Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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経営学演習 II/観光経営学演習 II/観光経営学副演習 II 小沢 健市
必修/選択必修/選択  2単位
【経営学専攻】 17-1-1130-3752-12

1. 授業の概要(ねらい)

 現代の社会では,われわれは好むと好まざるとに関わらず,ネットあるいはネットワークで繋がっている.一昔前には,国際間での郵便のやり取りには一週間ほどは時間が必要であった.しかし,インターネットのおかげで,自分の送りたい情報は瞬時にして地球の裏側にも端から端までも送ることが可能になった.観光に関わる情報もまた例外ではない.
 この講義では,外部性,特にネットワーク外部性について,その理論的な基礎を受講生と共に学んでいきたいと考えている.ネットワーク外部性とは,需要者側の消費が相互に互換可能なネットワークを通じて需要者相互の消費決定に直接影響を及ぼすことをいう.それは,ある場合には需要の大規模な拡大にもまた需要の縮小にも導くという極めて現代的な現象である.観光もまた例外ではない.観光地の栄枯盛衰がそれを物語っている.この演習は,観光地の栄枯盛衰を最近の経済理論を適用し理論的かつ具体的に論じることである.

2.
授業の到達目標

 受講生は,最近の経済理論を学ぶことによって,現在問題になっている諸問題の解決の糸口を自ら見つけ出すことができると同時に,問題や課題の発見もできるようになる.これらの能力は,世界で求められている人材の誰もが身につけていなければならない能力である.この演習は,受講生のその能力の獲得あるいは向上に貢献できる.

3.
成績評価の方法および基準

 成績はレポートと授業内のプレゼンテ―ションおよびディスカッションへの参加の有無によって評価する.それぞれのウエイトは,レポートが50%,プレゼンテーションとディスカッションへの参加がそれぞれ25%である.

4.
教科書・参考書

 教科書:衣田高典著『ネットワーク・エコノミクス』日本評論社
 参考書:P. オームロッド著 望月衛 訳『経済は「予想外のつながり」で動く』ダイヤモンド社

5.
準備学修の内容

 指定された教科書を各自購入し,事前に指定された章や節を読み,その内容を十分に理解しておくことが必要である.と同時に,授業内でのディスカッションを通じて各自が考えたことを授業終了後にまとめておくことも必要である.

6.
その他履修上の注意事項

 予習と復習を毎日欠かさずに励行すること,そして指示された文献は入手し,必ず読むことが必要.

7.
各回の授業内容
【第1回】
 演習受講に当たってのオリエンテーションとネットワークとは何かを考える
【第2回】
 受講生が考えるネットワークと経済学でいうネットワークとの意味の相違点は:観光におけるネットワークおよびネットワーク外部性とは何か
【第3回】
 観光地の栄枯盛衰はネットワークが作用しているのか:ネットワーク外部性の詳細な説明
【第4回】
 観光地ライフサイクル理論とネットワーク外部性の関わり:観光地ライフサイクル理論の精緻な説明とその問題点の指摘と理論の精緻化
【第5回】
 観光地ライフサイクル理論は現実の観光地の栄枯盛衰をうまく説明することができるのか.理論上の問題点と現実の問題点
【第6回】
 観光地ライフサイクル理論は観光におけるネットワーク外部性を否定していないのか:現実の観光地を例に挙げ統計的に検証する
【第7回】
 観光地の経営にはネットワーク外部性の考え方が不可欠:経営に欠かせないネットワーク外部性:その理由は
【第8回】
 観光地にとって競争相手はいない方がいいが,それでもコンテスタブルであるほうが観光地は発展する:コンテスタビリティの概念とその理論を説明する
【第9回】
 観光地の発展にはコンテスタビリティが不可欠:しかし観光地が独占を望む理由とは
【第10回】
 ネットワーク外部性の伝統的理論の説明と最近のモデルとの相違点の説明:何がどういう点で発展してきたのか
【第11回】
 ヴェブレン効果とバンドワゴン効果,そしてスノッブ効果の説明
【第12回】
 ヴェブレンの誇示的消費とバンドワゴン効果
【第13回】
 ネットワーク外部性はヴェブレン効果とバンドワゴン効果を包含するのか
【第14回】
 ネットワーク外部性と観光地の発展と後退:何が観光地を衰退させるのか:衰退要因の抽出
【第15回】
 この演習のまとめ