Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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近代思想 II 濱田 陽
選択  2単位
【日本文化】 17-1-1310-0430-02

1. 授業の概要(ねらい)

 未来につながる伝統文化、過去になりつつある近代文明、現在に語られ続ける物語それぞれの豊富な知識を得ながら、十二支動物の時空の旅を経験する。
 ミッキーマウスやピカチュウ、ぐりとぐらなどのキャラクターでねずみは人気を集める一方、動物実験に用いられるが、江戸時代までは伝統文化と密接に結びついた人にとって「小さな宇宙」ともいえる存在感を放っている。牛は今日では食用や革製品に用いられるが、近代以前には文明を大きく変革させる「大きな力」である。ファンタジーの世界に閉じ込められている龍は東洋ではじつは現実の自然と文化に根ざし「自然の聖霊」ともいえる重要な意義を秘めている。地球環境問題が課題となっている現代思想においては人以外の生きものと自然に対する洞察をもち、あまりに人中心になりがちな近代以降の文明の発想を離れてみる姿勢が欠かせない。
 個性あふれる十二支動物を導き手として、生きとし生けるものの織りなす時空へと分け入り、列島に伝承された神話、物語、民俗、宗教などを科学、技術とともに考察し、現代文明がはらむ課題を学んでいこう。

2.
授業の到達目標

 思想への多様な視座を養い、講義内容をふまえて自身の感想を展開し、内容の深い考察を1000字相当でまとめる思考力、文章表現力を身につける。

3.
成績評価の方法および基準

 出席、授業内期末試験により総合評価

4.
教科書・参考書

 教科書『日本十二支考 文化の時空を生きる』(濱田陽、中央公論新社、2017年1月刊)
 *春学期の近代思想Iから引き続き使用する。

5.
準備学修の内容

 教科書内容の予習

6.
その他履修上の注意事項

 「生きもの」をテーマに様々な思想にふれていくので時間をかけて一歩一歩理解を深めていって欲しい。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 『日本十二支考』の生きものたち
【第2回】
 想う、自然の聖霊 (第二部第五章) 龍の存在を通じ思想的課題について学ぶ
【第3回】
 実をはかる生きた尺度 (第二部第六章) 蛇の存在を通じ思想的課題について学ぶ
【第4回】
 近しい神の乗り物 (第二部第七章) 馬の存在を通じ思想的課題について学ぶ
【第5回】
 遠いあこがれ (第二部第八章) 羊の存在を通じ思想的課題について学ぶ
【第6回】
 群の誇り高い自由 (第二部第九章) 猿の存在を通じ思想的課題について学ぶ
【第7回】
 個の、恋するプライド (第二部第十章) 鶏の存在を通じ思想的課題について学ぶ
【第8回】
 伴侶力 (第二部第十一章) 犬の存在を通じ思想的課題について学ぶ
【第9回】
 独りで出会う野生 (第二部第十二章) 猪の存在を通じ思想的課題について学ぶ
【第10回】
 十二支の潜在力/世界の文化へ (第三部第一章、第二章)
【第11回】
 文化学への関心/存在と超越性(第三部第三章、第四章)
【第12回】
 復活に気づく(第三部第四章、第五章)
【第13回】
【第13回】
 試験テーマ発表
【第14回】
 試験テーマ解説
【第15回】
 授業内期末試験、全体講評