Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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法律学演習 II 金澤  誠
必修  2単位
【法律】 17-1-1210-1952-08

1. 授業の概要(ねらい)

 この演習は、講義などで得た知識を手かがりに、憲法の判例をさらに覗いてみることが目的です。より具体的には、「逆転裁判」みたいにゲーム感覚を取り入れ、「原告がどう攻めたか?」「相手がどういう『防御』をしたか?」「どうすれば『正反対』の結論になったか?」といったことを意識しながら、まずは裁判の当事者たちの「気持ち」を考えてみます。そして、それをあとから法的言語に「翻訳」していきます。
 最初のうちは、有名な事件を教員とともに考えます。のちに学生さんが自らテーマを選び、学生さんだけによる研究になります。工夫次第では、法廷教室での模擬裁判、グループ討論、ディベートも可能です。人に物事を伝えることは難しいですが、逃げずにチャレンジしてみましょう。
 最近では、ネット上のプライバシーや、「忘れられる権利」、男女共同参画についての模擬裁判(模擬国会)をしました。「まじめ」だけれども、ほんの少し「ユーモア」を組み合わせて、相手チームに負けないためには、どうしたらよいかを、性格悪く(!)考えたりします。緊張しながら、票はもらえるだろうか?と判決(投票)を待ちます。ここでは、どちらの意見も理解できないと、意味がありません。
 新しいチームで、次はどの役をやろうかと考えます。視点を変えたり、発想の転換をしたり……このサイクルこそが、学修・研究・成長です。いずれにせよ、素材選び、盛り上がり・遊び・研究にしても、すべては顔ぶれ次第です。主役は、学生の皆さんですので、どうかそのことをお忘れなく……。

2.
授業の到達目標

 ①憲法にかんするより高度な知識を獲得し、憲法問題について、その問題点を的確に把握し、問題解決のための提言をおこなうことができる。
 ②新聞や法律雑誌、さらには、ツイッター(?)などで、日々議論されている、法律問題について、法的根拠を挙げながら、批判もしくは受容できる(昨日の自分より、ほんの少しだけ新聞記事を読めるようになった気になる。世の中の怪しい(?)評論家に対して、軽いコメント【ツッコミ?】をいれられるようになる)。
 ③講義でとりあげた判例や制度に関連する問題を、自分で発見し、それにかんする解決方法を提示・説明できる(自分ひとりで、ある程度の分量のレポートや報告書を書けるようになる。説明・プレゼンテーションが上手くできるようになる)。

3.
成績評価の方法および基準

 積極的に参加することが重要です(40%)。発表やプレゼン(場合によっては、レポート)の内容(の上達度)も考慮します(40%)。報告者は、予習として、割り当てられた文献ないし判決を要約し、論点を提示しながら、自己の見解をレジュメ(または、PP)にまとめます(20%)。発表をする際には、図書館に通って、勉強をする必要があります。コピペは、禁止です。すぐバレます。

4.
教科書・参考書

 参考文献として、棟居快行・赤坂正浩・松井茂記・笹田栄司・常本照樹・市川正人『基本的人権の事件簿(第5版)』(有斐閣・2015年)、憲法判例研究会編『判例プラクティス憲法』(信山社・2012年)などを挙げておきます。表現の自由に関する小説(ラブコメ!)については、有川浩『図書館戦争』(角川文庫・2011年)(シリーズもの)を、レポートの書き方については、戸田山和久『新版 論文の教室 レポートから卒論まで』(日本放送出版協会・2012年)を、ゼミ一般に関しては、西南法学基礎教育研究会『法学部ゼミガイドブック:ディベートで鍛える論理的思考力』(法律文化社・2012年)を挙げておきます。

5.
準備学修の内容

 ①難しくいえば、社会で生じている法的現象に興味を持つことが求められます。憲法にかんする事件は、よく報道されています。それを自分で発見することが重要になります。
 ②軽くいえば、ケンポーは、民法、刑法、労働法、社会保障法、政治学などの領域にかかわっています。そうした学問領域を、つまみ食いできる(お買い得な?)科目ともいえます。

6.
その他履修上の注意事項

 ①この演習は、プレゼンや議論をするという積極的な作業をおこないます。そうしたことに興味ある好奇心のある学生さんの受講を歓迎します。自分のテーマを考えておいてください。
 ②楽しみながら勉強することが演習のコンセプトです。たまには、苦しんでもらいます。でも、ゼミでの恥は、もしかしたら、いつかは、いい経験に変わるかもしれません(?)。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 はじめに
【第2回】
 論文を知る
【第3回】
 論文を調べる
【第4回】
 論文を批判する
【第5回】
 論文を比較する
【第6回】
 論文にコメントを付ける
【第7回】
 論文を読む
【第8回】
 論文の背景を知る
【第9回】
 論文の教室
【第10回】
 レポートから卒論まで
【第11回】
 レポートを書く
【第12回】
 レポートを育てる
【第13回】
 レポートを批判される
【第14回】
 レポートにコメントを付ける
【第15回】
 むすびにかえて