【第1回】 |
なぜ人間が存在するような宇宙が作られたのか。この疑問から生じる問いの形態について。因果形式に則った思考が、宇宙の存在原因についての問いを導く。 |
【第2回】 |
なぜ無ではなく何かが存在するのか?(存在論的問い)、宇宙が存在するようになった最初の原因は何か?(宇宙論的問い)、なぜこの宇宙のように、秩序だった体系が作られたのか?(目的論的問い)。 |
【第3回】 |
ジョージ・ガモフのビッグバン宇宙(1946年)と、始原に関する宇宙論的問い。 |
【第4回】 |
目的論的問いに関する、現代の宇宙論からの問いかけ。マーティン・リース(1942-)による、『宇宙を支配する6つの数』(1999)。人間が存在し得る秩序がなぜ作られたか。 |
【第5回】 |
宇宙を支配する4つの力。この絶妙なバランスを作ったものがない。秩序への問いと、原因についての問いとの関係。 |
【第6回】 |
「弱い人間原理」1961年、ロバート・H・ディッケ。宇宙の「平坦性」を実現する宇宙の「初期条件」が、きわめて低い確率であること。 |
【第7回】 |
「強い人間原理」1973年、ブランドン・カーター。「初期条件」のみならず、「物理定数」や「基本法則」なども、人間が登場するように、この宇宙は作られてきた。 |
【第8回】 |
スティーブン・ワインバーグの多宇宙を前提にした人間原理、1989年。多宇宙が、人間が観測する宇宙存在の驚異を減少させる。 |
【第9回】 |
物理学者ジョン・バロー、フランク・ティプラーの目的論的な人間原理(1986)。生命の生息可能性は、宇宙の目的、目標。近代のコペルニクス的宇宙観を、ふたたび逆転。 |
【第10回】 |
多宇宙説の問題点。現宇宙の「もっともらしさ」は説明できる。反面、多宇宙という検証不能な仮説を条件とする。また多宇宙の存在理由にも答えない。 |
【第11回】 |
科学的説明とは何か。因果的説明と将来予想が科学的説明の条件。人間原理的説明は因果的説明ではなく、将来予想もできない。しかし、因果的説明には、その原因という謎が必ず生じる。人間原理的説明にはそれがない。「そうなっているから」、それ以上の問いが生じない。 |
【第12回】 |
多宇宙説は、神の存在を無用にしたか。神への遡行的推論の否定不可能性。 |
【第13回】 |
直接的な、「神への推論」の存在論的権利。あらゆる推論一般の根底には、信念が存在し、また存在する権利を持つこと。 |
【第14回】 |
多宇宙は、「なぜ無ではなく何かが現実に存在するのか」という問いに答えているか?(改めて存在論的問い)。存在が価値や目的に基づくことが、控えめな要求になる。 |
【第15回】 |
知は限界を持つか。知の地平線はこちらからは見えない。地平線を引けたら、それは地平線の向こうを見れることを条件とするから。cf)ウィトゲンシュタイン「言語の限界」。しかし知の限界は、言語の限界と同じ仕方で見れるのか? |