Web Syllabus(講義概要)

2019年度

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航空機構造学(Airframe Structural Design, Basic) 平本 隆
3年 後期 専門基礎科目選必 2単位
【航空・後期】 19-1-1487-3035

1.
授業の概要(ねらい)・ディプロマポリシーとの関連

航空機構造では、軽量化が大きな目標になります。合理的に効率良くその目的を達するためには、部位や部材に合った構造法、設計法があります。講義では航空機構造設計の解析方法を理解することを目的としています。したがって、基本的には物理法則、材料力学の理解が必要になります。一方、航空機設計を行う者に必要な心構えに美的感覚があります。それは、時には理論面より感覚的な理解を求めることもあります。この感覚を育てるには、図面から構造設計者の意図を思索することが有効な方法です。講義では、航空機構造における設計者が考えるであろう荷重の流れ、伝達に留意しながら、いろいろな構造に対する設計法を学びます。
この講義では、DP1に関する知識、技法を修得します。
本科目は、実務経験のある教員による授業です。担当教員は企業において、航空機設計(特に固定翼機、回転翼機の構造設計)業務に携わっており、授業では、企業における実例や実体験、現場での課題などを題材とした議論等を行います。

2.
授業の到達目標

本講座では、航空機の構造設計に特に必要な事項を取り上げ、航空機構造設計の基本的な考え方を修得することを目標とします。
①非対称断面の断面特性を計算でき、内部荷重を求めることができる
②薄板構造の曲げ捩り解析ができる
③自由体図を使って部材間の荷重の受け渡しを表現し、内部荷重分布を求めることができる
④圧縮部材に対する計算法(補強板の有効幅等)を理解できる
⑤剪断座屈後の強度を評価する張力場に関する計算ができる
⑥繰り返し荷重に対する疲労設計、耐損傷許容設計の考え方を理解し、疲労強度計算ができる

3.
成績評価の方法および基準・フィードバック方法

適宜実施する課題(30%)と期末に実施する試験(70%)によって評価します。
課題および講義で扱う例題については、解答・解説を示します。

4.
教科書・参考書

講義で使用するテキストは、LMSで提示するとともに主要部分を適宜配布します。

また、航空機構造設計法の理解に有益な参考書を示します。
 「航空機の構造力学」、新沢順悦他著、産業図書、ISBN 978-4782840740
 「航空機構造力学」(改訂新版)、小林繁夫著、プレアデス出版、ISBN 978-4903814674

5.
準備学修の内容・必要な時間

講義で使用する資料はLMSで掲載しますので、予復習をしてください。(30分から1時間)
また、提出課題とは別に演習例題も示しますので、課題回答の参考にしてください。

6.
その他履修上の注意事項

本講義は、「航空工学概論」、「固体の力学1・2」、「航空機設計」の講義内容の延長線上にあります。したがって、必須条件ではありませんが、これらを履修していることが望ましい。
また、設計計算は実際に自分でやっみることが肝要です、解答を読むだけでは理解できませんので、例題や課題はまずは自分で解くことを心掛けてください。

7.
授業内容

【第1回】
構造設計の基本:航空機構造の特徴、構成する部材要素の基本的な役割などにいついて理解する
【第2回】
航空機に作用する荷重:航空機の運用中に不可される荷重について、滞空性審査要領等を含め学ぶ
【第3回】
断面特性:構造設計を考える上で基本となる部材の断面特性について学ぶ。また、曲げによって発生する応力(曲げ応力)を考える
【第4回】
捩り:丸棒の捩りから薄板の捩り、閉断面の捩り、さらにはマルチセル構造の捩りを考える
【第5回】
曲げによる剪断応力:基本的な2軸対称断面梁から翼断面まで剪断荷重を受ける構造の曲げによる剪断応力の計算法を学ぶ
【第6回】
非対称梁:実機構造で多く見られる非対称梁に対する荷重負荷について学ぶ
【第7回】
自由体図と剪断場:フランジとウェブで構成される一般的な航空機構造について、自由体図の考え方に基づいて、板場の剪断流および軸力部材の荷重分布について学ぶ
【第8回】
曲面剪断場:曲面ウェブ構造を剪断場理論に従って解く。また、一般的な航空機構造様式であるセミモノコック構造およびボックスビームの解析方法を理解する
【第9回】
航空機構造の静強度、曲げ破壊強度:構造設計における静強度の考え方および、曲げを受ける部材の塑性後の強度の考え方について学ぶ
【第10回】
圧縮部材の座屈(1):基本的な柱の曲げ座屈から塑性座屈を考慮した実用公式、横荷重を受けた場合の座屈など航空機設計で使われる座屈計算を学ぶ
【第11回】
圧縮部材の座屈(2):主翼外板等に使われるスティフナーが配置された補強パネルの圧縮について学ぶ
【第12回】
圧縮部材の座屈:柱や平板、曲面板に圧縮荷重を負荷した場合に発生する座屈現象とその強度評価について学ぶ
【第13回】
結合接手の強度:航空機構造で使われる、剪断継手、引張継手の強度計算法を学ぶ。また、接着継手についても設計の考え方を示す
【第14回】
張力場:航空機構造に多用される薄板で剪断荷重を分担する構造様式の計算法を学ぶ
【第15回】
航空機構造の疲労強度:航空機構造の疲労について、安全寿命設計の基本となる疲労寿命計算法、および、耐損傷許容設計の基本となる破壊力学の基礎を学ぶ