Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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日本国憲法 水谷 瑛嗣郎
教職  2単位
【教職】 17-1-1210-4406-05

1. 授業の概要(ねらい)

 この授業における目標は、「教養として日本国憲法」を習得してもらう点にある。ここでいう「教養」とは、突き詰めてみれば「言葉を知り、その意味を理解すること」に他ならない。そして、みなさんがいずれ社会に旅立った後、こうした「教養」は、必要不可欠なスキルである。
 たとえば、会社の上司/同僚/部下、取引先、友人、彼氏/彼女、息子/娘と「コミュニケーション」を円滑に行い、「他者」と共存していくためには「教養」が必要である。なぜなら、言葉を知らず、意味を理解していない者とはコミュニケーションが取れない(=話が通じない)からである。また、現代においてはわからないことがあればネットにつながってGoogle検索をかければ解答を得られるが、そもそも目当ての情報を検索するための検索ワードを知っていなければGoogle先生は何も答えてくれない。
 特に本科目は教職課程のものでもあることから、将来、「教員」という責任ある立場に立つ者となるのにふさわしい、憲法の「教養」を身につけてもらいたい。
 そこで本講義では、教科書『教養としての憲法入門』(弘文堂、2016年3月)をベースに、レジュメ形式で授業を進めていく予定である。ただし授業時間の関係で、すべて網羅的に学ぶことは不可能なため、要点を絞って学んでいく。後述するが、授業の中で扱う判例については、上田健介・尾形健・片桐直人著『START UP 憲法判例50!』(有斐閣、2016年12月)を用いる。レジュメ内には(教P○○ページ~)や(判P××ページ)との記載があるが、これらは上記教科書と判例集の該当ページに連動している。予習復習のためにもこちらはなるべく購入して授業に臨んでほしい。さらに予習用の教材として『憲法を学ぶための基礎知識 論点 日本国憲法』(東京法令出版)が非常にわかりやすくおすすめである。
 それから法学部以外の学生は授業やレジュメで普段なじみない言葉や文法に戸惑うこと間違いないため、「憲法」についての「考え方(思考方法)・価値観」を培っておくために授業に合わせて『日本国憲法への招待 新版』(岩波新書、2014年)に触れておくとよい。一般人の教養用にかかれた良著である。
 これ以外にも必要に応じて、その他教科書・参考書をレジュメで触れるが、それらについては特に購入する必要はない。また1回ほど、映像授業あるいは授業内講演を行う予定である。

2.
授業の到達目標

 この授業の到達目標は、受講生のみなさんが大学を卒業して社会に出た後、現実の政治その他の問題に「国民」の一人として取り組んでいくための「教養として日本国憲法」を習得してもらう点にある。
 また副次的な目標であるが、法学を学ぶ者として「判例を読む」というスキルを身につけてもらいたいと考えている。

3.
成績評価の方法および基準

 レポート又は小テスト30%、学期末試験70%を基本とし、これに平常点(授業態度)を加味する。
 なお、出席は学生の当然の義務であるので、成績評価には加味しない。

4.
教科書・参考書

 教科書①:神野潔他『教養としての憲法入門』弘文堂、2016年3月
 教科書②:上田健介・尾形健・片桐直人『START UP 憲法判例50!』有斐閣、2016年12月
 参考書:安念潤司・小山剛・青井未帆・宍戸常寿・山本龍彦編著『憲法を学ぶための基礎知識 論点 日本国憲法〔第二版〕』東京法令出版、2014年
 参考書:渋谷秀樹『日本国憲法への招待 新版』岩波新書、2014年

5.
準備学修の内容

 なお授業の予習・復習についてであるが、まず予習は、教科書①か『憲法を学ぶための基礎知識 論点 日本国憲法』の該当箇所を読んだうえで、分からない点・不明な点はどこかをチェックしておくことを推奨する。次に復習であるが、講義レジュメにメモを取るなどしてノート化しておき、終了後に指定教科書や他のより詳細な憲法教科書と照らし合わせてみることを推奨する。さらに「判例」については、前述の『START UP 憲法判例50!』などで詳しく読み直すとなお理解が深まる。

6.
その他履修上の注意事項

 なお授業では、(特に人権に関する分野では)「判例」を読むことを重視する。レジュメに一応判例は記載してあるが、簡略化されているため、基本的には『START UP 憲法判例50!』は最低限の資料として持っていた方が良い。
 なお特に注意すべき点として、他の受講者に迷惑をかけるような行為(例として私語や食事)は厳禁とする。場合によっては、成績・単位認定において平常点としてマイナス評価を加えることがある。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 イントロダクション
【第2回】
 国家と憲法、立憲主義、憲法制定史
【第3回】
 統治機構①―国会
【第4回】
 統治機構②―内閣
【第5回】
 統治機構③―裁判所(違憲立法審査権について)
【第6回】
 人権保障①―人権とは何か、公共の福祉とは何か
【第7回】
 人権保障②―包括的基本権
【第8回】
 人権保障③―法の下の平等
【第9回】
 人権保障④―表現の自由・報道の自由
【第10回】
 人権保障⑤―思想・良心の自由、信教の自由
【第11回】
 人権保障⑥―経済的自由権
【第12回】
 人権保障⑦―社会権
【第13回】
 映像授業(あるいは授業内講演)
【第14回】
 参政権
【第15回】
 天皇制 or 安全保障 & まとめ