Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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演習 I 杉浦 史和
必修  2単位
【経済】 17-1-1110-1576-03

1. 授業の概要(ねらい)

 現在の日本経済の抱える問題の一つに、電機工業や自動車産業などの従来稼ぎ頭と言われてきた製造業の苦戦が挙げられます。長期にわたる円高により、国内の製造拠点が失われる空洞化はその顕著な例でしょう。安倍晋三首相の登場とともにアベノミクスが唱えられ、円高局面の是正が行われましたが、失われた製造拠点が国内に戻ってきたとは言えない状況が続いています。
 ここでまず考えなければならないのは、我が国の主要産業の意思決定は何を目的とし、またどのようなプロセスを経て決まるのかということでしょう。また、生産拠点の海外移転は実際にどの様な影響を国内経済に及ぼすかも考察しなければなりません。更に、海外生産もやみくもに出て行けば良いわけではなく、そこでの成功を保証する戦略も重要です。このように、多国籍化する我が国の製造業の動きに焦点を当て分析することで、日本の経済の動きをより深く理解します。
 この授業では、我が国製造業の対外直接投資(FDI)を切り口として、国際政治経済学的アプローチを取りながら現代日本経済の分析を試みたいと思います。

2.
授業の到達目標

 グローバル化が進む現在の世界情勢および日本経済を、FDIを切り口として理解できること。またFDI の仕組み、その法的側面、歴史を学びます。自動車など特定産業のFDIの特徴について、皆さんの興味に従って追求してみましょう。
 ゼミナールの場は、自分で決めた課題を自分なりに探求・考察し、これを工夫して発表して理解を深める作業を行う場です。こうしたプロセスを通じて、自分なりの学びの姿勢を養ってください。社会に出てからも、それはきっと役に立つはずです。

3.
成績評価の方法および基準

 通常の出席点は60点。担当箇所の報告と受け答えが30点。授業の参加態度(質問や意見表明)10点。ゼミは学生自らが授業を作っていく心構えが必要です。授業への積極的な参加に高い評価を与えます。

4.
教科書・参考書

 テキスト:池本・田中編著『欧州新興市場国への日系企業の進出:中欧・ロシアの現場から』文眞堂
 参考文献は適宜、授業内で提示します。

5.
準備学修の内容

 担当であるかそうでないかにかかわらず、当該テキスト部分をよく読んでくること。担当に決まった場合には、仲間とよく連携しながら、しっかりと準備を行うこと。

6.
その他履修上の注意事項

 演習は、受け身型の通常講義と異なり、参加する学生の自主的な貢献が不可欠です。自分で決めた課題を自分なりに探求・考察し、これを工夫して発表してゼミ生みんなの理解を深める作業を行う場です。こうしたプロセスを通じて、自分なりの学びの姿勢を養ってください。
 事前に入念な準備をして、授業時間中も進んで貢献する心構えで参加してください。それは何も難しいことではありません。他の人の報告を真剣に聞き、それに対して自分だったらどう考えるか、なぜ異なる考え方をするのかと常に自問して、それを率直に表明してくれればいいのです。ゼミ仲間と共に学ぶという貴重な経験を通じて、大学生活を豊かなものにしましょう。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 授業案内・オリエンテーション:ゼミの進め方を理解しよう
【第2回】
 FDIとは(1)(講義)
【第3回】
 FDIとは(2)(講義)、グループ分け、およびテキストの担当を決める
【第4回】
 「第3章 欧州新興市場国における対内直接投資が国内経済に与える影響」の輪読①
【第5回】
 「第3章 欧州新興市場国における対内直接投資が国内経済に与える影響」の輪読②
【第6回】
 「第4章 欧州自動車産業の生産ネットワークの進化とグローバル競争力の構築」の輪読①
【第7回】
 「第4章 欧州自動車産業の生産ネットワークの進化とグローバル競争力の構築」の輪読②
【第8回】
 「第5章 ポーランド経済変動と直接投資」の輪読①
【第9回】
 「第5章 ポーランド経済変動と直接投資」の輪読②
【第10回】
 「第7章 チェコにおけるトヨタ系企業の投資動向とトヨタ生産方式に関する一考察」の輪読①
【第11回】
 「第7章 チェコにおけるトヨタ系企業の投資動向とトヨタ生産方式に関する一考察」の輪読②
【第12回】
 「第9章 ハンガリーにおける日系企業の展開」の輪読①
【第13回】
 「第9章 ハンガリーにおける日系企業の展開」の輪読②
【第14回】
 「第14章 日系自動車企業のロシア進出」の輪読①
【第15回】
 「第14章 日系自動車企業のロシア進出」の輪読②