Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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不法行為法 長谷川 成海
選択  2単位
【法律】 17-1-1210-0425-04

1. 授業の概要(ねらい)

 不法行為とは、人が他人に損害を加えた場合に、一定の要件のもとで被害者に対する損害賠償責任を加害者に負わせる制度である。言い換えれば、他人の権利や正当な利益を侵害した加害者が被害者に損害賠償をすることによってその損害を填補し、被害者の救済を図る制度である。
 個人が偶然の事故によって他の個人の財産を損傷したり身体にけがを負わせたりする古典的な不法行為類型から、自動車事故、公害、医療過誤、製造物責任などの現代型不法行為、そして、侵害される利益が時代とともに変化してきた名誉棄損やプライバシー侵害まで、不法行為制度は幅広い類型の「損害」に適用される。
 この授業では、民法709条を中心とする一般不法行為の基礎的な理論を学習し、不法行為の適用事例に即して、私法(民法)上の様々な権利の特色を検討していきたい。
 なお、授業内容の理解を確認するために、授業中に適宜、演習問題を配布し、解く。

2.
授業の到達目標

 ①不法行為法の基礎理論を学習し、この分野の基本的な知識を習得する。
 ②不法行為法では、様々な私法上の権利を取り扱うため、これにより、民法の体系的理解を深めたい。

3.
成績評価の方法および基準

 LMSを利用した学期末試験により(100%)評価する。試験の内容は、授業中に配布する演習問題をベースとしたものとなる。
 なお、必要最低限の出席を単位取得の前提とする。また、出席回数を部分的に評価の参考とする場合がある。

4.
教科書・参考書

 吉村良一『不法行為法』(第4版)有斐閣

5.
準備学修の内容

 復習を中心に、授業でのノートを参考にしながらテキストをよく読みこんでもらいたい。また、授業中に使用した演習問題をLMSにアップロードするので、理解して正答を得られるまで繰り返し解いてもらいたい。

6.
その他履修上の注意事項

 民法科目の中では、とっつきやすい分野だと思われるが、奥は深い。物権、債権から家族法上の権利にいたる様々な権利が関わるため、民法全体の理解を深めるのに役立つ科目でもある。
 テキストと六法を持参の上で授業に出席してもらいたい。
 なお、出席管理システム(カードリーダーと学生証)の不正使用には厳正に対処する。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 イントロダクション
【第2回】
 不法行為とは何か
【第3回】
 過失責任原則
 責任保険その他の救済制度と不法行為との関連
【第4回】
 民法709条の構造
【第5回】
 利益侵害と違法性
【第6回】
 故意と過失
【第7回】
 過失の判断要素としての注意義務
【第8回】
 損害
【第9回】
 因果関係
【第10回】
 不法行為訴訟における証明責任
【第11回】
 損害賠償請求権
【第12回】
 損害賠償の範囲
【第13回】
 損害賠償額の算定
【第14回】
 不法行為損害賠償請求権の特質
【第15回】
 まとめ