Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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時事問題講座 II 水谷 瑛嗣郎
選択  2単位
【自己啓発】 17-1-1210-4406-04

1. 授業の概要(ねらい)

 本講義は、新聞・雑誌・テレビなどで紹介されている「メディアと政治」に関する時事問題について学んでいくものである。
 みなさんは「メディア」と聞いて何を思い浮かべるだろうか。テレビだろうか?パソコンだろうか?それとも、スマホだろうか?それらは確かに「メディア」だが、実は「メディア」とはもっと広い概念である。19世紀に発明された「メディア」は、「写真」や「電信」、そして「電話」であった。この授業では、「テクノロジー(技術・装置)」として発明されたメディアが、その後にどのような発展を遂げていったかを解説していく。他方でメディアと聞いたときに、「新聞社」や「テレビ局」を思い浮かべた人も多いのではないだろうか?メディアはまた、さまざまな「言説」が飛び交う「場」として機能し、その時代ごとの「政治」を決める「世論」の形成にも根深くかかわってきた。そうした「言説の場」としてのメディアが世論にどのような影響を与えているのかについての研究をみていくことにする。
 以上のようなメディアと政治を学んでいくうえでの「基礎」を踏まえたうえで、マスメディアの権力化と営利化の問題、それと同時に現場で「報道」の職に就くジャーナリストという職能集団について学んでいく。そして彼らが政治にどのような影響を与え、インターネットが普及した現在においてどのような立ち位置となっているかについて、解説する。
 講義の後半には、最近になって展開されたメディアに関する優良な研究成果について解説していく。ここで解説するものについては、それぞれ4.教科書・参考書にあげておく。
 なお授業は基本的に、谷口将紀『シリーズ日本の政治10 政治とマスメディア』東京大学出版会、2015年をベースにレジュメ講義形式でおこなう。(ただし一部に関しては、参考書にあげているものもベースにしている。)また必要に応じて映像資料などを用いたり、現役のジャーナリストを招いての授業内講演、実地見学(メディア企業の見学)なども積極的に行っていきたいと考えている。
 加えてより身近にメディア・ジャーナリズムを感じてもらうために、毎日新聞社が行っている学生記者「キャンパる」の試みも紹介する予定である。

2.
授業の到達目標

 現在、みなさんの周りにはメディアに媒介されていない「生の事実」など存在しない。みなさんが日々触れている「事実」は、確実に何らかの「メディア」に媒介された情報として存在している。みなさんの生きる現代はまさに「メディアの世紀」といえるが、その時代を生き抜くために、まずは新聞・雑誌、テレビ、インターネットといった「メディア」に対する知的興味関心をもってもらうことを第一の目標とする。そのうえで、「メディアの世紀」を生きる一市民として、メディアの果たす役割やメディアを取り巻く事件について議論するための教養を取得してもらいたい。

3.
成績評価の方法および基準

 レポート又は小テスト40%、学期末試験60%を基本とし、これに平常点(授業態度)を加味する。
 なお、出席は学生の当然の義務であるので、成績評価には加味しない。

4.
教科書・参考書

 教科書:谷口将紀『シリーズ日本の政治10 政治とマスメディア』東京大学出版会、2015年
 このほかに授業の中で用いる参考書の中で代表的なものは以下の通り。
 吉見俊哉『メディア文化論 メディアを学ぶ人のための15話 改訂版』有斐閣アルマ、2012年
 伊藤高史『ジャーナリズムの政治社会学 報道が社会を動かすメカニズム』世界思想社、2015年
 逢坂厳『日本政治とメディア テレビの登場からネット時代まで』中公新書、2014年
 蒲島郁夫・竹下俊郎・芹川洋一『メディアと政治[改訂版]』有斐閣アルマ、2015年
 西田亮介『メディアと自民党』角川新書、2015年
 西田亮介『マーケティング化する民主主義』イースト新書、2016年
 東浩紀『一般意志2.0 ルソー、フロイト、グーグル』講談社、2011年
 高木徹『ドキュメント戦争広告代理店 情報操作とボスニア紛争』講談社文庫、2016年

5.
準備学修の内容

 予習:指定教科書の該当箇所を読んだうえで、分からない点・不明な点はどこかをチェックしておくことを推奨する。
 復習:講義レジュメを授業中にメモを取るなどしてノート化しておき、終了後に指定教科書や他の教科書と照らし合わせてみることを推奨する。

6.
その他履修上の注意事項

 初回の授業でも厳しく申し渡すが、授業中における他者に迷惑をかける行為(私語、食事、教室徘徊など)はこれを厳禁とし、教室の秩序を保つために相応の対処をする。場合によっては、強制退出を命じることもあるし、成績・単位認定において平常点としてマイナス評価を加えることも覚悟してもらいたい。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 イントロダクション
【第2回】
 メディアの特徴を学ぶ―テクノロジーとしてのメディア、言説の場としてのメディア
【第3回】
 メディアの世紀―新聞、電話、映画、ラジオ、テレビ
【第4回】
 マスメディアと世論①―コーヒーハウスと新聞
【第5回】
 マスメディアと世論②―議題設定とフレーミング
【第6回】
 マスメディアと世論③―その他の効果とバイアス、「ステレオタイプ」
【第7回】
 マスメディアの権力化とジャーナリズム―番犬機能、ニュース選別機能
【第8回】
 マスメディアの営利化とジャーナリズム―経営方針と編集権
【第9回】
 メディア化される政治―メディアに出たい政治家たち
【第10回】
 多元化するメディアと政治―デジタル・メディア革命とオールドメディアの失墜
【第11回】
 映像授業(授業内講演)
【第12回】
 選挙とメディア・選挙フェス・SEALDs―『マーケティング化する民主主義』
【第13回】
 アーキテクチャと政治―『一般意志2.0』
【第14回】
 戦争とメディア―戦争を「広告」する
【第15回】
 まとめ