Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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社会保障法 II 中江 章浩
選択  2単位
【法律】 17-1-1210-0382-05

1. 授業の概要(ねらい)

 老後の面倒は自分でみろという時代が来るように思います。それは、少子高齢化が進むのに、老後の生活を支える仕組みが、老人を若者が支える(賦課方式)ことに偏りすぎているからです。弱者保護と既得権保護が奇妙に結合する中で、人類が史上初めて長寿を持つようになった今日、老後とは何かを原点から考えなければなりません。そのために正義とは何か、その実現手段としての官民バランスは如何にあるべきか、を政治・経済・社会・科学技術を踏まえた歴史的見地から洞察する必要があります。「民で出来ることは民で」という言葉の意味を明らかにする一方で、官ではない公の仕事の仕方を常に用意しておく必要があります。そこで、本講座では、公とは何かという原点に戻って、官と民の守備範囲のあり方について学習します。また、内容は中江ゼミに直結し、全学部の方が受講できますので、ふるってご参加ください。

2.
授業の到達目標

 医療・介護・児童福祉・労災の概要と問題点について理解する。

3.
成績評価の方法および基準

 レポート(1回)、授業の出席、授業中の発言などを総合して評価しますが、出席点を重視します。

4.
教科書・参考書

 テキスト:『社会保障のイノベーション』(中江章浩著 信山社)
 参 考 書:『21世紀の社会保障』(中江章浩著 第一書房)、『社会福祉エッセンス』(中江章浩他著 自由国民社)、『トピック社会保障法』(中江章浩他著 不磨書房)、『日本のNPOシステム』(中江章浩著 エヌピー通信社)、『どうなる年金こうなるくらし』(中江章浩著 長崎出版)、『日本のなおし方』(中江章浩著 信山社)

5.
準備学修の内容

 指定した教科書を事前に読んでおくこと。
 このシラバスの授業計画の中に書かれている問についての自分なりの答をまとめておくこと。

6.
その他履修上の注意事項

 考えるための道具として法律の条文を使いますので、必ず、小六法を持参してください。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 使用するテキスト『社会保障のイノベーション』(中江章浩著 信山社)に従って、次の順序で、毎回の授業を行いますが、教科書の記述を単になぞるような授業をするのではなく、以下の問を切り口とする対話方式の授業を心がけます。
 医療保険
【第2回】
 後期高齢者医療制度
【第3回】
 介護保険
【第4回】
 診療報酬
【第5回】
 薬価基準
【第6回】
 薬害訴訟
【第7回】
 病院・診療所
【第8回】
 労災保険
【第9回】
 労災保険
【第10回】
 外国人労働者
【第11回】
 保育所問題
【第12回】
 児童虐待
【第13回】
 障害者福祉
【第14回】
 欧米の医療福祉
【第15回】
 アジアの医療福祉
 社会福祉法人
○2050年における日本の医療のあり方
―キーワード―
国民皆保険・営利法人の参入・混合診療・保険免責・医薬分業・診療報酬点数表・情報の非対称性・保険者機能・独立方式・政府管掌健康保険・喫煙と保険料率・終末医療・安楽死・尊厳死・健保と自賠責・不服申立制度・国民健康保険・短時間労働者・被扶養者・第3者のためにする契約
○医院は何故法人になるのか
―キーワード―
医療法人 中間法人法・法人擬制説・理事長・法人税率・許可主義 中間法人 公益法人等 特定非営利活動法人 人格のない社団等 普通法人 社団法人、財団法人、宗教法人、学校法人、社会福祉法人 課税対象 組織解散時の残余財産の帰属 社員脱退時の持分払い戻し 事業年度終了後の剰余金の分配 監督
