Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

ひとつ前のページへ戻る 教授名で検索

 
経済学演習 I 大林 千一
必修  2単位
【経済学専攻】 17-1-1110-0672-05

1. 授業の概要(ねらい)

 東アジアやヨーロッパの国々の多くでは少子化とそれに伴う高齢化が進行しており、一方でサハラ以南のアフリカ諸国では依然として高い出生率が続くなど、各国の人口動向は多様である。人口の動向は、国の経済・社会に大きな影響を与えることから、様々な立場から人口に関する研究が行われてきている。その中には、国際人口移動の問題、国内における都市化などの問題も含まれる。この授業は、これら人口現象を分析するための基本的な方法を学ぶとともに、受講者が、自ら設定した人口に関するテーマについて分析・研究を進めることを目的とする。春期においては、受講者の意向も踏まえて選定したテキストを中心に人口分析の方法を、日本の人口統計に適用を試みるなどしながら学んでいきたい。また、秋期においては、論文作成も念頭に置きつつ、受講者が特定の国、国内の地域の人口あるいは国際比較の観点からテーマを決め、それに関連する文献収集、統計資料を用いた分析を行い、報告してもらう形で進めていきたい。

2.
授業の到達目標

 ①人口学における基本的な概念、方法を修得するとともに、それらの方法を実際のデータに適用できる。
 ②自分が問題意識を持つテーマについて、文献収集、分析などを行う能力を高める。

3.
成績評価の方法および基準

 各回の授業における報告や議論への参加状況が50%、提出を求める課題(レポートを含む。)が50%で評価する。

4.
教科書・参考書

 テキストは、以下を含む文献の中から、受講者の意向も踏まえて選定する。人口移動などについては、適宜、プリントなどで補足する。
 ①Samuel H. Preston, Patrick Heuveline and Michel Guillot, Demography, Measuring and Modeling Population Processes, Blackwell.
 ②Andrew Hinde, Demographic Methods, Routledge.
 ③Donald T. Rowland, Demographic Methods and Concepts, Oxford.
 ④岡崎陽一『人口統計学 増補改訂版』(古今書院)

5.
準備学修の内容

 テキストの指定された部分を、あらかじめ読んでおくこと。

6.
その他履修上の注意事項

 テキストの内容について、受講者が自ら説明することを多く採り入れる方法で授業を進める予定である。なお、人口学に関する予備知識は必要ないが、高校程度の数学(初歩的な微分積分など)は知っていることを前提とする。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 授業の進め方、意向聴取
 (以下、テキスト①の場合を想定して記載している。他のテキストによる場合、内容・順序に若干の変更があり得るが、変更は大きなものではない。)
【第2回】
 人口に関する基本的な概念と指標 -人口変動における均衡方程式、人口学における率
【第3回】
 人口に関する基本的な概念と指標 -ピリオド(期間)とコーホート、増加率の考え方、事象の発生確率
【第4回】
 年齢別、性別にみた率 -粗率と年齢構成標準化、レキシスの図法、年齢別確率、1年間の状況に基づく確率
【第5回】
 生命表 -期間生命表、生命表諸関数、死亡率から死亡確率への変換、期間生命表作成方法の概要
【第6回】
 生命表 -生命表の解釈、静止人口モデル、連続的過程としてみた死亡
【第7回】
 出生力と再生産の分析 -期間出生率、年齢別出生率と合計特殊出生率、コーホート出生力
【第8回】
 出生力と再生産の分析 -各種の再生産指標
【第9回】
 将来人口の推計 -コーホート要因法
【第10回】
 安定人口モデル -安定人口を生じる条件、安定人口を導く方程式
【第11回】
 安定人口モデル -安定人口と純再生産率の関係、人口モメンタム
【第12回】
 人口統計とその質の評価 -人口統計の種類、人口統計の評価の諸方法
【第13回】
 人口移動の分析 -人口移動に関連する諸指標
【第14回】
 人口の地理的分布の分析
【第15回】
 その他の方法から -人口動態事象のモデル化、諸指標の間接的推定方法