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授業の概要(ねらい) |
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親族法と呼ばれる民法第4編「親族」は、夫婦の関係と親子の関係を法の対象とするほか、未成年の子どもや老齢親のように一人では生きていけない人を保護する制度である親権、後見、扶養を含む。いずれも私たち一人一人に関わる事柄であり、これから生きていくために現行制度についての正確な理解が必要である。 他方で、家族のあり方は社会の変化、時代の流れとともに絶えず動いている。とくに近年は家族生活における自己決定、夫婦の平等、子の福祉に関わる権利などについて人々の意識の変化が著しく、また医療技術の発達に伴い従来の親族法の枠内には収まりきらない問題が新たに生じてきている。事実婚、婚姻外で生まれた子の法的地位、夫婦別姓、児童虐待とDV、高齢者の介護、生殖医療などがその例である。現実に生きている私たちはこれらの新しい問題に向き合っていかなければならない。各人にこれらの問題を考える機会を提供することも目的とする。
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2. |
授業の到達目標 |
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①わが国の家族関係と家族生活-婚姻と離婚、親子関係、親権法、扶養と後見制度-についての基本的な法知識を修得する。 ②現代における家族のあり方を考えるとともに、家族員の権利について主体的に考えることができる。
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3. |
成績評価の方法および基準 |
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授業時間内に行う中間試験(40%)と期末試験(60%)の合計で評価する。
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4. |
教科書・参考書 |
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テキスト:『家族法』本山敦・青竹美佳・羽生香織・水野貴浩著(日本評論社) 参考文献:本山敦『家族法の歩き方』日本評論社。本書は家族法領域での判例の解説書である。
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5. |
準備学修の内容 |
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シラバスに沿って次回の授業範囲に相当するテキストの部分を読み、専門用語や条文の意味等を理解しておく。
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その他履修上の注意事項 |
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①テキスト、六法全書は毎回持参すること。 ②授業にきちんと出席し、中間試験と期末試験を受験しないと単位の取得は困難である。
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各回の授業内容 |
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【第1回】 | 序論 ― 現行家族法成立の沿革と基本理念、現在の家族に新たに生じている諸問題と法の不備 | 【第2回】 | 家事事件と家庭裁判所、戸籍制度、親族・親系 | 【第3回】 | 婚約、婚姻の成立 | 【第4回】 | 婚姻の効果(1)人的な関係 | 【第5回】 | 婚姻の効果(2)財産的な関係、 | 【第6回】 | 内縁と事実婚、婚姻の無効・取消し | 【第7回】 | 中間試験および試験問題解説 | 【第8回】 | 離婚制度概説、離婚の成立 | 【第9回】 | 離婚の効果 | 【第10回】 | 実親子関係(1)嫡出子 | 【第11回】 | 実親子関係(2)嫡出でない子、人工生殖で生まれた子 | 【第12回】 | 養子制度概説、普通養子制度と特別養子制度 | 【第13回】 | 親権 | 【第14回】 | 後見 ― 未成年後見と成年後見、扶養 | 【第15回】 | まとめと試験 |
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