○医師と薬剤師が対等の関係で仕事を分担するという医薬分業は何故なかなか進まないのか
―キーワード―
薬学部6年制 薬師の歴史 日本薬局方 製薬会社の経常利益 薬剤師と花嫁修業 麻薬取締法 医薬部外品と化粧品
○医者が増えると医療費も増加するから、医学部の定員はあまり増やさないほうがよいという意見は正しいか
―キーワード―
医師免許制+自由開業制 行政計画(医療計画・地域福祉計画・老人保健福祉計画・医学部定員削減)による機能分化・供給量管理 独立行政法人化という民営化 単なる予防から健康増進へ 徳州会と地元医師会 医師養成と私学助成金 医療における需要供給関係
○医者でないビジネスマンが病院のトップになれるか
―キーワード―
権利能力、意思能力、行為能力 私権、人格権 財産権 管理権 自然人、法人、公法人、私法人、公益法人 営利法人、中間法人、法人本質論 法人否認説 法人実在説 法人擬制説、医療法人、社会福祉法人、法人の組織 理事 定款 寄付行為 管理 解散 監督 法人の不法行為責任 代理、政党法、一般法人法、会社法、公益認定法、役所の監督から法人自体の内部統制へ、市場原理主義、情報の非対称性、日本版SOX法、アメリカの病院経営 組織の盛衰 技師長と事務長 ジンギスカンの軍隊 技術と管理 ラインとスタッフ ドイツ参謀本部、軍部大臣現役武官制、文民条項
○介護労働者が足りないのでインドネシアからケアワーカーを受け入れることは正しいか
―キーワード―
介護労働者の離職率、不法滞在者5年半減計画、在留カード、技能実習、米国移民法改正、移民の是非、基本的人権の原理 基本的人権の限界 包括的基本権と法の下の平等 賦課方式 税と保険料 裁判所 国籍法と出入国管理法 日本人と地球人 グローバル化 情報革命、アファーマティブアクション、外国人の人権、永住市民権(denizenship)、Economic Partnership Agreement、Trans-Pacific Partnership
○株式会社に病院経営をさせてはいけないという意見は正しいか
―キーワード―
民法総則の法人との関連 権力と法人設立の歴史・許可認可特許届出・病院診療所の設立・法人税率 許可認可特許の違い・独立行政法人・医療法人は公共法人でない 法人とは何か・配当禁止・医師のみ管理者 法人ごとの設立・金(法人税・配当)・組織の表 医療施設・医療計画・医療マンパワー、法人 民法改正 一般法人法 公益認定法、中間法人と営利の意味 商法改正 会社法 持分会社 一人法人 法人税率 公益法人 公共法人 公益事業 特定医療法人 特別医療法人 特許 許可 認可 認証 届出 自由設立主義 官の仕事 役所と法人の関係、日本版SOX法、金融商品取引法
○救急医療を充実させるにはどうしたらよいか
―キーワード―
自動体外除細動器(AED) 人工呼吸器 休日夜間医療 救急医療体制 広域救急患者搬送体制 救急救命士制度 大学付属病院の使命 救急医療情報センター 災害医療 僻地医療
○クリニックは会社と同じく一人で作れるが税金が高く、福祉施設は一人では作れないが税金が安いのはなぜか
―キーワード―
法人 民法改正 一般法人法 公益認定法、中間法人と営利の意味 商法改正 会社法 持分会社 一人法人 法人税率 公益法人 公共法人 公益事業 特定医療法人 特別医療法人 特許 許可 認可 認証 届出 自由設立主義 官の仕事 役所と法人の関係、日本版SOX法、金融商品取引法
○交通事故にあってしまった時、自賠責と医療保険のどちらを使うのが得か
―キーワード―
自賠責と健保の違いから考える医療保険の本質、交通事故の際の損得、医師会vs朝日新聞、健保組合vs保険会社、点数表1点の値段、傷病手当金、一部負担金、支払い上限
