Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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近代思想 I 濱田 陽
選択  2単位
【日本文化】 17-1-1310-0430-01

1. 授業の概要(ねらい)

 この世界にはどのような「存在」があるのか。そして、近代文明以降、私たちが用いてきている「時間」とはどのような時間であるか。また、それ以外にどのような時間があるのだろうか。人工知能が注目される今日、私たちはスマートフォンや腕時計で時間を確認するが、川の流れや花の開花など自然や生きものからも時間の変化を感じ取っている。人が自ら世界を把握することには機械には真似できない、いかなる特徴があるのだろうか。
 日本が世界に誇る思想家、西田幾多郎、夏目漱石、南方熊楠からミヒャエル・エンデ(『モモ』)、ハイデガー、アインシュタイン、レヴィ=ストロース(『野生の思考』)など世界の思想家にも着目しながら、生命と文化の豊かな世界を再発見していく。
 存在と時間への問いから出発し、自然、生きものに特有の生命の時間、人に特有の文化の時間を見出し、文化の時空を導く。その先には思いがけない未知の世界が広がっている。「文化の時空」をめぐる思索の旅に分け入ろう。

2.
授業の到達目標

 思想への柔軟な視座を養い、講義・教科書の内容をふまえて自身の感想を展開し、内容の深い考察を1000字相当でまとめる思考力、文章表現力を身につける。

3.
成績評価の方法および基準

 出席(60%)、授業内期末試験(40%)により総合評価。期末試験のテーマは最終講義日の2週間前に発表する。

4.
教科書・参考書

 教科書『日本十二支考 文化の時空を生きる』(濱田陽、中央公論新社、2017年1月刊)
 *授業及び自宅学習、学期末試験で携帯し、秋学期の近代思想Ⅱでも引き続き使用する。

5.
準備学修の内容

 教科書の内容を予習・復習する。

6.
その他履修上の注意事項

 「時空」をテーマに様々な思想にふれていくので時間をかけて一歩一歩理解を深めていって欲しい。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 生きとし生けるもの (第一部第一章より) 生きものと文化の多様性について学ぶ
【第2回】
 五つの存在 (第一部第二章) 存在のとらえ方について学ぶ
【第3回】
 存在から時間へ (第一部第三章) 存在と時間の関係について学ぶ
【第4回】
 生命の時間、文化の時間 (第一部第四章) 近代文明の時間とそれ以外の多様な時間のとらえ方について学ぶ
【第5回】
 文化の時計――十二支 (第一部第五章より) レヴィ=ストロースの野生の思考を参考に文化の時計としての十二支について学ぶ
【第6回】
 時間から空間へ (第一部第六章より) 時間から導かれる空間について学ぶ
【第7回】
 生きとし生けるものの時空と統一時空 (第一部第七章より) 近代的な時空のとらえ方と生きとし生けるものの時空の違いについて学ぶ
【第8回】
 日本文化の時空へ (第一部第八章より) 文化の時空の考察に必要な思考について学ぶ
【第9回】
 十二支の潜在力 (第三部第一章より) 十二支のもつ世界認識の意義と可能性について学ぶ
【第10回】
 未来の十二支―世界の文化へ (第三部第二章より) 南方熊楠の思想の可能性を中心に生きものや世界の文化とつながる方法について学ぶ
【第11回】
 文化学の目的と方法 (第三部第三章より) 文化学の意義について学ぶ
【第12回】
 存在と超越性 (第三部第四章より) 超越性という概念をオットー、エリアーデ、西田幾多郎の思想を参考に学ぶ
【第13回】
 復活への気づき (第三部第五章より) ウィトゲンシュタインの自然観を参考に季節の変化に秘められた意味について学ぶ
 *試験テーマ発表
【第14回】
 試験テーマにもとづく復習
【第15回】
 全体講評、教科書による試験