Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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日本経済論特講 I 藤井 隆至
選択  2単位
【経済学専攻】 17-1-1110-3745-09

1. 授業の概要(ねらい)

 日本経済論特講Ⅰでは、日本経済のさまざまな側面に歴史主義の観点から接近します。具体的には、太平洋戦争終結後の日本経済を対象とします。今日の日本経済はどのような過程を経て形成されたのかを講義することによって、歴史主義の分析能力と国民的課題への解決能力をもつ人材の育成を目的としますが、大学院での授業として、より高度な専門性を有する内容とします。
 そうした位置づけから、日本経済論特講Ⅰの授業は、以下の点に重きをおきます。①今日の日本経済の国民的課題は何かという観点で過去の歴史を分析する。②日本経済は世界各国との国際関係のなかで形成されてきたことから、国際的視野をもつ日本経済分析をおこなう。③それぞれの時代にはそれぞれの国民的課題があり、その課題を解決するために経済政策が実施されたが、その政策が新たな国民的課題を作り出すことになったという歴史観で授業を組み立てる。
 授業は、教室で受ける集合学習形式の授業と各自が授業時間外におこなう準備学習の2つに分かれます。準備学習では、「授業の計画」の欄にキーワードを3つ記しておきました。この3つのキーワードを事前に学習したうえで授業に臨んでください。授業では、歴史の大きな流れを把握することに力点をおきます。「私たちはどこから来てどこへ行くのか」、この問いに答えられるような授業にしたいと考えています。

2.
授業の到達目標

 戦後の日本経済を歴史主義の観点で分析し、解決すべき国民的課題は何か、何がその原因なのか、等を自分で見つけだし、自分のことばで把握する能力を修得します。

3.
成績評価の方法および基準

 授業への貢献度に加え、学期末にレポートを提出してもらいます。両者を総合して、成績評価基準にもとづいた評価をおこないます。

4.
教科書・参考書

 テキストは使用しません。参考文献は授業中に指示します。

5.
準備学修の内容

 7の「授業の計画」欄にキーワードを3つ記しておきました。授業がはじまる前に調べておいてください。

6.
その他履修上の注意事項

 私の講義をノートに取り、話の内容を正確に理解し文書化する能力を身につけてください。
 修士論文を作成するうえでも、文書作成能力を育てることはたいへん重要です。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 ガイダンス
【第2回】
 戦後改革Ⅰ
 キーワード:戦時経済、GHQの対日占領政策、財閥解体
【第3回】
 戦後改革Ⅱ
 キーワード:農地改革、労働改革、国内市場
【第4回】
 経済復興
 キーワード:東西対立、傾斜生産方式、朝鮮特需
【第5回】
 高度成長Ⅰ―国際収支
 キーワード:国際収支の天井、貿易自由化、資本自由化
【第6回】
 高度成長Ⅱ―重化学工業化と労使関係
 キーワード:民間設備投資、技術導入、労使関係
【第7回】
 高度成長Ⅲ―産業政策
 キーワード:産業政策、大型合併、日本株式会社論
【第8回】
 高度成長Ⅳ―金融システム
 キーワード:資金調達、メインバンク、ワンセット主義
【第9回】
 高度成長Ⅴ―安定株主
 キーワード:安定株主、株式の相互持合い、企業集団
【第10回】
 高度成長Ⅵ―農業
 キーワード:食管制度、基本法農政、兼業農家
【第11回】
 高度成長Ⅶ―都市化
 キーワード:集団就職、核家族、都市問題
【第12回】
 高度成長Ⅷ―流通革命
 キーワード:セルフサービス、大量生産大量消費、スーパーと商店街
【第13回】
 高度成長Ⅸ―二重構造の解消
 キーワード:二重経済、集団就職、労働生産性
【第14回】
 高度成長Ⅹ―公害問題
 キーワード:公害問題と環境問題、公害と労災、四大公害
【第15回】
 高度成長の終焉―ニクソンショックと石油危機
 キーワード:ニクソンショック、エネルギー革命、狂乱物価