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授業の概要(ねらい) |
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春学期の主要なテーマは「観光経営における戦略」をとりあげ,それを経済学的に分析するとどうなるかを課題に講義を進めたいと考えている.「戦略」という言葉は,現在さまざまなところで用いられている.例えば,戦略的観光政策,経営戦略,戦略的人財(材)育成等々といった具合である.しかしながら,そこで用いられている「戦略」の意味は必ずしも明確ではなく,戦略と言えるかどうか疑問がある場合も存在する. 戦略とは,本来目標や目的を指す言葉であるが,現在では「戦略」を「手段」として用いているケースが多々見受けられる.したがって,経営戦略を経済学的な視点から分析することには意味があると考える.その上で,改めて観光経営戦略とは何かについて考えてみたい.
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2. |
授業の到達目標 |
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受講生諸君は,「戦略」とは何かが完全に理解できるようになること,そして戦略と経済学とは密接な関係があることを理解可能になり,それはさらに受講生自身が戦略に関わる諸問題の解決能力を養うために役立つ.
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成績評価の方法および基準 |
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成績は,受講生の講義への参加度合や発言内容と期末のリポートの2点を,それぞれ50%のウエイトで,評価する.但し,大学院生だからと言って,欠席することは許されない.出欠については厳しくしたい.
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4. |
教科書・参考書 |
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教科書は特に指定しないが,講義の初めにプリントを配布する. また大学院の講義であるから,講義の過程で多くの参考文献や書物を紹介することにしたい.
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準備学修の内容 |
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受講生は大学院生であるから,何をしなければならないかは理解しているはずである.したがって,何も言う必要はないと考えるが,老婆心ながら言っておくならば,書物や論文を沢山そしてしっかり読み込むことに尽きる.
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その他履修上の注意事項 |
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受講生には文字や文章の意味を正確に捉え,しっかりと読むことを望みたい.それによって内容の正しい正確な理解に繋がるからである.
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各回の授業内容 |
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【第1回】 | オリエンテーションと授業内容の概説,読むべき論文や書物の紹介 | 【第2回】 | 戦略とは何か――経済学における戦略とは何か,それは観光における戦略の分析に適用可能か | 【第3回】 | 企業に利用可能な戦略とは――戦略手段とは | 【第4回】 | 戦略手段としての価格――価格の差別化 | 【第5回】 | 戦略手段としての生産量――クールノー・モデルの説明 | 【第6回】 | 戦略手段としての広告――何のための広告か 戦略手段としての製品差別化 | 【第7回】 | 2種類の生産差別化――垂直的差別化と水平的差別化 | 【第8回】 | 垂直的差別化と水平的差別化の意味を属性分析の手法によって明確にする:旅行や観光に関わる製品は水平的か垂直的差別化か | 【第9回】 | 巨大な生産能力は戦略か | 【第10回】 | 参入阻止――参入障壁として何が考えられるか | 【第11回】 | 製品の標準化は戦略か――日本製品は世界標準を獲得可能か | 【第12回】 | 観光における戦略とはなにか――観光に戦略は存在するか | 【第13回】 | 「観光立国」は政府の観光戦略か:観光立国とは何を意味するのか | 【第14回】 | 観光立国を実現するためには――観光立国とは観光によって人々が生計を立てていくことと捉えてよいのか | 【第15回】 | 授業のまとめ |
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