を経てきましたが、本授業を通じて学生が我が国の国土の認識を深めるとともに、各地域の地理的・歴史的条件の違いにも思いを致し、どこの地域に住んでいても自らのふるさとに愛情と誇りを持ちうる積極性を担うことができるようになります。特に、現在は地域から人材・資金が流出する中央集権型の社会構造から「地域の自主性と創造性を高める地域主権型社会」への転換期にあり、まさに本学科が発展するのに相応しい時期にあたっています。
 担当教官は総務省の法令責任者や内閣府、大分県(地域振興課長、財政課長)、富山県(企画県民部長、総務部長)、北九州市(副市長)において一村一品運動、新産業都市建設計画、過疎地域振興計画、国土総合開発計画、災害対策基本計画、地域国際化計画などの多くの地域計画を実際に担当し実施してきたので、それらの経験を伝え,現在の地方創生の実情と課題を論じ、地域経済学科の学生にとって重要な政府・自治体の地方行政政策を幅広く学びます。

3.
成績評価の方法および基準・フィードバック方法

定期試験(70%)及びレポート(30%)で評価します。解答はその後の授業等で解説・評価しフィードバックします。

4.
教科書・参考書

教科書 『英国地方自治の素顔と日本』、ぎょうせい 内貴滋著ISBN978-4-324-10126-1
     (上記の文献は地方自治法Ⅰ・Ⅱの他 行政法I・Ⅱ、地方行政論Ⅰ・Ⅱ、公共政策論Ⅰ、
      地方財政論Ⅰ・Ⅱ、地方自治行政演習Ⅰ・Ⅱ、危機管理論の共通の教科書です。)

レジメ LMSに掲載するのでダウンロードして持参のこと

5.
準備学修の内容・必要な時間

予習として各回の授業内容に該当する範囲をLMSに掲載する授業資料を読み、専門用語のまとめ持参すること。(1.5時間)
また、事後学習として単元のまとめとして配布する「君たちはどう考えるか」などの小レポートを提出すること
(1.5時間)
テレビ・新聞などを活用し、日常的な政府・自治体の動きに関心を持つように心がけてください。
自らのふるさとに関心を持ち、新聞、テレビなどを通じて国、県、市町村の計画行政の動向に注意するようこころがけてください。

6.
その他履修上の注意事項

挑戦する気持ちを忘れずに

7.
授業内容

【第1回】
オリエンテーション
【第2回】
私が企画した「一村一品運動」・「ふるさと創生」そして「地方創生」の目指すもの
【第3回】
 国土づくりの歴史(全国総合開発計画、田園都市構想、三全総など)と法体系(国土形成計画法)
【第4回】
地方分権時代の地域計画の理念と意義 
【第5回】
均衡ある国土の発展への課題 (1) 過疎・辺地の振興
【第6回】
 (2) 人口密集地域の振興
【第7回】
(3)地域産業の振興(1)
【第8回】
(4)地域産業の振興(2)
【第9回】
 君たちはどう考えるか―公害問題とその克服の歴史―北九州市の環境首都政策
【第10回】
地域の特性を活かした地域づくり政策 (1)ふるさと創生と地方創生
【第11回】
(2)観光振興
【第12回】
(3)ソフト政策―富山博覧会
【第13回】
(4)地域の国際化―JET事業
【第14回】
所得格差・地方税源の偏在・財政力格差とその是正―地域計画を支える財源、行政投資実績
【第15回】
日本の都市と海外の地域比較 -地方都市整備と世界の都市の力