Web Syllabus(講義概要)

　ECCPの必修科目A（論理的思考）として行います。対象学生は２年時からECCP論理的思考クラスに登録した学生と、新たに２年基礎ゼミクラスから選抜された学生とします。西田クラスと合わせ、３年４クラス編成。教育効果を上げるため、各クラスほぼ均等数の登録学生とするため、学生のクラス分けをECCP委員会で行います。他の必修と重なる場合、クラス替えなど措置をとります。基本は、指定されたクラスで登録してください。
　また論理的思考クラスは通年で成果を上げる趣旨で実施するので、論理的思考Ⅲ、Ⅳ通して受講するよう努めてください。
　実社会で求められる「論理的思考力」をつけることを目指します。人に読ませられる小論作成を通じ、その力を養成します。学生諸君がこれまで国語として読み書きできて当たり前と考えてきた「日本語」を、英語など外国語と同じようなものとして客観的にとらえ直し、社会におけるコミュニケーションの道具として学び直してもらいます。ただし、クラスは作文教室ではないこと、しかし、基本的な作文能力が前提条件となる点を理解しておいて下さい。
　ここでいう論理的思考力とは、第１に小論にまとめた見方や論旨の筋が通っていること、第２に文章の一つ一つの筋が通り、主語と述語が対応した日本文を書けていることーを指します。また、対象となるテキストの要点をつかみ、咀嚼してレジュメにまとめる力を求めます。それには与えられた課題について十分な理解が不可欠です。
　素材として現代日本が直面する経済・政治・社会・外交など諸問題をとりあげ、問題に関する知識を増やすと同時に、自分の小論をまとめる訓練をします。毎回テーマは変わります。
　上記の目標を達成するために、日経、朝日、読売など全国紙の社説あるいはインタビュー記事、評論誌の小論文などを基本モデルとして活用する。新聞社の各社説の主張を学ぶためでもなければ、その賛否を議論するためでもありません。ある社会事象を説明し、あるいは小論文にまとめると、日本語の組み立てがどうなっているか、的確に情報を文章に込めるコツとは何か、を習得できるようになります。現代事象に関する知識を深めることは、きちんとした議論や小論作成に欠かせないものです。
　自分の思考回路を点検するには、書くことから始まる。船の航跡を点検するように、自分の考えた道筋を客観的に見直してみる。「おしゃべり」でその養成はできません。

　論理的思考力の基本は数学です。ただし、日常の諸問題を数学の問題を解くように理解したり、解決したりはできません。また我々は「ことば」で考える。数字にかえて、「ことば」をどう論理的に組み立てられるか。それが社会が求める論理的思考力です。情報を整理し、自分の考えをまとめ、他人に伝えて理解してもらう技術を磨いていく。そのために、あるテーマについて一定のスペースで簡潔にまとめていく練習をたくさん重ねる必要があります。合わせて関連する分野の知識を確かなものとし、自分の意見や小論に反映できるようになることを目指します。きちんと日本語を使えるようになることが何よりも必要です。また、それは社会人になってからも継続を求められるものです。

　随意行う小論課題、テキストのレジュメ作成（何度か行う）と意見発表の内容（以上50％）、最終小論テスト（50％）を総合評価する。小論あるいはレジュメ作成では400字詰め原稿用紙を配布使用する。

　全国紙（日経、朝日、読売が主）社説や長文記事コピーを用意する。そのほか、時事的問題点の長文解説記事のコピーなど適宜使用する。一回の講義で一テーマを扱い、教室で書籍は使用しない。

　自分の発言や小論を良いものにするには調査と確認作業が不可欠です。学生諸君には常に知識量をあらゆる分野で増やすことが求められます。不確かな知識をもとに議論したり、持論を展開するのはもっとも評価されません。インターネットの活用だけでなく、図書館の図書資料活用を奨励します。

　講義の最初の段階では、指示された社説を手書きし、うつす作業に時間を設定します。それに使う手書き用の専用ノートを用意すること。これは大切な訓練です。これらは最初の講義で指示します。当然ながら、国語辞書あるいは電子辞書も必携。講義中でも不明なことばを辞書でどしどし調べてください。また、教室へ来ないと、訓練のプロセスに参加しないことになる。逆に過去、出席してさえいれば、良い評価を得られると勘違いした学生が少なくありませんでした。