Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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入門ミクロ経済学 II 堀内 英次
選択必修  2単位
【経済】 17-1-1110-0480-10

1. 授業の概要(ねらい)

 本講義は入門ミクロ経済学Iを引き継ぎ、初級レベルのミクロ経済学を扱う。まず、ミクロ経済学の基礎となる生産者理論や消費者理論の基礎を学習する。次に生産要素市場を学習し、最後に市場における政府の役割を議論する。
 まずは消費者理論・生産者理論の基礎である1財モデルを学び、需要曲線、供給曲線を消費者・生産者それぞれの合理的な行動によるものとして導出する。消費者理論では、効用関数を用いて消費者の効用最大化行動を分析することにより、需要曲線を導出する。さらに生産者理論では、生産関数を用いて生産者の利潤最大化行動を分析することにより、供給曲線を導出する。
 次の生産要素市場の分析では、労働・資本・土地の各生産要素の市場の均衡とその性質を順に分析する。特に、労働市場の分析においては、企業の労働需要を企業の利潤最大化行動から派生するものとしてミクロ経済学的に基礎付け、労働賃金率が労働の限界生産物価値に等しくなることを学習する。
 最後の政府の役割については、まず外部性が発生している市場に対する政府介入の効果を学ぶ。政府介入が有効であるとするピグー税の効果をまず学習した上で、民間の契約が存在すれば政府の介入は必要ないとするコースの定理を学ぶ。続いて、公共財・共有資源における政府介入の必要性を明らかにし、最後には費用逓減産業において政府介入が必要となる可能性について明らかにし、公共企業の最適な運営方法を議論する。

2.
授業の到達目標

 第一に、ミクロ経済学の中核となる基礎的概念を学習し、ミクロ経済学的な考え方を養うことを目標とする。特に、消費理論・生産理論などにおける限界原理、機会費用など、経済学上の基本的概念を確実に習得することを目指す。
 第二に、経済学的に正当な政府の市場介入政策についての様々な場合を学習することを通じて、現実の政府の介入政策の経済学的妥当性を評価する目を養うことを目標とする。

3.
成績評価の方法および基準

 定期内試験、および授業中の小テスト(4回を予定)から評価する。

4.
教科書・参考書

 テキスト:グレゴリー・マンキュー『経済学I ミクロ編』 第3版 東洋経済新報社、2013年。
 参 考 書:伊藤 元重『ミクロ経済学』 第2版 日本評論社、2003年。

5.
準備学修の内容

 講義ノートを読んで予習しておくことが望ましい。

6.
その他履修上の注意事項

 内容は必ずしも平易ではないが毎回出席していれば十分理解できるものである。現実問題に関心があり、かつそれを考えるために経済学の基礎をしっかり学ぼうという意欲を持った学生の参加を望む。成績評価は厳しいので注意すること。
 第2回の授業で講義ノートを全て配布する。それ以降は配布を予定しないので注意すること。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 第3章 生産者理論と消費者理論―導入―
 第1節 消費者理論
 効用関数を使って需要曲線を導出する
【第2回】
 第2節 生産者理論
 機会費用の概念について学ぶ
【第3回】
 第2節 生産者理論
 生産者の総費用・平均総費用・限界費用等について学ぶ
【第4回】
 第2節 生産者理論
 完全競争市場における企業の供給曲線を導出する
【第5回】
 第4章 生産要素市場
 第1節 労働市場
 賃金は如何にして決定されるかを学ぶ
【第6回】
 第1節 労働市場
 労働市場の均衡について学ぶ
【第7回】
 第2節 その他の生産要素市場
 土地・資本市場の均衡について学ぶ
【第8回】
 第5章 公共部門の経済学
 第1節 外部性
 現実の様々な外部性の事例ついて学ぶ(地球環境問題など)
【第9回】
 第1節 外部性
 外部性がもたらす市場の非効率性について学ぶ
【第10回】
 第1節 外部性
 外部性を解決するための政府・民間それぞれの対策を学ぶ
【第11回】
 第2節 公共財と共有資源
 公共財について学習する
【第12回】
 第2節 公共財と共有資源
 現実の共有資源の枯渇問題を紹介し、外部性の観点から考察する
【第13回】
 第3節 費用逓減産業
 費用低減産業における市場の非効率性と政府の政策について学ぶ
【第14回】
 復習①
【第15回】
 復習②