Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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行政法 II 青栁 達朗
選択  2単位
【法律】 17-1-1210-3841-04

1. 授業の概要(ねらい)

  行政法は、憲法、民法等の六法と異なり、行政法という名の法律は、存在しませんが、六法全書に収録されている法律の数では断然トップです。行政は、国の安全から産業の発展、環境の保全、福祉の推進、公共施設の整備など、私たちの日常生活、社会生活の隅々にまで関わっているため、法規の数も膨大な数になるからです。そしてこの行政は、国民生活の基盤をつくりあげていく側面と、我々国民の権利や自由を制限する側面と、ふたつの面をもっています。こうした行政活動に根拠を与えるとともに、逆にまた行政をコントロールしていく役割を果たしているのが行政法と呼ばれている数多くの法律です。
 行政法の講義では、これら行政に関わる法律に共通する基本原理を習得するとともに、その原理に関わる基礎的な制度、仕組みを学ぶこととしています。
 行政の果たす役割がますます大きくなり、その幅も広がっている現代において、行政は私たちの生活と切り離すことができないほど密接な関係をもっています。行政法を学んでおくことは現在の行政を法的な面から理解する上で欠くことのできないものであり、またそこで培った知識は社会的な問題に関わるときにも活用できるものです。
 この行政法Ⅱ/Bでは、行政救済法と呼ばれる分野を扱います。違法な行政活動が行われてしまったらそれをどう是正していくのか、また国民が損害を受けたらどのように償われるのか、という観点を中心に説明していきます。なお、行政法に関連した社会の動きは意外に多いものです。それぞれのテーマに即した記事も講義の中でとり上げていきたいと考えています。

2.
授業の到達目標

 行政法に関する基礎的な知識を獲得し、行政法特に行政争訟法の分野の概要を把握することができる。

3.
成績評価の方法および基準

 レポート又は小テスト(30%)、学期末試験(70%)を基礎として平常点を加味して判定します。

4.
教科書・参考書

 テキスト:曽和俊文・山田洋・亘理格 著『現代行政法入門[第3版]』(有斐閣)
 参 考 書:櫻井・橋本『行政法[第5版]』(弘文堂)
 法律学の勉強には、判例の研究が欠かせないことから、次のものを参考書として挙げておきます。
 参 考 書:宇賀・交告・山本編『行政判例百選 I [第6版]』及び同『行政判例百選 II [第6版]』(有斐閣)

5.
準備学修の内容

 (1)レジュメを配布しますが、これは板書をしない代わりにノートの筆記整理に役立ててもらうためです。
 (2)講義の内容をテキストで改めて確認するように心がけてください。

6.
その他履修上の注意事項

 必ずテキストを購入し、六法と共に持参すること。常に六法を携行することは、法律を学ぶ基本です。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 授業は、テキストに沿って、概ね次のような予定で進めます。
 行政争訟法の全体像
【第2回】
 行政上の苦情処理その他
【第3回】
 行政上の不服申立制度①
【第4回】
 行政上の不服申立制度②
【第5回】
 行政事件訴訟法の全体像
【第6回】
 取消訴訟の対象
【第7回】
 取消訴訟の原告適格と訴えの利益
【第8回】
 取消訴訟のプロセス
【第9回】
 取消訴訟以外の抗告訴訟
【第10回】
 抗告訴訟以外の行政訴訟
【第11回】
 行政争訟法の現状と課題
【第12回】
 公権力の行使に関する賠償
【第13回】
 営造物の瑕疵に関する訴訟
【第14回】
 損失補償
【第15回】
 まとめ講義