Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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ミクロ経済学 II 堀内 英次
選択必修  2単位
【経済】 17-1-1110-0480-02

1. 授業の概要(ねらい)

 ミクロ経済学の幅広い分野を網羅する。特に、市場構造と企業行動及び経済厚生の関係、寡占市場における企業行動を議論するためのゲーム理論、不完全情報や不確実性が市場均衡に及ぼす影響などを議論する。
 まず、市場構造と企業行動の関係を、独占市場複占市場の市場均衡と企業行動の違いを考察することによって考察する。さらに、ゲーム理論の基礎を学習する。まずナッシュ均衡の概念を学習した上で、繰り返しゲーム、展開型ゲームなどを学習し、現実の経済問題のゲーム理論による分析例を紹介する。
 不完全情報の経済学では、現在の経済の中で不完全情報がもたらす様々な問題例を取り上げた上で、情報の不完全性が如何に市場の効率性を損なうかをレモンの市場のモデルを用いて考察する。さらには現実の市場の中で情報の不完全性に対応するための様々な経済主体の行動、契約関係などを紹介する。
 不確実性の経済学では、不確実性に直面した経済主体の行動や、リスク分散の機能を持つ様々な市場・制度を分析する。まず現実の経済における企業の意志決定が如何に大きな不確実性の下にあるかを紹介した上で、まずはリスクを回避する代表的な方法としての保険の機能とその限界を学習する。そして現実の経済に存在する様々なリスク分散の機能を持つ制度や契約を学習する。また、リスクに直面した経済主体の行動を説明する期待効用最大化仮説を学習し、保険市場の成立についてのミクロ経済学的な基礎付けを学ぶ。

2.
授業の到達目標

 ミクロ経済学の幅広い分野を網羅した上で、ミクロ経済学の中級レベルまでの分析手法を習得することを第一の目標とする。また、様々な経済問題に応用し、現実の経済問題をミクロ経済学を用いて分析する方法を習得することを第二の目標とする。

3.
成績評価の方法および基準

 定期内試験、及び授業中の小テスト(4回を予定)から評価する。

4.
教科書・参考書

 テキスト:伊藤 元重『ミクロ経済学』 第2版 日本評論社、2003年。
 参 考 書:グレゴリー・マンキュー『マンキュー経済学I ミクロ編』 第3版 東洋経済新報社、2013年。

5.
準備学修の内容

 講義ノートを読んで予習しておくことが望ましい。

6.
その他履修上の注意事項

 入門ミクロ経済学をしっかりと習得していることが前提となる。内容は必ずしも平易ではないが、毎回授業に参加していれば十分に理解可能である。ただし、成績評価は厳しく行うので注意すること。
 第2回の授業で講義ノートを全て配布する。それ以降は配布を予定しないので注意すること。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 第2章 企業行動と市場構造
 第3節 独占市場における企業行動
 独占市場における企業の供給行動、および総余剰との関係について考察する
【第2回】
 第4節 独占的競争市場における企業行動
 独占的競争市場における企業の供給行動と市場均衡の関係について考察する
【第3回】
 第5節 不完全競争市場における企業行動
 寡占市場における企業の供給行動について考察する
【第4回】
 第6節 ゲームの理論
 非協力ゲームと協調の発生のメカニズムについてそれぞれ考察する
【第5回】
 第6節 ゲームの理論
 展開型のゲームを利用して様々な経済問題を分析する
【第6回】
 第3章 不完全情報の経済学
 第1節 情報の不完全性のもたらす問題
 市場における情報の不完全性がもたらす問題を解説する
【第7回】
 第1節 情報の不完全性のもたらす問題
 レモンの市場について学習する
【第8回】
 第2節 情報の不完全性への対応
 シグナルの理論を学習する
【第9回】
 第2節 情報の不完全性への対応
 自己選択メカニズムとプリンシパル・エイジェンシー理論について学ぶ
【第10回】
 第4章 不確実性とリスク
 第1節 経済問題に潜んでいるリスク
 不確実性がもたらす様々なリスクについて学習する
【第11回】
 第2節 危険分散のための仕組み
 不確実性の下でのリスクを分散するための様々な経済の仕組みについて学習する
【第12回】
 第3節 期待効用最大化仮説
 期待効用最大化仮説に基づいて、保険市場の成立とその機能を考察する
【第13回】
 第3節 期待効用最大化仮説(続き)
【第14回】
 復習①
【第15回】
 復習②