1. |
授業の概要(ねらい) |
|
第二次世界大戦までは、人権問題は原則として国内問題として扱われ、国際法によって規律されることはほとんどなかった。しかし、ナチスドイツの大規模かつ組織的な人権侵害を見逃したことが、第二次世界大戦の一因となったという反省から、平和と人権は切り離して考えることができないという認識が生まれ、第二次大戦後は、国家に人権の保護を義務付け、実施のための手続きを定める国際法、すなわち国際人権法が急速に発展を遂げてきた。国際人権法(2014年度までの国際法特講A)では、これらの国際人権法について、基本的な知識の習得を目指して、最新の具体的事例を踏まえて講義する。なお、この科目は2002年度までは4年次配当であったが、2003年度より3・4年次配当、2006年度より3年次配当となったので、3年生でも履修可能である。
|
2. |
授業の到達目標 |
|
①国際法のより高度な発展科目として、国際人権法の形成と発展の過程について理解できるようになる。 ②国際法のより高度な発展科目として、人権の国際的保護のための法的枠組みについて理解できるようになる。
|
3. |
成績評価の方法および基準 |
|
原則として、期末試験100%で評価する。中間試験やレポートは実施しない(詳しくは第1回で指示する)。
|
4. |
教科書・参考書 |
|
テキスト:『国際人権法』 渡部 茂己 編著(国際書院) 2012年度よりメインテキストを変更しているので、2010年度以前入学の諸君は注意されたい。 参 考 書:『人間の法的権利』 ポール・シガート 著、初川 満 訳(信山社) 『国際人権法概論』 初川 満(信山社) 『テキストブック国際人権法(第3版)』 阿部 浩己・今井 直(日本評論社) 『人権法入門―国境をなくす「人権」―』 萩原 重夫(明石書店) 『国際人権法入門』 トーマス・バーゲンソル 著、小寺 初世子 訳(東信堂) 『国際人権入門(第2版)』 横田 洋三 編(法律文化社) 『ブリッジブック国際人権法』 芹田 健太郎・薬師寺 公夫・坂元 茂樹(信山社) 『国際人権・刑事法概論』 尾崎 久仁子(信山社)(2012年度までのテキスト) その他、講義の中で適宜指示する。
|
5. |
準備学修の内容 |
|
必ず教科書・プリントで予習・復習をして、自学自習の習慣を身に付けて頂きたい。 教室に座っていさえすれば単位がもらえると思っているならば、大間違いである。
|
6. |
その他履修上の注意事項 |
|
①国際法(歴史・法源)(国際公法A)、国際法(主体)(国際公法B)、国際法(空間)(国際公法C)・国際法(秩序維持)(国際公法D)、国際安全保障法(国際法特講B)、国際政治学I・II/A・B、外交史I・II/A・B、国際組織法I・II/A・B、国際裁判所論I・II(国際紛争処理法A・B)、国際関係論I・II/A・B、国際刑事法I・II。ことに国際法(歴史・法源)(国際公法 A)、国際法(主体)(国際公法B)は単位を既に取得しているか、または並行して履修していることが、極力望ましい。 ②毎日、新聞の国際欄を読んだり、テレビのニュースを見たりして、自発的に国際問題に対する関心を深めるよう、努力して頂きたい。 ③テキストの順序に従って講義するが、随時、補足のためにプリントも配布する。講義の初日と最終日のみ出席するようないい加減な受講態度では、単位の取得は望めない。「先生の話はだまって聞きましょうね」、「勝手にお外に出てはいけません」とは幼稚園児が習うことである。幼稚園児「未満」の振舞いは、厳に謹んで頂きたい。途中で出て行くつもりなら、初めから来なくてよろしい。
|
7. |
各回の授業内容 |
|
【第1回】 | 教科書の構成に従って、以下の順序で講義する。 2012年度より大きく構成が変わっているので、2010年度以前入学の諸君は注意されたい。 オリエンテーション | 【第2回】 | 人権の国際的保護の歴史① 第一次世界大戦まで―外国人の保護 | 【第3回】 | 人権の国際的保護の歴史② 第一次世界大戦まで―条約による少数者の保護、奴隷売買の禁止 | 【第4回】 | 人権の国際的保護の歴史③ 第一次世界大戦まで―国際人道法の登場、人道的干渉の主張 | 【第5回】 | 人権の国際的保護の歴史④ 戦間期―国際連盟による少数者の保護、委任統治 | 【第6回】 | 人権の国際的保護の歴史⑤ 戦間期―国際労働機関(ILO)による労働者の保護、難民の保護 | 【第7回】 | 人権保障と国連システム① 2006年までの制度 | 【第8回】 | 人権保障と国連システム② 2006年以後の制度 | 【第9回】 | 人権保障のための普遍的条約① 国際人権規約 | 【第10回】 | 人権保障のための普遍的条約② 国際人権規約以外の人権条約 | 【第11回】 | 人権保障のための地域的条約 | 【第12回】 | 女性の権利 子どもの権利 労働者の権利 | 【第13回】 | 難民の権利 先住民族の権利 開発と人権 | 【第14回】 | 国際人道法(プリントで補足) | 【第15回】 | 国際刑事裁判所(プリントで補足) ただし、以上は大まかな予定であり、必ずしもこの通りに進行するとは限らない。 |
|