Web Syllabus(講義概要)

2019年度

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人工知能(Artificial Intelligence) 山根 健
3年 後期 専門科目選択 2単位
【情電・後期】 19-1-1519-3192

1.
授業の概要(ねらい)・ディプロマポリシーとの関連

人工知能(Artificial Intelligence、AI)を新しい視点で概観し、その技術について学びます。また、AIの未解決問題について理解を深めます。さらに、我々人間とAI、社会とAIについて考えます。なお、本授業はグループワークを中心に完全に学生主体で進みます。

この科目は、DP4C、DP4Mに関連します。

2.
授業の到達目標

本授業はコンピュータ科学の応用技術であるインテリジェントシステムの理解とその知識や技術を応用する力を身につけることを目標としています。具体的には以下のことを目標とします。

学生は,

(1)人工知能(AI)とはどのようなものか説明できる
  (1-1)AI研究の歴史について説明できる
  (1-2)古典的なAIの手法について理解して、Toy problemを解くことができる
  (1-3)新しい技術についても調べて説明できる

(2)AIの未解決問題について説明できる
  (2-1)シンボルグラウンディング問題について説明できる
  (2-2)フレーム問題について説明できる
  (2-3)身体性の問題などその他の技術的、哲学的問題についても調べて説明できる

(3)人間・社会とAIの関係について考える力を身につける
  (3-1)AI研究の未来について考える力を身につける
  (3-2)AIと法律、倫理について考える力を身につける
  (3-3)我々とAIの良い関わり方について自分の意見を言えるようになる

3.
成績評価の方法および基準・フィードバック方法

期末試験における60%以上の理解を前提として、毎回の成果物(2点×15回)、中間試験(30点)、期末試験(40点)によって成績を評価します。なお、特別課題に取り組んだ場合はこれらに加点します。原則として、再試験は行いません。また、14回終了時に授業を5回以上欠席している場合、特別な理由がない限り期末試験の受験資格を失います。

授業中は担当教員に随時質問をすることができますし、課題に取り組む場合も担当教員と相談しながら進めることができます。それらの成果物、試験の結果などについては、学生からのアクションがあればコメントとともにフィードバックします。また、授業で回答できなかった疑問や質問、コメントに対しては、LMSを利用して答える予定です。

4.
教科書・参考書

2019年度も「三宅陽一郎、森川幸人、絵でわかる人工知能、サイエンス・アイ新書、ISBN978-4-7973-7026-3」を教科書として用います。この図書には技術的な内容が詳細に書かれているわけではありませんが、人工知能(AI)の分野を既存の教科書とは異なる新しい視点で眺めることができます。様々なキーワードを手がかりに、適時、資料などを用いて理解を深めていきます。また、LMS上にアップロードされたコンテンツ、配布資料などを利用します。

なお、いわゆる教科書を手にしたい学生は、「小林一郎、人工知能の基礎、サイエンス社、ISBN978-4-7819-1217-2」を使用してください。この図書は図表などを用いてわかりやすく説明があります。あるいは、もう少し柔らかい本を希望する学生は、「戸内順一、新図解人工知能入門、日本理工出版会、ISBN978-4-89019-516-9」を手にしてください。この図書は理工系ではない人にも読みやすいのではないかと思います。

さらに勉強したい学生に対しては、「谷口忠大、イラストで学ぶ人工知能概論、講談社、ISBN978-4-06-153823-8」、脳とAIの関連について「甘利俊一、脳・心・人工知能、講談社、ISBN978-4-06-257968-1」、AIの未解決問題について「星野力、ロボットにつけるクスリ、アスキー出版局(絶版のためAmazonなどで中古で入手してください)」などを参考図書として挙げておきます。その他の図書についてはLMS上で紹介します。

5.
準備学修の内容・必要な時間

第1回はガイダンスを行いますので、必ずシラバスと教科書(p.8-30)を読んできてください。

第2回以降では、まず、教科書において次回のテーマに関する章を読んで予習をします。ここで不明な専門用語や手法については、他の文献で十分に調べて理解しておきましょう。つぎに、授業の後半に次回のテーマに関する宿題が出題されますので、次の授業までに必ず取り組んで授業に臨んでください。ここで不明な点があれば次の授業までに担当教員に相談するようにしましょう。最後に、授業後に成果物を提出して、再度、教科書を読んで復習します。新たに調べる必要が出てきたら積極的に調べて理解を深めましょう。1回分の目安としては、予習1.5時間、授業1.5時間、復習1.5時間です。

また、LMS上には特別課題(任意課題)を出題します。やる気のある学生はそれらにも取り組んで、レポートの形でLMSに提出してください。試験や課題の結果はできる限り全てLMSの成績表から確認できるようにしますので、確認後、フィードバックの詳細やその後の対応について相談が必要な場合は個別に担当教員に問い合わせてください。

6.
その他履修上の注意事項

各回の授業内容はグループワークの進捗や理解度などから前後することがあります。また、本授業は、教員が板書したりスライドを見せながら展開するようなパッシブ方式ではありません。授業までに学生自身が準備してきたことに基づいて、学生同士で議論しながら学んでいくアクティヴ方式を採用します。授業内外において積極的に活動することを期待します。

授業を休んだ場合は必ずそれを補う行動を取ってください。例えば、グループワークの内容、次回のテーマおよび宿題について友人や教員に確認してください。必要であれば自主的に課題に取り組んで、レポートの形で提出してください。なお、本授業では、5回以上欠席すると「無資格」とするかどうかをこれまでの取り組み状況に基づいて検討しますので注意してください。

この科目はJabeeプログラムの必修科目で、学習・教育到達目標中項目5-1に対応しています。

7.
授業内容

【第1回】
ガイダンス、人工知能(AI)とは?:授業のガイダンス、知能・AIの定義、AI研究の目的など
【第2回】
AIの歴史:AI誕生(ダートマス会議)、古き良き時代、冬の時代、AIブーム、シンギュラリティなど
【第3回】
学習したり進化するAI:機械学習、強化学習、遺伝的アルゴリズム、人工生命、ディープラーニングなど
【第4回】
人間の能力を超えるAI:エキスパートシステム、テーブルゲームAI、特化型AIなど
【第5回】
人間の脳を手本にするAI:ニューラルネットワークなど
【第6回】
ビックデータから予測するAI:データマイニング、検索アルゴリズム、ベイズの定理など
【第7回】
ゲームAI:ゲーム理論、モンテカルロ木探索、ミニマックス法など
【第8回】
AI再考:AIの歴史や技術についての振り返り、中間試験
【第9回】
記号表現を用いないAI:サブサンプション・アーキテクチャ、ファジイなど
【第10回】
言語を操作するAI:自然言語処理、機械翻訳、会話エージェントなど
【第11回】
その他の様々なAI:意思決定アルゴリズム、生物を模倣するAIなど
【第12回】
AIの大きな問題1:シンボルグラウンディング問題、身体性の問題など
【第13回】
AIの大きな問題2:フレーム問題など
【第14回】
AIと未来:人間とAI、生活とAI、経済とAIなど
【第15回】
まとめ:AIの未解決問題についての振り返り、期末試験