Web Syllabus(講義概要)

平成31年度

ひとつ前のページへ戻る 教授名で検索

 
情報制御工学(Control Engineering with Information Technology) 芳谷 直治
1年 テキスト授業通年 専門科目選択 2単位
【専通・通年】 19-3-1717-2016

1.
授業の概要(ねらい)・ディプロマポリシーとの関連

 社会の各分野における制御技術の必要性は年々高まっており、制御理論や制御技術をより深く理解して応用することは、重要性を増しつつあります。一方,近年の情報技術(IT, Information Technology)の飛躍的発展に伴い,コンピュータ・ソフトウェアを用いた制御系設計・シミュレーションが個人のPCで容易に実行可能となりました。制御理論や制御技術の習得にこのような情報技術を活用すれば,実際の制御系設計・調整を模擬体験することができ,理解を深めるのに大変役立ちます。
 この講義では、制御工学の基本を復習した後,基本的な制御手法であるPID制御を習得します.その後,制御性能の向上・最適化を目指して1960年代以降に発達した状態フィードバック制御,最適制御,状態オブザーバーについて学びます。
 受講者は,数値計算・シミュレーション用のフリーソフトウェア「Scilab/Scicos」(サイラブ/サイコス)を自分のWindows PCにインストールして,これを用いてテキストの例題や演習問題,レポート課題を解きながら,内容の理解を深めていきます.Scilab/Scicosの使用法を習得すれば,制御工学以外の種々の解析にも役立ちます。
 この授業の第一のねらいは,PID制御,状態フィードバック制御,最適制御,状態オブザーバーの基本を理解して今後のさらなる発展に対応できるとともに、実システムでの問題解決ができるようにすることです。第二のねらいは,Scilab/Scicosを活用できるようになることです。
注)ScicosはScilabに含まれ,ブロック線図作成・シミュレーションソフトウェアです。
この授業では,理工学研究科の学位授与の方針DP1に関する知識,技法,態度を習得します。

2.
授業の到達目標

PID(比例+積分+微分)制御などの古典的な制御技術について理解し,PID制御系の設計・調整ができる。
1960年以降に発展した状態フィードバック制御理論の概念と、その中の代表的手法である極配置制御と最適制御について理解し,制御系設計・調整ができる。
制御系設計・調整をフリーソフトウェア「Scilab/Scicos」を用いて実行できる。

3.
成績評価の方法および基準・フィードバック方法

レポート課題の答案を30%,科目習得試験答案を70%として評価します。
レポート答案については,コメントを記入してフィードバックします。

4.
教科書・参考書

受講者は,つぎの3冊の購入が必要です。
1)主テキスト: 橋本 洋志,石井 千春,小林 裕之,大山 恭弘 共著「Scilabで学ぶシステム制御の基礎」,オーム社 (2007),ISBN978-4-274-20388-6 C3054,\2800+税 (おもに用いるテキスト)
2)副テキスト1: 橋本 洋志, 石井 千春 著「Scilab/Scicosで学ぶシミュレーションの基礎」,オーム社, (2008) ,ISBN978-4-274-20487-6,\2800+税  (Scicosを用いた実習に利用)
3)副テキスト2: 日本機械学会 編「演習 制御工学」,日本機械学会 (2004),ISBN978-4-88898-114-9 C3353, \1714+税,(学習事項の整理と演習問題に利用)

5.
準備学修の内容・必要な時間

 本講義の受講には,フィードバック制御・ブロック線図・ラプラス変換・伝達関数・制御系の時間応答・周波数応答など,制御工学の基本と,複素数・微積分・微分方程式・線形代数(行列とベクトル)の基本を理解していることが必要です。前項の主テキストと副テキスト1には,これらの必要事項についての解説もある程度記載されています。これらの知識が不十分な場合は,テキストの他,各分野の参考書などを用いて,準備学修をしてください。各回の準備学修に1時間以上が必要であり,当該期間に30時間以上が,準備学修,学んだ個所の復習,練習問題解答,レポート作成に必要です.

6.
その他履修上の注意事項

受講者は,Scilab/Scicos(フリーソフト&オープンソース,フランスの国立研究所が開発)をWindows PCにインストールして用いることが必要です。
・Scilab/Scicos機能:数値計算,シミュレーション,ブロック線図作成 他
・Scilab/Scicosの紹介:http://www.geocities.jp/rui_hirokawa/scilab/ などに記載. 
・Scilab/Scicosのダウンロードとインストール:http://www.scilab.org/ または本科目のLMSサイトにアクセスして行なう.

7.
授業内容

【第1回】
Scilabのダウンロードとインストール,およびScilabとScicosの基本操作の習得
[主テキストの1, 2章;副テキスト2の2,3章参照]
【第2回】
複素数,ラプラス変換・逆変換,伝達関数,ブロック線図の復習 [主テキストの3, 4章]
【第3回】
時間応答と周波数応答の復習 [主テキストの5, 6章]
【第4回】
フィードバック系の安定性の復習 [主テキストの7章]
【第5回】
フィードバック制御系の評価とPID制御 [主テキストの8.1-8.4]
フィードバック制御系の評価,PID制御の構成・性質・調整法
【第6回】
Scicosの操作の習得とPID制御シミュレーション [副テキスト1の8.1節,Scicos使用]
【第7回】
コンピュータ実習:PID制御 [Scicos使用]
【第8回】
状態方程式 その1 [主テキストの9.1-9.3]
状態空間,伝達関数と状態方程式,システムの状態方程式表現
【第9回】
状態方程式 その2 [主テキストの9.4-9.6]
特性方程式と安定性,可制御性と可観測性
【第10回】
極配置と状態オブザーバ [主テキストの10.1,10.2]
極配置制御・状態オブザーバの設計法と特徴
【第11回】
最適レギュレータ(LQ最適制御) [主テキストの11.1-11.2]
最適レギュレータの考え方,2次形式評価関数と最適解,重み行列の設定
【第12回】
最適サーボ系  [主テキストの11.3]
外乱抑制とロバスト性,拡大偏差系
【第13回】
ロバスト制御と適応制御 [主テキストの13.1,13.2]
ロバスト制御・適応制御の考え方,H∞ノルム,混合感度問題,MRACSとSTR
【第14回】
最適サーボ,オブザーバを用いた最適制御,H∞制御のシミュレーション 
[副テキスト1の8.2,8.3,8.4節,Scicos使用]
【第15回】
コンピュータ実習:最適サーボ系  [Scicos使用]
最適レギュレータへの最適サーボ系の組み込み,重み行列変化による制御特性変化の把握,他