Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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出版文化論 II 横手 拓治
選択  2単位
【社会】 17-1-1310-4643-02

1. 授業の概要(ねらい)

 わが国のマンガ文化は21世紀のいま、世界的な評価を得ています。それはどのようにはじまり、進展・成熟していったのか。本講では近現代を中心にマンガ文化・マンガ出版の様相を解説し、その独自の歴史を捉えていきます。日本ではすでに近世において、葛飾北斎『北斎漫画』など戯画が庶民層に広く読まれており、そうした前史をふまえ、マンガ出版の近現代史がはじまります。明治期の風刺画、大正期の4コマ漫画を経て、昭和になると、雑誌連載と単行本化によるヒット作があらわれました。
 戦後、マンガ出版はさらに進展します。1959年の『少年マガジン』『少年サンデー』の創刊は重要なトピックとなり、少女マンガ、劇画・青年マンガも独自の展開を見せるなか、80年代から90年代の『少年ジャンプ』興隆で、日本のマンガ文化はひとつの頂点を築きます。メディアミックスが盛んになり、やがてマンガは日本発の文化コンテンツとして世界的な地位を獲得していきます。
 その歴史的過程を辿ることで、すでに日本文化の重要なジャンルとなったマンガに眼を向けていくのが本講の目的となります。本講は作家・作品を多く採りあげますが、それに加え、出版側の動きも解説していきます。制作者であるマンガ編集者・出版人は、どのような戦略や意図をもってマンガを世に送り出していったのか。その試行錯誤の姿を捉えることで、日本のマンガ文化を多面的に把握していきたいと思います。
(講師は現役の教養書籍編集者ですが、『少年マガジン』『少女フレンド』創刊編集長に編集の基本を学んでおり、マンガ出版・編集への一定の知見を背景に講義を行っていきます。)

2.
授業の到達目標

 いまや世界に発信する日本文化の主柱となったマンガ。その歴史について知見を養うとともに、作家や作品に対する幅広い知識を修得する。
 日本のマンガの全体像を捉え、その魅力について説明できる能力を養う。
 マンガを生み出した重要な背景として、出版側の事情を知ることで、マンガ文化へ多面的な理解を得る。
 生成期から成熟期へと展開していく様相をふまえ、メディアミックスなどの現象も把握することで、21世紀のマンガ文化を見通していく視点を養う。

3.
成績評価の方法および基準

 出席率(40%)、筆記試験(40%)、受講態度(20%)を総合して行う。

4.
教科書・参考書

 講師作成のテキストプリントを毎回配布。

5.
準備学修の内容

 学習する時代について、年表などから歴史的な背景を知っておくこと。

6.
その他履修上の注意事項

 特になし

7.
各回の授業内容
【第1回】
 ガイダンス
【第2回】
 明治・大正期――ポンチ絵と4コマ漫画
【第3回】
 昭和戦前期――『少年俱楽部』と「のらくろ」シリーズほか
【第4回】
 戦後復興期――手塚治虫の登場ほか
【第5回】
 高度成長前期――『少年マガジン』『少年サンデー』の時代①
【第6回】
 高度成長後期――『少年マガジン』『少年サンデー』の時代②
【第7回】
 劇画と青年コミック――『ガロ』ほか
【第8回】
 少女マンガ史①
【第9回】
 少女マンガ史②
【第10回】
 安定成長期とバブル期――『少年ジャンプ』の時代①
【第11回】
 1990年代――『少年ジャンプ』の時代②
【第12回】
 『アニメージュ』と宮崎駿
【第13回】
 メディアミックス
【第14回】
 海外へ進出する日本マンガ
【第15回】
 まとめの講義と筆記試験