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授業の概要(ねらい)・ディプロマポリシーとの関連 |
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この科目は理工系の学生に対して経済学の考え方の基礎を講義するものです。人間社会の進歩は物理的には生産技術の発展によってもたらされますが、技術進歩はそれを受け入れる消費力が新たに生み出されることによって初めて社会的に需要され定着するものですから、新技術が社会的に消化されている仕組みについての理解が不可欠です。この授業は身近な話題を例にとりながら、複雑に見える経済現象を単純な諸要素に還元して説明し、班別討論、プレゼンテーションなどの方法も採用して、議論に皆が参加する工夫をしながら、現実の諸現象を直感的に判断できるようにします。この授業は学科のDP1の能力を身に着けることをめざしています。
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授業の到達目標 |
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・国民経済が成長するためには生産財と労働力の供給量が増加しなければならないこと、現実の資本主義経済においてはその条件がどのようにして満たされているのか、それが満たされない場合にどのような事態が起こるのかについて理解する。 ・寡占状態の下での価格メカニズムは完全競争状態でのそれとどのように異なるのか、それが経済成長にどのような影響を及ぼすことになるのか、その弊害に対して発動される独占禁止政策の効果と限界等について理解する。 ・生産物の販路難、働く者の失業を回避するために需給一致を目指す計画経済・社会主義経済がなぜ成功しなかったのについて理論的かつ実証的に理解する。 ・現在の日本経済が直面している主要な経済政策上の問題点の概要について理解する。
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成績評価の方法および基準・フィードバック方法 |
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定期試験60%、小テスト20%、発表・レポート20%を目安として評価します。試験・レポートの後には、フィードバックとして、設問・出題の意図、模範解答、誤答の例とそれが誤答とされる理由などについて論評します。
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教科書・参考書 |
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教科書は使用しません。参考書は入手しやすいもの・わかりやすいものを「ぜひ読むべきもの」、「読むことが望ましもの」など重要度がわかるように指示します。
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準備学修の内容・必要な時間 |
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授業のたびに要旨を書いたプリントを配布しますので、復習として必ずその全文を読み返すとともに、使用されているキーワードの意味、他の概念との関連・相違点、用法などをノートに記録し、正確に活用できるようにします。予習としては新聞・テレビなどの経済関係ニュースで理解しにくかった事項についてノートに記しておき、授業でのフリーディスカッションの際にそのテーマを話題にできるようにしておきます。予習・復習にかける時間の目安としては、授業時間と同程度の時間が必要です。
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その他履修上の注意事項 |
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経済学1を履修していることが望ましいが、履修していない参加者にもわかるように、重要な事項については重複をいとわずに説明します。
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授業内容 |
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【第1回】 | 経済活動の継続性―単純再生産 | 【第2回】 | 経済成長の必要条件―拡大再生産 | 【第3回】 | 産業連関表 | 【第4回】 | 迂回生産と最終需要 | 【第5回】 | 購買力の量と質―商品が売れるための条件 | 【第6回】 | 就業機会をめぐる自由競争と規制―ギルドの経済効果 | 【第7回】 | 自由競争と寡占―カルテルと価格統制 | 【第8回】 | 経済政策 | 【第9回】 | 経済政策の機能不全―スタグフレーション | 【第10回】 | 規制型政策の役割 | 【第11回】 | 規制緩和の経済的根拠 | 【第12回】 | 資本主義・社会主義・混合経済 | 【第13回】 | 計画経済の可能性―不足の経済学 | 【第14回】 | 今後の経済―低金利とベーシック・インカム構想を中心に | 【第15回】 | まとめとテスト |
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