Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

ひとつ前のページへ戻る 教授名で検索

 
憲法特講 II 金澤  誠
選択  2単位
【法律】 17-1-1210-1952-06

1. 授業の概要(ねらい)

 2013年の流行語大賞トップテンにも選ばれた「ヘイトスピーチ」。ヘイトスピーチは法律で禁止すべきか?憲法の観点から、検討してください。こんなレポート課題が出された場合、あなたならどうしますか?日本の政治家の言っていることは、なんか信用できないし……
 そうだ!外国の状況を調べてみよう。ここまでくれば、あなたは、「比較」憲法の世界(の入り口)にたどり着きます。日本の法律の勉強に疲れてしまった(取りつかれてしまった)みなさんも、「箸休め」でいいので、日本という国を、外から眺めてみませんか?きっと新たな発見があるかもしれませんよ。
 この旅行は、パスポートもお金も必要ないですし、(雲のように)気楽に行って、帰ってこれます。皆さんの搭乗を心よりお待ちしております。
 この講義は、「比較法」の講義そのものではありませんが、「比較」という観点を積極的に取り入れて、わが国における憲法にかんする問題を検討します。他大学には、比較憲法という講義が開講されていることがありますが、その入門編と考えていただければ、それで大丈夫です。
 憲法特講Ⅰのように、「多様な受講生」を歓迎するという趣旨とは少し離れてしまうかもしれませんが、「携帯やスマホだけで調べた」と安易にいってしまう世代に向けている講義でもあります。履修者の人数によって、中身の変更がありますが、現段階では、わかりやすく下記のような内容を提示しておきます。なお、人権の問題だけでなく、(皆さんが苦手だとされる)統治の問題を積極的に検討したいと思います。

2.
授業の到達目標

 ①憲法の分野における、高度な知識を獲得することができる。法律や憲法を比較することに意味があるのか?あるとすれば、どのような意義があるのかを説明できる。
 ②法律や憲法を比較する際のルールを説明できる。いい加減な比較を見抜くことができる。
 ③自分の国や文化について、相対的な目で見ることができる。「俺はジャイアン(俺はオレ・自分流)」という理念について、場面に応じつつ、批判もしくは受容できる。

3.
成績評価の方法および基準

 試験による評価が原則です(60%)。論述式の問題が多くなります。講義中の発言と小レポート(20%)、中間テストによる評価(20%)もあります。

4.
教科書・参考書

 教科書として、笹田栄司・山崎友也・原田一明・遠藤美奈『トピックから考える統治制度ーー憲法を考えるーー』(有斐閣・2015年)を指定します。
 参考文献として、人権分野を含むものとして、辻村みよ子『比較憲法』(岩波書店・2011年)、君塚正臣編『比較憲法』(ミネルヴァ書房・2012年)、滝沢正『比較法』(三省堂・2009年)、広渡清吾『比較法社会論研究』(日本評論社・2009年)、広渡清吾『法システムⅡ 比較法社会論ーー日本とドイツを中心にーー』(放送大学教育振興会・2007年)など。

5.
準備学修の内容

 資料を配布した場合には、それをメモを取りながら読んでくる必要があります。文献ないし判決を要約したうえで、論点を提示しながら自己の見解を提示できるようになりましょう。人数にもよりますが、授業中の双方向コミュニケーションを重視します。この講義は、文献を読むという積極的な作業をおこないます。そうしたことに興味ある好奇心のある学生さんの受講を歓迎します。

6.
その他履修上の注意事項

 ①難しくいえば、社会生じている法的現象に興味を持つことが求められます。統治にかんする論文を扱うこともあります。ニュース報道を見ながら、それと照らし合わせる癖をつける必要があります。
 ②軽くいえば、ケンポーに関する知識は、最低限度のもので構いません。それよりも、想像力(妄想力?)をもって、実際にいろいろな紛争を見ていく姿勢が何よりも重要です。なお、「イベントde投票」という機能を使って、携帯やスマホを使った、クイズ大会をおこなったことがあります。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 はじめに
【第2回】
 憲法の歴史・デモクラシー(憲法はいつ生まれたの?)
【第3回】
 比較憲法の方法(まずは、タイムマシーンで、どの時代の、どの国に行くの?○○方面?△△経由、トランスファー?)
【第4回】
 国民の司法参加(アメリカの陪審制って、日本の裁判員制度と何が違う?多数決で死刑って決められるの?)
【第5回】
 参審制・憲法裁判所って?(たまには、ドイツやフランスにも行ってみようか?憲法裁判所ってどこにある?)
【第6回】
 憲法改正(外国では何度も改正されているんだから、日本でも……)
【第7回】
 道州制って?(住民投票って、出逢い・めぐり逢い条例にあやかりたい?)
【第8回】
 公金支出って・政党助成って?(やっぱり最後はお金ですか。カジノではないよ。)
【第9回】
 議院内閣制(日本もアメリカみたいに自分たちで総理を選びたいんだけど……)
【第10回】
 二院制(参議院と衆議院ってどっちがえらいの?「優越」してても決まらない場合、世界ではどうするの?)
【第11回】
 国会(国会の吉牛は、高くて、おいしいらしいけど、それ以外の国会も勉強してみよっか?)
【第12回】
 選挙制度(投票を義務化してしまえば、みんな選挙に行くね。どうしてそうしないの?)
【第13回】
 男女平等・共同参画(逆差別、逆差別って言うけれど……実際、外国はどうなの?女性専用席って、女子大って、女性議員って?マイノリティって?)
【第14回】
 家族と法の変容(家族って何?結婚しないといけないの?事実婚って?どこの国にお連れしますか?)
【第15回】
 むすびにかえて(まとめと到達度の確認)(映画で見ると、アメリカって弁護士の数が多いようにみえるけど?日本はどうなの?日本人は裁判嫌い?)