Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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民事訴訟法 II 長島 光一
選択  2単位
【法律】 17-1-1210-4430-10

1. 授業の概要(ねらい)

 民事訴訟法は、民法など実体法の知識を前提に、その権利を実現するための手続を定めたものです。本講義では、「裁判をどのように行うのか」という「手続」をテーマにして、様々な角度から分析していきます。
 そして、「どのようなルールであれば公平に紛争解決ができるのか」という観点から、わかりやすい事例とともに、受講生とよりよい民事訴訟手続を考え、理解を深めていきたいと思います。
 なお、民事訴訟法学は、裁判をするためだけの学問ではありません。「手続」のあり方を学ぶ中で、これまで学んだ法学の理想をどのように実現するかを考えることにあり、様々な法分野を改めて知る機会になりますので、法学の世界が広がるでしょう。
 民事訴訟法Ⅱでは、民事訴訟法Ⅰの理解を前提に、複雑訴訟や特殊な訴訟のほか、テーマごとに民事訴訟法の現代的課題を考えます。

2.
授業の到達目標

 ・民事訴訟の流れを理解する。
 ・現代社会の様々な紛争に対する民事訴訟の問題状況を把握する。
 ・紛争にあたって、解決の技法を身につける。

3.
成績評価の方法および基準

 学期末にテストを行い評価します(70%)。
 また、毎回、リアクションペーパーを求めますので、そこで書かれたことや発言等も重視します(30%)。

4.
教科書・参考書

 教科書:安西明子=安達栄司=村上正子=畑宏樹『民事訴訟法』(有斐閣、2014年)
 参考書:高橋宏志=高田裕成=畑瑞穂編『民事訴訟法判例百選(第5版)』(有斐閣、2015年)
 ※各回レジュメを配布します。
 ※六法も手元に置いておきましょう。

5.
準備学修の内容

 予習について、教科書の次回の該当頁を事前に告知しますので一読することをお勧めします。
 復習について、毎回のレジュメの最後に演習課題を出しますので、各自取り組んでください。

6.
その他履修上の注意事項

 特に後半は、様々な分野で発生する民事訴訟を考えます。民事訴訟法を理解することはもちろんですが、法学への幅広い興味と関心をもって臨んでください。
 なお、講義では、ドラマや映画、アニメ、スポーツ、芸能ニュースなどもたくさん見ますし、話題にします。幅広い知識と関心をもって臨んでください。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 ガイダンス―民事訴訟法の概略とは?:民事訴訟法Ⅰの内容を確認し、民事訴訟法の全体像を理解します。
【第2回】
 複雑請求訴訟とは?:当事者双方が訴えを起こした場合など、請求が複雑化した場合の対処を学びます。
【第3回】
 多数当事者訴訟とは?(1):当事者が多数になった場合の民事訴訟の特殊な取扱いを理解します。特に、共同訴訟と補助参加に焦点を当てます。
【第4回】
 多数当事者訴訟とは?(2)・民事訴訟法の全体像とは?:独立当事者参加・当事者の交替について学びます。また、民事訴訟の全体像を当事者・弁護士・裁判官の観点から再整理します。
【第5回】
 国際民事訴訟とは?:国際的な紛争における問題とその対処方法を学びます。
【第6回】
 海外の民事訴訟制度とは?:アメリカやドイツの民事訴訟制度を学び、日本との違いを理解します。
【第7回】
 医療過誤訴訟とは?:医療過誤訴訟における実践から専門訴訟に対する実務から見た手続法の発展を理解します。
【第8回】
 公害・環境保護訴訟:公害訴訟における民事訴訟手続の特殊性を学ぶとともに、環境保護訴訟の訴訟戦略を学びます。
【第9回】
 会社訴訟・労働訴訟とは?:株主代表訴訟やM&A訴訟等、ビジネスと関係する訴訟を学びます。また、労働者に関係する訴訟と労働審判等の手続きについても学びます。
【第10回】
 家事事件訴訟とは?:家族関係をめぐる特殊な訴訟制度を学びます。
【第11回】
 消費者訴訟・知的財産訴訟とは?:消費者被害に対するPL訴訟や消費者団体訴訟制度を学びます。また、特許権や著作権をめぐる訴訟における民事訴訟手続の特殊性を学びます。
【第12回】
 民事訴訟と民事執行・倒産の関係とは?:民事訴訟と民事執行・民事保全の関係性を学ぶとともに、倒産手続の特殊性を理解します。
【第13回】
 新しい法律問題への民事訴訟での対応とは?:AI(人工知能)の法的な位置づけと課題を学ぶとともに、人工知能時代の裁判について考えます。
【第14回】
 民事訴訟法の最新動向とは?:法哲学における手続的正義や法社会学における民事訴訟の実態調査、法と経済学からの分析等、民事訴訟をめぐる他分野との関わりの最新動向を理解します。
【第15回】
 まとめ:これまでの授業内容を復習し、重要な点を再確認します。