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授業の概要(ねらい) |
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私たちのほとんどが、生まれてから死ぬまでの間に医療に何らかの関わりを持つ。たとえば、出生の時は医師や助産師にとりあげてもらう人が多いだろうし、病気になったり怪我をしたりして医師の診察を受けたことがある人もいるだろう。このとき、医師がおこなう治療や、医師と患者の関係を法的に解釈するとどのようにみることができるのだろうか。また、近年、「患者の権利」といったものが盛んにいわれているが、これをどのように捉えるべきなのだろうか。 医事法I・Aでは「医師患者関係」というかなり広い統一テーマを掲げつつ、これについていくつかの局面から考えていくこととする。 たとえば、末期癌の患者さんに、真実の病名と余命を知らせるべきか? 他の誰かから心臓の移植を受けないと助からない病気であることがわかったら、どうする? もう余命長くない患者さんの生命維持装置を医師が意図的に止めたら、その医師は犯罪を犯したことになるのだろうか? このようなことを改めてじっくり考えることにより常識を疑ってみてほしい。そのうえで、医師と患者の間の(法的)関係がどのようにあるべきか、医師の専門的な判断と患者の意思とがどのような関係にあるのかについて自分なりの考えを深めることが、本科目の内容である。
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授業の到達目標 |
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①本科目は、医療分野において近年生じている法律問題について主に法学的な視点から学ぶ、やや発展的な法律科目である。 ②「医事法」は「医療に関する法律問題とそれを考究する学問を総称する語」(唄孝一)と説明されることがある。したがって、単純に法律の規定、判例などを覚えることが目的ではなく、実際の社会、医療現場における医師患者関係にあらわれている問題について「考える」ことを目標とする。期末試験においてもレジュメ持込み可ではあるが、レジュメの内容をまとめるだけでなく、自らの考えを書くことを求める。
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成績評価の方法および基準 |
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・期末試験(すべて持込み可)による。 原則として小レポート・小テストや出席それ自体による加点は行わない。
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教科書・参考書 |
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教科書(甲斐克則=手嶋豊編『医事法判例百選〔第2版〕』、有斐閣、2014年)、および、配布するレジュメを参照して授業を進める。 その他の参考文献については、授業中などに指示することがあるが、さしあたり以下の文献を挙げる。 宇都木伸=塚本泰司編『フォーラム医事法学I 現代医療のスペクトル』(尚学社、2001年) 甲斐克則編『ブリッジブック医事法』(信山社、2008年) 米村滋人『医事法講義』(日本評論社、2016年)
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5. |
準備学修の内容 |
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第1回目の授業の際に注意事項を述べます。 (欠席した際の配布資料の取得方法についても説明するので、2回目以降授業を欠席する可能性のある学生は必ず出席すること) なお、本科目は出席による加点は行わないが、出席しない場合にはそれ相応の自習をすることを求める。「出席による加点を行わない」ということは、「出席しなくても単位がとれる」ことを意味しないので注意すること。
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6. |
その他履修上の注意事項 |
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本科目は法律系科目のなかでも発展的な専門科目に位置づけられるものですので、できれば、憲法、民法、刑法などのコア(基幹)科目を既に履修したうえで、この授業を履修することが望ましいですが、絶対ではありません。 また、取り扱う問題の性質上、履修者の皆さんには、受け身で講義を聞くだけなく自ら考えることを求めます。
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各回の授業内容 |
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【第1回】 | ガイダンス・イントロダクション:医事法とは何か? | 【第2回】 | 医事法概論:「医事法」といわれる法分野の概観をおこなう。 | 【第3回】 | 医師の説明(1)インフォームド・コンセント:医師が患者に対して医療を実施する多くの場合にお いて、どのような治療を行なうのかを説明することが必要となる。これはいかなる目的でなされるのだろうか。インフォームド・コンセントを通して医師と患者の関係をみていく。 | 【第4回】 | 医師の説明(2)病名告知にまつわる法的問題 | 【第5回】 | 医師の説明(3)未成年者に対する医療における同意 | 【第6回】 | 移植医療(1)生体間移植にまつわる問題:患者の臓器などが機能を失った際に、ドナーから臓器を移植する移植医療における問題について、「ドナーの意思」に焦点を当てて考察する。 | 【第7回】 | 移植医療(2)脳死と臓器移植 | 【第8回】 | 終末期医療(1)終末期医療概説:患者に治癒の見込みがなく、ある程度死期が明確となっている時期における患者と医師の関係に焦点をあてる。このような医療特有の問題としてどのようなものがあるのだろうか。 | 【第9回】 | 終末期医療(2)安楽死 | 【第10回】 | 終末期医療(3)安楽死 | 【第11回】 | 終末期医療(4)尊厳死に尊厳はあるか | 【第12回】 | 医師とはどのような職か(1)医師とはどのような職種であり、その診療がどのようにコントロールされているのかを考察する。 | 【第13回】 | 医師とはどのような職か(2) | 【第14回】 | まとめ:医師患者関係について考える | 【第15回】 | まとめ+試験(予定、正式には追って連絡します) ※授業の進捗状況などに応じて、取り扱うトピックが前後すること、あるいはこれを変更することがある。 |
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