Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

ひとつ前のページへ戻る 教授名で検索

 
観光政策・行政論 I 小笠原 永隆
選択必修  2単位
【観光経営】 17-1-1130-4665-07

1. 授業の概要(ねらい)

 日本の観光は、明治維新以降には近代化政策の一環として国威発揚と外貨獲得を目指し、高度成長期以降は海外旅行の隆盛に伴い観光政策・観光業ともアウトバウンドに重点が置かれました。経済成長が鈍化する2000年代初頭、サッカーw杯日韓共催等を機に観光立国の議論が高まり、観光は官民をあげた重要政策課題となり、観光立国推進基本法や観光庁設立等が相次いで進められました。2013年12月には訪日外国人数が1,000万人を超えて、観光立国の旗印VJC(ビジットジャパンキャンペーン)の当初目標が3年遅れて達成され、以後その数は急増し2,000万人に及ぶ勢いである。外国人観光客が行き交う光景が当たり前のものとなり、政策が企図した《外国人を迎える「新しい観光」》は、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催の追い風を受けて、我国の産業・経済・地域コミュニティに極めて大きな影響を持つようになっています。
 本講義では、春学期の「観光政策・行政論Ⅰ」で、観光の変遷を時代区分毎に捉え観光政策の歴史とその背景について概説します。さらに、秋学期の「観光政策・行政論Ⅱ」では、政策の展開としての具体の計画事例や取組み事例について概説します。これら春・秋学期の通年での受講を通して、第二の開国ともいわれる現在の観光政策を歴史的潮流の中に位置づけて捉えること等により「新しい観光」への基礎的理解を深められるよう、各回の講義の構成を準備しています。そのため、本講義の受講者は秋学期の「観光政策・行政論Ⅱ」も受講することを望みます。
 具体的には、本講義(春学期「観光政策・行政論Ⅰ」)では、戦前、戦後復興期、高度成長期、バブル崩壊以降の時代区分を中心に、アウトバウンド・インバウンド・国内観光の別に留意しながら、観光政策の趣旨や主な法制度・関連組織および政策の背景としての観光動向・社会状況等について、エポックメイキングな事象や事例を概観します。

2.
授業の到達目標

 ①戦前、戦後復興期、高度成長期以降の観光政策の概要・特徴について基礎的事項を理解し、説明することができる。
 ②国土計画における観光政策の概要・特徴について基礎的事項を理解し、説明することができる。
 ③2000年代初頭以降の「観光立国」を掲げる観光政策の概要・特徴について基礎的事項を理解し、説明することができる。

3.
成績評価の方法および基準

 成績は以下の3つで評価します。
  ・中間テスト 45%
  ・期末テスト 45%
  ・講義内におけるリアクションペーパー(感想シート)内容 10%

4.
教科書・参考書

 基本的にはレジュメに基づいた講義とし、適宜パワーポイントを活用します。参考文献は授業のなかで必要に応じて適宜紹介しますが、より広く学ぶための関連図書を以下に示します。
 ・岡本伸之編(2001)『観光学入門』有斐閣
 ・寺前秀一編著・日本観光研究学会監修(2009)『観光学全集第9巻 観光政策論』原書房

5.
準備学修の内容

 観光政策の歴史をみていくなかで、関連するトピックス等も適宜簡単に紹介していくこととしますが、各自の関心ある事項についてはより深く調べてみるなど、時代背景を多面的に捉え理解を深めていく探求心を培ってください。

6.
その他履修上の注意事項

 授業内で紹介する法令等について、各自、法令の原文にもあたってみることや、歴史的な背景について関心ある内容を調べてみることなど、探究心をもって積極的に学びを深めていくように期待します。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 イントロダクション
【第2回】
 戦前、戦後復興期の観光政策・観光動向の特徴①
【第3回】
 戦前、戦後復興期の観光政策・観光動向の特徴②
【第4回】
 高度成長期の観光政策・観光動向の特徴
【第5回】
 観光政策審議会答申
【第6回】
 国土計画と観光政策①
【第7回】
 国土計画と観光政策②
【第8回】
 まとめと【中間テスト】
【第9回】
 観光立国への観光政策・観光動向の特徴①
【第10回】
 観光立国への観光政策・観光動向の特徴②
【第11回】
 観光立国始動期における地方公共団体の先進的取組事例①
【第12回】
 観光立国始動期における地方公共団体の先進的取組事例②
【第13回】
 観光立国始動期における地方公共団体の先進的取組事例③
【第14回】
 新たな観光立国推進基本計画
【第15回】
 まとめと【期末テスト】
  以上は、受講者の理解関心や進捗等により修正する可能性があります。また、必要に応じゲストスピーカーを招聘する機会をつくります。