○国民医療費の配分を決める中医協はなぜ伏魔殿と言われるのか
―キーワード―
70年代3Kの今 コメ・国鉄と健保 自主流通米と国鉄民営化 これからの医学(オーダーメイド医療)と医療経済 封建統制と官僚統制 ルネサンス期のイタリア農民 保険診療の歴史は半世紀 官僚統制と医療 最後に残った統制経済と利権
○月3万円の国民年金しかない老人から介護保険料を取ることは正しいか
―キーワード―
租税法律主義 条例と告示 保険者機能 効率と公平 基礎年金水準 介護保険の減免3原則 外形標準課税 非営利法人と課税 生活保護基準以下 ワーキングプア、旭川国保訴訟、サラリーマン税金訴訟、強制加入、赤字企業の保険料負担と納税 国民年金保険料の免除 負担と給付の対応性 強制執行
○日本歯科医師会が自民党に献金して診療報酬の配分を変えたという汚職は、なぜ起こったのか
―キーワード―
政治の透明性 政治資金規正法 性悪説と献金の上限 迂回献金と天引き制度(所得税・組合費・業界団体会費) 政治資金の透明化 政党助成金 議会制度と金 業界団体の政策誘導 狭く厚い政治献金 1940年体制の是非 麻薬禁止と飲酒禁止 取締りと免疫システム お中元と田沼意次
○日本医師会の会長を長年勤めた武見太郎の呪縛は、なぜ自動車産業の規模より大きいと言われるのか
―キーワード―
中医協委員構成にみる統制システムの弊害 医療保険の規模 医療団体権謀術数史 診療報酬点数表の意味 開業医と勤務医 設置法改正=病院代表とチーム医療 軍部大臣現役武官制と中医協 診療側委員引き上げと保険医総辞退 弱者の恫喝とprofessional freedom 法治国家と圧力団体
○愛人を作って夫が家を出てしまったために、週5日午後1時から7時まで平均時給の7割でスーパーのレジで働く女性に対する社会保障の適用はどうすべきか
―キーワード―
少子高齢化 人口転換 4分の3の原則 厚生年金 国民健康保険 労働保険 国民年金の空洞化 賦課方式 個人単位 第3号被保険者 遺族年金 民法改正案 破綻主義 重婚的内縁関係 年金分割 基礎年金の国庫負担分 税と保険料の違い 国際競争力 エンゼルプラン 少子化対策基本法
○医事法:厚生労働省の認可した血液製剤「フィブリノゲン」の投与で、C型肝炎に感染した人は、誰にどんな責任を追及できるか
―キーワード―
官僚の個人責任 国家無責任原則 国家賠償法 費用負担者 損失補償法 自己責任 代位責任 公権力の行使 公務員 職務行為 典型的行政処分 違法性 故意・過失 予見可能性 回避可能性 公権力の不行使 独立行政法人 公の営造物 管理の瑕疵 費用負担者、過失構造論、旧過失論、新過失論、新新過失論 過失論、薬事審議会、医薬品、中医協、繰り返される薬害、ウィルスとバクテリア、正常分娩と帝王切開、使用薬剤の記録、カルテの保存義務、個人情報の公開、和解と慰謝料、損害賠償のための特別税
○医事法:臓器移植のために、臓器を求めて、世界を駆け巡るジャパンマネーはどうなるか
―キーワード―
人工移植(implant)、生体移植、和田心臓移植事件、角膜及び腎臓の移植に関する法律、臓器の移植に関する法律、臓器提供意思表示カード、15歳未満の子供の脳死後の臓器提供、移植年齢の下限を15歳から12歳に緩和、患者の意思が不明でも家族が同意すれば、移植施設
○医事法:脳死は本当に人の死なのか
―キーワード―
脳・心臓・肺すべての機能が停止した場合(三兆候説)、脳幹機能の停止、「植物状態」「植物人間」、経管栄養、脊髄自動反射、長期脳死
○医事法:末期癌の父親の様子があまりにも苦しそうなので、直る見込みも無いからと思って、人工呼吸器を医師にはずしてもらったら罪になるか また、脳死状態になった場合に臓器移植することは許されるか
