Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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日本の食料・農業 I 森  建資
選択  2単位
【経済】 17-1-1120-3253-09

1. 授業の概要(ねらい)

 現在私たちが直面している食料や農業を取り巻く問題を考えてみたいと思います。食料の重要性はいうまでもないでしょう。授業では、食料供給、食品の安全性、外食産業といった身近な問題を取り上げてみます。
 農業と聞くとあまり自分に関係がないと思われるかもしれません。たしかに、国内総生産に占める農業の割合は低いし、みなさんの中で卒業後就農される方は少ないかもしれません。しかし、人間生活にとって、食やそれに材料を供給する農業は依然として重大な領域です。そうした領域を理解するための道筋をつけてみませんか。
 これまでの研究の蓄積を考えると、どうしても食料よりも農業の比重が大きくなりますが、できるだけ食料や食生活といった観点を取り入れていこうと考えています。かつては、農業の問題は貧困問題と切り離せませんでしたが、今や状況は大きく変わりました。食生活も驚くほどに豊かになりました。しかし、食料自給率や食品の安全性の問題に示されるように、農業や食料には問題が山積しています。そうしたものを取り上げて考えていきます。
 前期の日本の食料・農業Ⅰでは、まず食料について考えます。次いで、日本の農業の現状を取り上げます。

2.
授業の到達目標

 私たちが直面している問題にどのようなものがあるかを皆さんが考える手掛かりを提供したいと思います。授業で使われる概念や問題の立て方をよく理解してもらうのが目標です。近年、食料、農業を取り巻く環境が大きく変わりつつあります。新しい動きに関心を持てるようになるのも目標です。

3.
成績評価の方法および基準

 必ず出席すること。最終的な試験が重要です。試験では、記述問題や穴埋め問題を答えてもらいますが、授業をきちんと聞いていれば、満点をとれる問題を出しています。また、状況を見て途中で小テストに準じたものを行うつもりです。また、テストではありませんが、皆さんの意見を授業中に書いてもらいます。出席状況はおもにこうした形で把握します。このことは最終的な評価に反映されます。

4.
教科書・参考書

 参考書
  高橋正郎編、『食料経済』(オーム社)
  時子山ひろみ、荏開津典生、『フードシステムの経済学』(医歯薬出版)
  岸康彦、『食と農の戦後史』(日本経済新聞社)
  ロバーツ、『食の終焉』(ダイアモンド社)
  梶井功、『WTO時代の食料・農業問題』(家の光協会)
  速水佑次郎、神門善久『新版 農業経済論』(岩波書店)

5.
準備学修の内容

 日ごろから新聞やテレビなどを通じて、食料や農業にどのような問題があるのか関心を払っていただきたいと思います。授業で用いるパワーポイントやプリントのなかには授業の前の週までに配るものがあります。そうしたものにあらかじめ目を通してください。

6.
その他履修上の注意事項

 パワー・ポイントと配布資料を中心に授業を進めますが、ノートをとることを心がけてください。配布したパワーポイント資料には書いていないことについてお話することもありますから、注意してください。なによりも授業の大まかな流れをつかむことが大事です。授業内容への質問は大歓迎です。
 授業中の私語、スマートフォンの使用は厳禁です。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 イントロダクション:飢餓と飽食について考える
【第2回】
 飢饉の歴史を通じて食料が人間生活の中で持った意味について考える
【第3回】
 15世紀以降の世界的規模での食料の伝播を学ぶ
【第4回】
 フードシステムとは何かを学ぶ
【第5回】
 日本型食生活について学ぶ 
【第6回】
 食生活の変化とその原因について考える
【第7回】
 食品と栄養について考える
【第8回】
 食品の安全性について考える
【第9回】
 経済学の基礎概念を通じて、食料需要と食料供給の関係を学ぶ
【第10回】
 食料消費の問題として食料へのアクセス問題について考える
【第11回】
 食品産業の現状を学ぶ
【第12回】
 伝統的な日本の食品企業の経営のあり方を学ぶ
【第13回】
 世界に市場を求める日本の食品企業の経営戦略を考える
【第14回】
 外食産業の現状を学び、直面している問題を考える
【第15回】
 食の将来を考える、最終試験