Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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国際経済論 I 並河 良一
選択必修  2単位
【経済】 17-1-1110-3746-07

1. 授業の概要(ねらい)

 WTO(世界貿易機関)体制、FTA(自由貿易協定)を中心に、自由貿易の現実について説明し、国際経済を具体的な形で理解する。
 オーソドックスな講義方法では、「一般論としての国際経済論」を先に学ぶが、TPP問題などの形で、ニュースで採り上げられることの多いWTO、FTAを先に学ぶことにより、国際経済を具体的な形で、興味を持って理解できる。「一般論としての国際経済論」は「国際経済論Ⅱ」で講じる。
 資源、食料を自給できない日本は、自由貿易がなければ、存立できない。世界には、経済規模、資源・労働・資本・技術のレベルの異なるさまざまな国・地域が存在しており、世界全体、各国・各地域が発展していくためには、自由貿易が必要である。他方、自由貿易は、発展途上国、弱い産業、遠隔地域に不利に働くこともある。WTO、FTAを通じて、海外貿易・直接投資の本質を明らかにし、「国際経済論Ⅱ」を学ぶ基礎とする。

2.
授業の到達目標

 (1)自由貿易が、世界経済において果たす機能を理解する。
 (2)日本経済における、自由貿易の必要性を理解する。
 (3)自由貿易をめぐる利害関係を理解する。
 (4)現実の国際経済の動きを通して、実態経済を理解する。

3.
成績評価の方法および基準

 定期試験による、平常点を加点する。(100%)

4.
教科書・参考書

 テキストは使わず、パワーポイントを中心に説明する。必要に応じて、プリントを配布する。参考文献は、授業の中で適宜紹介する。

5.
準備学修の内容

 授業の中で、経済・ビジネスニュースを採りあげて説明するので、各種メディアの日々の経済・ビジネスニュースをチェックする習慣をつけること。とくに、日本経済新聞は購読し、常時チェックすることが望ましい。

6.
その他履修上の注意事項

 私語、スマートフォン等の使用、熟眠は認められない。
 授業は、知識を得るだけの場ではない。講義を聞き、自ら考え、経済・社会の事象についての見方、考え方を確立してほしい。
 パワーポイントを見て、話を聞いて、その要点をノートするという能力を涵養すること。実社会に出れば、必須の能力である。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 イントロダクション:自由貿易の概念を理解する。
 (注:【第2回】以降は、学習の進捗状況、学生の理解の程度などにより、採りあげる内容・説明の順番を適宜変更する。)
【第2回】
 自由貿易体制に至る以前の歴史(植民地、ブロック経済、第2次大戦)を理解する。
【第3回】
 ブレトンウッズ体制とGATTの成立の経緯について理解する。
【第4回】
 GATTに見られる、自由貿易の基本原則(最恵国待遇、内国民待遇)について理解する。
【第5回】
 WTOの成立の背景とWTOの組織、機能、紛争解決手段について学ぶ。
【第6回】
 WTOの対象分野と非関税障壁の種類を知る(1):貿易と環境、貿易と労働
【第7回】
 WTOの対象分野と非関税障壁の種類を知る(2):規格・技術、知的財産
【第8回】
 WTOの行き詰まりの背景と要因から、WTOの限界を理解する。
【第9回】
 自由貿易協定(FTA)の意義を学び、FTAとWTOの関係を理解する。
【第10回】
 FTAの事例:EU、NAFTA、AFTA、日本のEPAを学ぶ。
【第11回】
 TPPの交渉の背景、TPPをめぐる議論を理解する。
【第12回】
 自由貿易に関する経済問題を事例から学ぶ(1):セーフガード
【第13回】
 自由貿易に関する経済問題を事例から学ぶ(2):農業補助金と直接支払い
【第14回】
 自由貿易に関する経済問題を事例から学ぶ(3):自由化できない障壁
【第15回】
 総括:自由貿易と市場経済の関係、自由貿易と南北問題の関係について理解する。