―キーワード―
違法性阻却 正当行為 正当防衛 緊急避難 被害者の同意 有効な同意 同意の有効要件 同意暴行 推定的同意 危険の引受け 実質的違法性阻却 嘱託殺人 自殺幇助 消極的・間接的・積極的安楽死、尊厳死、オランダ安楽死法、緩和ケア、生涯医療費、高瀬舟、植物状態、脳死、脳死判定、竹内基準、臓器移植、臓器売買、違法性 客観的違法性 実質的違法性 結果無価値 存在そのものの意義 コスト意識
○医事法:明治期に作られた伝染病予防法と平成になってから作られた感染症予防法は何が違うのか
―キーワード―
人権保障 北里柴三郎 コレラ ペスト コッホ 1類感染症 検疫感染症 ウイルス性出血熱 ウイルス肝炎 キャリア C型肝炎 事前対応型行政 検疫所 港湾衛生業務 予防接種 健康被害救済制度 国立感染症研究所
○医事法:薬害エイズ帝京大学病院事件では、誰が、いつから、どんな責任を問われるべきか
―キーワード―
過失の構造、旧過失論、新過失論、新々過失論、結果予見義務、結果回避義務、予見可能性、管理監督過失、不注意の競合、信頼の原則、結果無価値、行為無価値、不作為犯、薬事審議会、ミドリ十字、生物製剤課、血友病、非加熱製剤、クリオ製剤、HIV、AIDS、売血、輸入許可、FDA
○介護:家族が寝たきりになったらどうするか
―キーワード―
地雷と介護の類似性 介護保険法 第1号被保険者 ゴールドプラン 介護保険事業計画 サービス提供事業者 施設サービス 在宅サービス 要介護認定 ケアマネジメント 老人福祉法
○介護:自宅療養したいという脳梗塞による下半身麻痺で入院中の老人を助けるにはどうしたらよいか
―キーワード―
介護保険法 施設サービス 在宅サービス 居宅サービス事業者指定の更新制 予防給付 要介護認定 ケアマネジメント 老人福祉法
○介護:判断能力が衰えた老人が2人に売ってしまった土地は誰のものか
―キーワード―
認知症 行為能力 後見・保佐・補助 物権変動 対抗要件 意思表示 意思の瑕疵 公示力と公信力 無効と取消 成年後見制度 福祉サービス利用援助事業 精神障害者 同意 精神保健指定医の診断 保護者の同意 医療保護入院 精神病院 犯罪構成要件 法益 人身の自由を侵す罪 任意入院 措置入院 精神保健 精神障害 社会的耐性 結果無価値と行為無価値 客観的違法性と実質的違法性 違法性阻却事由
○介護:介護保険料を払わない男の妻は、それを払わないといけないか
―キーワード―
否認・自白・連帯保証・抗弁権 各社会保険の基礎単位の違い 被扶養者 被保険者 国民健康保険の本人と家族 老人の負担の仕方
○介護:自分で高価な車椅子の購入契約を結び代金を支払ってしまった、自由に歩ける認知障害の老人を助けるにはどうしたらよいか
―キーワード―
成年後見制度 福祉サービス利用援助事業 擬似市場 福祉契約 オンブズマン 小規模多機能サービス拠点 グループホーム 施設機能の地域展開 介護保険審査会 成年後見制度 福祉サービス利用援助事業 苦情解決制度
○制度:医療サービスはどんなときにどんなものが受けられ、その値段はどう決まるのか
―キーワード―
一部負担 高額療養費 金銭給付 差額負担 健康保険 診療報酬点数表 薬価基準 支払基金 老人保健制度 国民医療費 保健事業
○制度:医療財政については国家の管理が強いシステムとしつつ、医療供給体制については民間中心のシステムとすることはよいか
―キーワード―
開業医と公衆衛生への重点配分 途上国型医療構造から成熟経済型医療構造へ 貯蓄・保険と所得再配分の渾然一体性 高齢者介護の意味 福祉の市場化
○制度:医療財政については国家の管理が強いシステムとしつつ医療供給体制については民間中心のシステムとしたのはなぜか
―キーワード―
