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授業の概要(ねらい) |
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本講義では、民法について概観します。 民法は、私人(市民)の生活関係のほぼ全般について規律しており、しばしば「ゆりかごから墓場まで」(場合によってはそれ以前から死後のことまで)を対象にしています。例えば、結婚や離婚といった事柄から、死後の財産相続問題など、市民の生活に密着した事柄が、民法(特に家族法と呼ばれる部分)によって規律されます。 もっとも、民法の規律対象は、上記のような家族関係に関するものだけではありません。例えば、ある物の所有者はその物に対してどのような権利を持っているのか。その物を奪われたら、どのように対応することができるのか。あるいは、友人から中古で自動車を買う場面(売買契約)や、不動産屋からマンションの一室を借りる場面(賃貸借契約)なども、民法(特に財産法と呼ばれる部分)の対象です。 このような民法は、実は経済活動の法的なインフラを提供するものであるといえるでしょう。経済活動は、需要と供給のバランスの下で行われる物と物の交換によりますが、私的所有権が確立していない世界(他人が持っている物でも奪ってよい世界)では、このような交換が正常に行われることはないでしょう(欲しい物は、交換するのではなく奪ってしまえばよい)。また、交換の約束(例えば売買契約)が守られない世界では、やはり正常な交換活動は発展しないでしょう。 このように、民法が経済活動の法的基盤の作用を営むとしたら、経済学を志す学生諸君にとっても、民法についての概括的な知識を修得することには一定の意義があるはずです。このような意識から、本講義では、民法、とくに財産法と呼ばれる部分について学んでゆきます。
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2. |
授業の到達目標 |
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民法、とくに財産法部分についての概括的な知識を修得する。
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成績評価の方法および基準 |
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・15回目の授業内で実施する試験の点数による評価(100%) ・出席点は、原則考慮しません(出席していれば単位が取得できるというわけではなく、逆に、出席していないから単位が取得できないというわけでもありません)。
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教科書・参考書 |
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テキスト:川井健『はじめて学ぶ民法――所有、契約、不法行為、家族』(有斐閣、2011年)
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5. |
準備学修の内容 |
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受講生は、授業前に上記テキストに簡単に目を通しておくと、講義の内容理解が進むでしょう。もっとも、一人で教科書を読んでいても、理解するのは容易ではないと思います。予習も大事ですが、まずは講義に参加し、授業時間外ではその復習に重点をおいて勉強するとよいでしょう。分からない個所をそのままにしておくのではなく、積極的に教員に質問するなどの姿勢も大事です。
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その他履修上の注意事項 |
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・授業中の私語など、他の受講生の迷惑になるような行為は厳禁です。 ・本科目は、内容的に『民法Ⅱ』と連続していますので、受講生はこれらを併せて受講することが望ましいでしょう(ただし、絶対ではない)。
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各回の授業内容 |
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【第1回】 | イントロダクション | 【第2回】 | 民法の意義、民法の原則 | 【第3回】 | 民法上の権利 | 【第4回】 | 民法上の権利の主体 | 【第5回】 | 所有権 | 【第6回】 | 所有権の制限 | 【第7回】 | 担保物権 | 【第8回】 | 非典型担保物権 | 【第9回】 | 契約の意義 | 【第10回】 | 不動産の売買 | 【第11回】 | 動産・債権の売買、贈与・交換 | 【第12回】 | 契約の履行とそれ以外の債権消滅事由、債権の時効消滅 | 【第13回】 | 契約の不履行 | 【第14回】 | 契約の無効・取消・撤回 借金と保証 | 【第15回】 | まとめ 授業内試験 ※上記計画は、あくまで予定です。具体的な進行状況によっては前後することもありえます。 |
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