Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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刑法総論 I 岡田  薫
必修  2単位
【法律】 17-1-1210-3804-03

1. 授業の概要(ねらい)

 刑法総論には、説や主義が多いといわれています。そうした説や主義を覚えるだけでは面白くありません。それらの背景にある現実や事実が大切です。
 本講義では、現実の犯罪現象を前提に、刑法の基本を学びます。そのためには具体的事実を踏まえることが大切なので、一般的な教科書のほかに、判例刑法を使います。
 刑法総論は刑法典総則の規定(1条~72条)を基礎にして、各犯罪類型の共通項としての犯罪成立の一般的要件(構成要件該当性、違法性、有責性)を中心に学びますが、刑法総論Ⅰでは、そのうち「刑法とは何か」から「違法性」までを学ぶ予定です。
 テキストは総論と各論が一冊になったものを使いますので、各論の関係部分も参照できて便利です。分量は少ないですが、一流の先生がポイントを押さえて執筆しています。

2.
授業の到達目標

 ①我が国で起きている犯罪現象に興味を持ち、刑法とは何か、犯罪とは何か、犯罪論の体系を踏まえて、犯罪の一般的成立要件を、考えながら学びます。
  その他、今まで聞きなれない、あるいはなんとなくしか理解していなかった、刑法のやや専門的な「基本概念」を理解することに努めてください。
 ②具体的事例をできるだけ念頭に置き、判例・通説を中心として刑法総論の基本的事項を理解します。

3.
成績評価の方法および基準

 筆記試験(約75%)及び出席状況・授業態度・教授の質問への応答状況(約25%)。

4.
教科書・参考書

 テキスト
  山口厚『刑法』(最新版)有斐閣
 参考文献
  西田典之・山口厚・佐伯仁志『判例刑法総論』(最新版)有斐閣
  山口厚・佐伯仁志編『刑法判例百選Ⅰ総論』(最新版)有斐閣
  岡田薫『捜査指揮』角川文庫

5.
準備学修の内容

 テキストの『刑法』は、一流の先生が、刑法総論と各論を併せて一冊でコンパクトにまとめたものなので、次回の授業範囲を読んで、専門用語の読み方や意味を理解しておいてください。また、復習としても、繰り返し読んでください。
 原則として、毎回レジュメを配ります。レジュメは、『判例刑法総論』『刑法判例百選Ⅰ総論』の関係番号もいれるなど、分かりやすいように工夫していますので、復習や試験準備に十分活用してください。
 『捜査指揮』は、刑法というよりは、現実の重要事件捜査の実情に関心のある人の参考文献です。

6.
その他履修上の注意事項

 犯罪に関連したニュースや犯罪ドラマは毎日放映されています。刑法を学ぶと一層興味がわきます。楽しく学び刑法の学習を好きになってください。
 マナーを守りよく聞き、よく読み、よく考え、講義の後には友達とよく議論してください。
 授業には必ず六法(刑法の条文だけでもよい)を持参してください。刑法の条文は、平成7年の改正でカタカナをひらがなにするなど、分かりやすくなっているので、最低限刑法の条文は読めるようにしておいてください。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 オリエンテーション(授業の進め方、教科書・参考書・六法の使い方等)
【第2回】
 刑法・犯罪・刑罰とは何かや刑法の基礎刑法の基礎にある考え方を学ぶ
【第3回】
 罪刑法定主義の意義と内容を学ぶ
【第4回】
 刑法の適用範囲、刑罰の種類などを学ぶ
【第5回】
 犯罪論の体系について理解する
 (犯罪成立の一般的要件、犯罪の成立を阻却する事由、犯罪の成立を拡張する事由)
【第6回】
 構成要件該当性(1)構成要件とは何か、構成要件の要素には何があるか、法人は犯罪の主体になりうるかなどを学ぶ
【第7回】
 構成要件該当性(2)構成要件要素としての「行為及び結果」を学ぶ
【第8回】
 構成要件該当性(3)構成要件要素としての「因果関係」とはどのようなものか、どのような場合に犯罪成立の要件としての因果関係があるといえるかなどを学ぶ
【第9回】
 構成要件該当性(4)「間接正犯」とは何か、間接的でも構成要件に該当するといえるのかを学ぶ
【第10回】
 構成要件該当性(5)「不作為犯」とは何か、不作為でも犯罪になるのか、犯罪となるのはどのような場合かなどを学ぶ
【第11回】
 違法性(1)違法性と違法性阻却、正当行為(刑法35条)の要件などを学ぶ
【第12回】
 違法性(2)正当防衛と緊急避難との対比、正当防衛の成立要件など(刑法36条)を学ぶ
【第13回】
 違法性(3)緊急避難の法的性格、成立要件など(刑法37条)を学ぶ
【第14回】
 違法性(4)被害者の同意は違法性を阻却するのか、実質的違法性阻却とは何かなどを学ぶ
【第15回】
 まとめと試験