開業医と公衆衛生への重点配分 途上国型医療構造から成熟経済型医療構造へ 貯蓄・保険と所得再配分の渾然一体性 高齢者介護の意味 福祉の市場化、日本の医療・年金・福祉の特徴と問題点
○制度:医療保険制度がドイツ型モデルから変容して国民皆保険と普遍主義への志向を持ったのはなぜか
―キーワード―
老人保健制度と基礎年金制度 医療保険と年金の関係 経済の二重構造と政管健保の意味
○制度:公的医療保険に加入を強制しない代わりに公的扶助を充実した方が財源の使い方としてより効率的であるという意見は正しいか
―キーワード―
フリーターの入る医療保険 国民皆保険の罠 オーダーメイド医療
○制度:高齢化の中で増え続ける老人の医者通いに対応するため、高齢者だけの制度をつくることにした場合、どんな問題があるか
―キーワード―
高齢化 予防 健康転換 キャップ制 高齢者保険制度 世代間戦争 保険証 償還払い 現物給付 傷病手当金 保険者
○制度:財政上の理由からある部分の保険適用をやめるとすれば軽い病気と重い病気のどちらがよいか
―キーワード―
給付スタートライン 最高給付ライン 保険免責 混合診療 日米医療の差 経済規制と社会規制 国民医療費 医療費控除 腎臓移植 人工透析
○制度:情報化・高齢化・国際化の進展の中で、医療福祉政策は30年後どうなっているか
―キーワード―
国民皆保険 社会保険庁 医療法人 営利法人の参入 混合診療 保険免責 末期医療 ジェネリック医薬品 医薬分業 診療報酬点数表 中央社会保険医療協議会 平均在院日数 情報の非対称性 保険者機能 独立方式 政府管掌健康保険 国民健康保険 保険医療機関 税と保険料 社会保障給付費
○制度:日本の制度がドイツ型モデルから変容して国民皆保険と普遍主義への志向を持ったのはなぜか
―キーワード―
後期高齢者医療制度(旧老人保健制度)と基礎年金制度 医療保険と年金の関係 経済の二重構造と協会健保(旧政管健保)の意味、日本の社会保障の特徴と評価
○制度:大病院へ患者が集中するため、3時間待って3分間診療が続くのは、病院・医師への報酬の決め方に問題があるという意見は正しいか
―キーワード―
大学病院への患者集中 病院経営と診療頻度 一人医師医療法人
○制度:誰もがどこかの医療保険に入らなければならないが、自分の好きな制度に入れるようにした場合、どんな問題があるか
―キーワード―
学食とレストラン・義務教育と私立学校 加入強制の合理性 社会保険誕生の背景 ビスマルク 官のメリット・デメリット 鉄道型と学校型 赤字企業の保険料負担と納税 租税法定主義と社会保険料 強制執行 消費税と納税者番号 外形標準課税と人頭税 目的税 負担と給付の対応性 社会保障個人口座 保険者自治 社会保険庁 機会の平等 福利の平等 結果の平等 夜警国家 福祉国家
○家族主義的福祉国家とはなにか
―キーワード―
低出生率均衡 家族の変化と貧困 脱商品化 脱家族化 階層化 母親の就業と出生率、福祉国家と家庭経済
○国家像の変容によって福祉国家はどう変わるか
―キーワード―
国民国家とは 国民国家フレームの揺らぎ 国家の二つの意味 二つの逆U字カーブ仮説 高齢化と地球環境問題、地球化時代の福祉国家
○社会保障における公私の役割分担はどうあるべきか
―キーワード―
効率性vs公平性 社会保障の二つの機能 リスク・情報・規範 ロールズの正義と社会保障 共同体の意味、社会保障を考える視点
○福祉国家は戦争国家との対比で使われるようになったと言われるのはなぜか
―キーワード―
リスクの分散 所得の再配分 ケインズ政策と社会保障 福祉国家の黄金時代、福祉国家の生成と展開
○福祉施設を経営する事業は、国の仕事か
―キーワード―
救護施設や更正施設 法定受託事務 自治事務 機関委任事務の廃止 地方分権推進法 一部負担金減免の可否 相談業務 社会福祉協議会 民生委員 代表権 第一種社会福祉事業 障害者更正施設
