1. |
授業の概要(ねらい)・ディプロマポリシーとの関連 |
|
古典コンピュータでは現実的な時間内で解くことが困難と考えられているファイル検索や因数分解などを、量子力学の原理に従って動作するコンピュータが高速に実行できる仕組みの概要と、その仕組みを数理的に厳密に理解するための数学的基礎を学びます。 量子コンピュータの特徴を概観し、テンソル積ベクトル空間、量子力学の公理等の数学、物理学の準備を行った後、量子コンピュータの数理モデルを定義していきます。ここで定義された基本的な量子ゲートが、量子アルゴリズムを数理的に構成するための基本的な要素となります。これらをもとにグローバーによるファイル検索のアルゴリズムとショアによる因数分解のアルゴリズムの概要を中心に学びます。 サブテキストに書かれた単元ごとの学習の狙いに基づいてテキストを読み、各単元末の演習問題を解くことにより、その内容の理解を深める授業です。 本科目は、ディプロマポリシーの項目1に関連しています。
|
2. |
授業の到達目標 |
|
テンソル積ベクトル空間の基礎事項を理解する。 量子コンピュータの構成に必要な量子力学の原理をもとに量子ビットの意味を理解する。 量子ゲートが量子ビットのテンソル積で与えられる状態として表されることを理解する。 量子ゲートのユニタリ変換で量子コンピュータが構成されることを理解する。 量子力学の原理に従って動作するコンピュータ上でのファイル検索のアルゴリズムと因数分解のアルゴリズムの概要を理解する。
|
3. |
成績評価の方法および基準・フィードバック方法 |
|
科目修得試験については、60点以上の得点を合格とします。 科目修得試験を5割、レポート課題の評価を5割の割合で考慮して、成績を評価します。 レポートの添削によりフィードバックを行います。
|
4. |
教科書・参考書 |
|
教科書 : 上坂吉則著 『量子コンピュータの基礎数理』 コロナ社 (ISBN 4-339-02376-0) 参考書 : 竹内繁樹著 『量子コンピュータ』 講談社 (ISBN 4-06-257469-1) 西野哲朗著 『量子コンピュータと量子暗号』 岩波書店 (ISBN 4-00-011159-0)
|
5. |
準備学修の内容・必要な時間 |
|
予習として、サブテキストの学習の狙いと要点の確認を読み、概要を把握してからテキストの学習に進んで下さい。各単元末に演習問題が設けてあります。復習および次の回の授業の準備として必ず解答して下さい。各回の予習復習の時間がテキスト学習の時間の概ね2倍程度となるように講義内容と演習問題を準備しています。 学部レベルの線形代数の知識を前提としますので、事前準備をしておいて下さい。 量子力学、論理回路、整数論などと関連しますが、これらについては、テキストおよび指導書を参考にして、必要に応じて知識を補充して下さい。
|
6. |
その他履修上の注意事項 |
|
レポートは手書きで作成して下さい。 科目修得試験には、各単元末の演習問題またはその類似問題を出題します。
|
7. |
授業内容 |
|
【第1回】 | 量子コンピュータの仕組み :計算の概念と古典コンピュータ | 【第2回】 | 量子コンピュータの仕組み :量子コンピュータ | 【第3回】 | テンソル積ベクトル空間 :2次元複素ベクトル空間 | 【第4回】 | テンソル積ベクトル空間 :ベクトルのテンソル積 | 【第5回】 | テンソル積ベクトル空間 :作用素のテンソル積 | 【第6回】 | 量子コンピュータの数理モデル :量子力学の規約 | 【第7回】 | 量子コンピュータの数理モデル :簡単な量子コンピュータ | 【第8回】 | 量子コンピュータの数理モデル :排他的論理和,論理積,論理和を表す量子ゲート | 【第9回】 | 量子コンピュータの数理モデル :転写,分岐,交換を表す量子ゲート | 【第10回】 | 量子ゲート :トフォリゲート | 【第11回】 | 離散積分変換 :離散積分変換 | 【第12回】 | 離散積分変換 :離散フーリエ変換 | 【第13回】 | ファイル検索 :ファイル検索,グローバーのアルゴリズム | 【第14回】 | 因数分解 :因数分解の手順,離散対数問題 | 【第15回】 | 因数分解 :量子フーリエ変換,ショアのアルゴリズム |
|