Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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観光地計画論 II 大下  茂
選択必修  2単位
【観光経営】 17-1-1130-3210-06

1. 授業の概要(ねらい)

 我が国の観光形態は近代化の過程を通じて変化してきている。その変化への対応によって、観光地としての盛衰がわかれる。本講義では、春学期に実施した観光を取り巻く変遷とその中での現代にも活かすべき哲学・思考・手法についての考察を踏まえて実施する。
 秋学期の講義は、「観光地計画論の技法編」と題し、観光の基本である主体と対象の捉え方、実態把握の方法等の基本的な手法について解説する内容を踏まえて、具体的な対象地域において企画・提案の演習を加えて理解を深める。
 これは、現場で問題意識をもつ着眼点、限られた人材の中での効率的・実行力のある手法など、「理論と実践」の観点から、「現場」での試みと改善から普遍的な考え方を学ぶことをめざすものである。そのため、現場で観光によるまちづくりを実践している専門家をゲストスピーカーとして招聘し、実践的な計画論を深めることにも努めたい。

2.
授業の到達目標

 ①観光実態把握手法を理解し、具体的な地域の観光計画に適用することができる。
 ②地域資源評価手法を理解し、具体的な地域の観光計画に適用することができる。
 ③観光地域において新しい地域観光商品の企画アイディアを考案することができる
 ④観光地において地域全体での組織のあり方の改善提案の視点を指摘することができる。
 ⑤観光地域において重要な視点を指摘し改善提案の骨格を示すことができる。

3.
成績評価の方法および基準

 講義の際に実施する演習レポートが60%(4回実施)、期末試験が40%として評価する。演習レポートのうち3回は前週に解説した内容についての理解を深めるために、教員が提示する課題に対してペアで意見交換をして授業内にまとめる課題レポートである。
 また、定期試験は、テキスト(提示した参考図書)や配布した講義レジュメ・資料の持ち込みはすべて可とする。毎回の講義の後の質問に対しても評価の対象とする。

4.
教科書・参考書

 基本的にはレジュメ・関係する資料に基づいた講義とする。後期講義においては、参考図書として示した「集客まちづくり」の技術も使用する。大下茂著『行ってみたいと!と思わせる「集客まちづくり」の技術(学陽書房)』を適宜活用するので、参考にされたい。

5.
準備学修の内容

 講義中に例示した課題などの復習を行うこと。現場で効率的・実行力のある改善の実施こそが、観光における「イノベーション」の原点である。観光に関する新しいビジネスモデルは、すべて現場の中での改善から生まれているといっても過言ではない。
 日常生活の中での改善に関心を寄せることも、授業外の学習として、将来のスキルアップにつながるものである。ものの見方・考え方を考える講義として捉えて、積極的な日常の学習に活用してほしい。

6.
その他履修上の注意事項

 講義の妨げとなる行為をつつしむこと。特に私語は退席を願い、評価の減点対象となるので留意してほしい。社会で求められる人材は、問題解決できるスキルよりも、問題発見のできる人材であることから、問題意識をもつ受講者の質問は歓迎する。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 授業の全体構成の解説・観光地の変遷編の概要・振り返り
【第2回】
 総論~観光の成り立ち(主体と対象)・地域ぐるみでの観光地づくりへ
【第3回】
 集客に向けた思考・アプローチ
【第4回】
 事例評価①~まちづくりから観光地へ(千葉県香取市佐原)
【第5回】
 事例評価②~伝統的観光地の再生(群馬県みなかみ町)
【第6回】
 事例評価③~観光とは無縁の地域の取組み(伊勢崎市境島村)
【第7回】
 観光の実態把握~効果的な観光統計の採り方
【第8回】
 モデル地域における観光の実態把握(小レポート)
【第9回】
 観光地の資源評価~テーマ性への移行
【第10回】
 モデル地域における着地型地域魅力商品づくり(小レポート)
【第11回】
 観光地における組織のあり方~地域ぐるみへの展開
【第12回】
 モデル地域における観光地域づくりプラットフォームに向けた組織の改善(小レポート)
【第13回】
 観光振興プランの検証①~墨田区観光振興プランの見直し検討を例に
【第14回】
 観光振興プランの検証②~北区観光振興プランの検討を例に
【第15回】
 総括~改めて現場に向う際の心得と作法/期末試験