○福祉の理念は欧米ではどのように作られてきたか
―キーワード―
黒死病 教区委員 慈善組織協会 貧困線 ベバリッジプラン マーケットバスケット方式 エリザベス救貧法 社会調査 ナショナルミニマム ビスマルク ベバリッジ報告 米社会保障法
○福祉の理念は日本ではどのように作られてきたか
―キーワード―
無告の窮民 人足寄場 方面委員 反射的利益 GHQ 恤救規則 救護法 国民皆保険 福祉元年 社会福祉基礎構造改革
○福祉レジームとはなにか
―キーワード―
出生率と移民 学習戦略の限界 公正性と効率性の判定基準 女性の雇用と共働き世帯 公正な退職 保守主義 自由主義 社会民主主義、21世紀の福祉国家
○福祉を所管する厚生労働省・県庁はどのような仕組みで動いているのか
―キーワード―
社会福祉事務所 社会保険事務所 社会福祉主事 民生部 保健福祉センター 社会福祉協議会 民生委員 代表権 第一種社会福祉事業 身体障害者更正施設 社会福祉法人 社会福祉法 特別法人 三位一体 補助金と負担金 厚生保険特別会計 財政投融資 財政法と会計法
○児童:いつまでたっても役所が0歳児用の保育所を作らない場合、どうしたらよいか
―キーワード―
裁判を受ける権利、特別裁判所の禁止、行政事件訴訟法、行政不服審査法、行政手続法、抗告訴訟、取消訴訟、裁量行為、立法不作為、不作為違法確認の訴え、無名抗告訴訟、民衆訴訟、住民訴訟、異議申し立て、自由選択主義、不服申立前置主義、訴願前置主義、公定力、第三者効、保育所、認可外保育施設、認証保育所、人員配置基準、保育料、措置から契約、割振方式の転換、待機児童、乳児・幼児・少年
○児童:インフルエンザの予防接種で、たまたまアレルギーにより急死した3歳児は、誰にどんな請求ができるか
―キーワード―
予防接種禍事件:過失の推定、国賠法、損失補償、谷間の救済、賠償・保障・補償、違法無過失の取り扱い、自賠責、刑事補償、損失補償、責任保険・損害保険・社会保障の関係、賠償・補償・保障・保証の関係
○児童:受験勉強がつらくて発作的に自宅に火をつけた結果、寝ていた両親を焼死させてしまった中学生は牢屋に入るべきか
―キーワード―
非行少年 刑事処分 家庭裁判所 審判 刑事処分相当 検察官送致 起訴 違法性 責任 刑の適用と執行 起訴 非行少年 国家賠償法 不法行為責任 児童福祉法 付添人
○児童:女性の社会進出が進むと出生率は低下するか
―キーワード―
少子化対策、社会保障の意味:投資・負担・社会統合、『福祉資本主義の三つの世界──比較福祉国家の理論と動態』エスピン=アンデルセン、育児休業法、ワークシェアリング、ワークライフバランス、児童手当、相関係数の変化
○児童:中国人未婚の母の子は、日本人である父親の認知で、日本国籍を取得できるか
―キーワード―
児童扶養手当法:認知の効果、認知後の手当打ち切り、国籍と認知、遡及効と認知、国籍法2条・3条、最高裁の判例変更、生地主義と血統主義
○児童:繁盛している駅前の無認可保育所に補助金を出してもよいか
―キーワード―
保育所とバウチャー、公金支出制限と公の支配、婚外子の相続とPACS、需要と供給から見た官民グラフ、憲法89条、少子化対策基本法
○児童:世の中を悪くしているのは官僚であると思いつめて、厚労次官を襲撃してしまった中学生は牢屋に入るべきか
―キーワード―
違法性の意識、故意の要件、非行少年 犯罪少年・触法少年・虞犯少年、児童相談所 少年法 違法性 責任 刑の適用と執行 起訴 国家賠償法 不法行為責任 児童福祉法 付添人 刑事処分 家庭裁判所 簡易送致、仮出獄、保護観察、刑事処分相当 検察官送致、逆送 刑務所 少年院、少年鑑別所、保安・保護処分、保安処分についての一元主義・二元主義の根拠
○社会学者は社会学上の古典を尊敬して止まないのはなぜか?
