Web Syllabus(講義概要)

2019年度

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生化学実験(Experiments in Biochemistry) 平澤 孝枝
2年 後期 専門基礎科目選必 2単位
【バイオ・後期】 19-1-1850-3819

1.
授業の概要(ねらい)・ディプロマポリシーとの関連

 当実験では、植物ウイルスの一種であるタバコモザイクウイルス(TMV)を用いた一連の実験を行ないます。ここで用いるTMVおよびその類縁ウイルスは宿主域が広く、自然界でも広く検出されるウイルスです。このため、ヒトは生野菜や市販の煙草等を通じて、(発病はしませんが)知らないうちにこれらのウイルスを摂取しています。このようなTMVを材料とした一連の実験、より具体的には、生体試料やその加工品(食品等)からの分離抽出、特定成分の生物学的および生化学的検出、感染因子の汚染拡大の予防策の実施等を通して、そこで用いられている実験の基本的な戦略や戦術を習得してもらいます。そして実際に体験することにより、これまで学んできた知識を相互に関連づけながら、いっそう確実なものにしてもらうことを目指しています。さらに、科学的な報告書の書き方も学んでもらいます。なお、この実習では、主に学科DP1およびDP2、DP3に関する知識と技法、態度を修得します。
 より具体的には、下記の3つのテーマの実験を、週あたり2日間(原則として火曜日と水曜日の午後すべて)、連続して都合8日間実施します。
(1)ウイルスを含む試料からウイスル粒子を分離精製します(電子顕微鏡観察も含みます)。
(2)精製ウイルス粒子からウイルスゲノムを抽出精製します。
(3)精製したウイルス粒子およびウイルスゲノムの生物活性を検証します。
 なお、本実習の主担当は梶谷、副担当は内野および平澤の3人で指導にあたります。また、電子顕微鏡観察の際には、その実地指導を朝比奈准教授にも協力してもらいます。

2.
授業の到達目標

(1)生化学分野の講義で得た知識を実際に体験することを通じて確実なものにし、科学的研究の進め方を修得します。
(2)実験レポートの書き方を修得します。

3.
成績評価の方法および基準・フィードバック方法

 本科目は実験科目ですから、出席することが必要条件となります。欠席および遅刻・早退(=1/2欠席扱い)は、評価上、著しく不利となります。また、実験終了後、そのレポートを提出し、受理されれば本科目は修了となります。レポート受付時にその内容に不備などがあれば、それを指導し、返却して再提出を求めます。
 成績評価を受ける資格は、8回の実施日のうち6回以上出席し、実験レポートが受理された者のみに与えます。最終成績は、実験レポートの内容で評価します。評価のポイントは、レポート作成指導と予備審査の時間に具体的に言及します。

4.
教科書・参考書

教科書1:専用の実験マニュアル(事前に配付します)
教科書2:バイオサイエンス基礎実験(2年次開講)「7.科学計算演習」のテキスト(2年前期に配布します)
教科書3:化学同人編集部(編)「バイオ実験を安全に行なうために」化学同人(2018)
参考書(TMV):岡田吉美(著)「植物ウイルスと分子生物学」東京大学出版会UP Biology(図書館にあります)
参考書(レポート作成):木下是雄(著)「理科系の作文技術」中公新書
参考書(レポート作成):高木隆司(著)「理科系の論文作法」丸善

5.
準備学修の内容・必要な時間

 実験開始前に、実験マニュアルと共に事前レポート課題も配付します。マニュアルをよく読んで予習し、さらに事前レポート課題もこなして、実験本番に臨んでください。また、座学の講義と異なり、実験は危険を伴います。どこに危険が潜んでいるのか、安全を確保するにはどうすればよいのか等々、安全という視点からも予習をお願いします。これらの予習に、1回あたり約2時間は必要です。
 実験開始後は、週ごとに実施報告の簡易レポートを提出してもらいます。それを添削後返却し、最終レポートの参考にしてもらいます。この簡易レポートには週あたり1〜2時間、最終レポートの作成には積算で5時間は必要と見込んでいます。
 なお、2年次開講「バイオサイエンス基礎実験」の「科学計算演習」のテキストでは、この「生化学実験」の事例をたくさん引用していますので、復習をしておきましょう。

6.
その他履修上の注意事項

(1)実験開始前に、事前の希望調査に基づき当コース履修許可者が決定済みです。履修申告は、その決定に従位、各自の責任でお願いします。
(2)実験用白衣と名札は各自で用意してください。(学内の売店で取り扱っています。)
(3)病徴観察記録はスケッチを主としますが、補助的に写真撮影とその利用も認めます。
(4)当科目も含め「バイオ実験」6コースは「専門の選択必修科目」であり、この内2コース以上の単位修得がバイオサイエンス学科の「卒研着手条件」の一つとなっています。

7.
授業内容

【第1回】
試薬の調製
【第2回】
感染葉からのTMV粒子の抽出・精製
【第3回】
TMV粒子の抽出・精製の続き、および濃度測定、タバコへの接種
【第4回】
TMV粒子コートタンパク質のSDS-PAGE
【第5回】
TMV粒子の電顕観察
【第6回】
TMV粒子からのTMV-RNA抽出、および濃度測定、タバコへの接種
【第7回】
TMV-RNAのアガロースゲル電気泳動、レポート作成指導
【第8回】
まとめとレポート作成
【第9回】
【第10回】
【第11回】
【第12回】
【第13回】
【第14回】
【第15回】