―キーワード―
ライトモチーフ マルクスの階級理論 ウェーバーの官僚制理論 歴史の終焉 福祉資本主義の三つの世界、来るべき社会のための社会学
○社会勘定の統合システム構築が失敗したのはなぜか?
―キーワード―
共通測定基準 残余的介入 アマルティア・センの潜在能力 社会的リスク 主体としての個人、社会的指標と福祉の測定
○福祉・社会保障制度改革の選択肢と方向はなにか
―キーワード―
雇用形態の変化 女性の社会進出 競争 消費者のエンパワーメント 欧米諸国の社会保障改革 出生率と移民 学習戦略の限界 公正性と効率性の判定基準 女性の雇用と共働き世帯 公正な退職 ライフサイクルの柔軟化 平等概念の再検討 定年退職制度の廃止 余暇と仕事の組合せ ロールズ的モデル福祉レジーム、これからの社会保障
○福祉国家のそれぞれの違いをどのように説明すればよいか
―キーワード―
近代化理論 国民国家形成と民主化 ジェンダーの不平等 政治重視の理論 再分配のパラドックス 国民国家とは 国民国家フレームの揺らぎ 国家の二つの意味 二つの逆U字カーブ仮説 高齢化と地球環境問題 国家像の変容 リスクの分散 所得の再配分 ケインズ政策と社会保障 福祉国家の黄金時代 福祉国家と戦争国家、社会福祉政策の比較論
○労災:うつ病で自殺した会社員は、労災の給付を受けられるか
―キーワード―
安全配慮義務、うつ病自殺、会社に対するテロによる負傷、日本人全体に対するテロによる負傷、本人の大ポカによる負傷、附則64条、自賠責、刑事補償、損失補償、責任保険・損害保険・社会保障の関係、賠償・補償・保障・保証の関係、地下鉄サリン事件
○労災:懲らしめてやろうと殴りつけたところ、偶々動脈瘤があったため、打ち所が悪く相手が死んでしまった場合、どんな罪になるか
―キーワード―
結果的加重犯 結果無価値 新過失論 因果関係 相当因果関係説 折衷的相当因果関係説 不作為犯の因果関係 疫学的因果関係 因果関係中断論 条件説 賠償すべき範囲
○労災:障害年金がもらえる場合、労災の給付どうなるか
―キーワード―
損益相殺:障害厚生年金と労災の優劣、政府の求償権、故意犯と給付制限、三共自動車事件、代位取得、保険代位、求償権、責任保険
○労災:通勤途上で病院で診察を受けても、その後は、また労災の適用を受けられるのはなぜか
―キーワード―
通勤災害の要件・逸脱中断・日常生活上必要な行為・駅伝部に顔を出す行為、労災法7条の適用、単身赴任と通勤、業務災害、給付基礎日額、療養補償給付、休業補償給付、傷病補償年金、支給制限、費用徴収、労働福祉事業、特別加入、通勤災害の逸脱中断の具体的適用、請求権の競合
○労災:仕事で怪我をしたり、死んだりしたらどうするか
―キーワード―
労災保険と医療保険、特別加入、通勤災害、1973年改正、療養補償給付、因果関係、客観的帰属、業務の遂行性と起因性、アスベスト被害補償