Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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児童生徒の心のケアと精神科学 藤井 靖史
選択  2単位
【教職大学院】 17-1-1331-1359-05

1. 授業の概要(ねらい)

 講義を通じて、児童生徒の心の定型発達を理解する。
 様々な異常行動について鑑別すべき身体疾患を理解する。
 心のケアに対する科学的根拠を精神科学の立場から理解する。
 院内学級などの特殊な環境におかれる子どもをサポートする上で考慮すべき問題点を整理して理解する。
 事例検討を通じて、児童生徒の心のケアにおける家庭、学校、地域社会、保健医療機関との連携の必要性を理解し、学校と関連機関との連携をコーディネートする能力を養う。
 なお、講義では履修生の知識・経験に即して、ゲスト・スピーカーを3回程度招聘する。ゲスト・スピーカーの助言により本講義内容を多角的視点から捉える力を身につける。

2.
授業の到達目標

 <A類>
  ・情動や行動に関わる脳の働きを理解する。
  ・子どもの心の発達に関する医学的知識を身につける。
  ・子どもの心の問題を理解し、その対応方法を身につける。
 <B類>
  ・子どもの心の問題に対して、家庭と学校、保健医療施設との連携を図る能力を身につける。
  ・所属する学校を超えて、他校や地域教育委員会との連携を図る能力を養う。

3.
成績評価の方法および基準

 児童生徒の心の発達に対する理解度(レポート)70%と、演習に取り組む姿勢30%を基にして評価する。

4.
教科書・参考書

 テキスト
  講義用に作成したテキストを使用する。
 参考書
  『発達障害医学の進歩10』 有馬正高 他 診断と治療社
  『小児ケアのための発達臨床心理』 岡堂哲雄 へるす出版
  『神経心理学評価ハンドブック』 田川晧一 西村書店
  『小児心身医学の臨床』 冨田和巳 診断と治療社
  『思春期医学臨床テキスト』 別所文雄 他 診断と治療社
  『乳幼児期の脳の機能』 三宅良昌 新興医学出版社
  『ナースとコメディカルのための小児科学』 白木和夫 他 日本小児医事出版
  『発達臨床教育相談マニュアル』 杉原一昭 他 編集 川島書店 他

5.
準備学修の内容

 準備学習は、原則として前時に指示する。

6.
その他履修上の注意事項

 学習した知識内容を常に最新のものに置き換えて行くことが必要です。その為には、学生各自が在学中から知識を更新していくための学習方法や情報獲得手段を獲得することが望まれます。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 情動や行動に関わる脳のはたらき
 情動や行動に関わる脳の解剖と生理機能について理解する。
【第2回】
 幼児期の心の発達とその背景
 幼児期の心の発達とその背景にある脳の生理機能の発達、環境要因の影響について理解する。
【第3回】
 学童期の心の発達とその背景
 学童期の心の発達とその背景にある脳の生理機能の発達、環境要因の影響について理解する。
【第4回】
 幼児期の問題(夜尿、頻尿、夜驚、指しゃぶり、チック)
 幼児期にみられる異常行動に対する医学的アプローチを理解し、実例を通じて家庭や医療機関との連携を学ぶ。
【第5回】
 幼児期・学童期の問題1(登園拒否・登校拒否、ひきこもり)
 登園拒否・登校拒否、ひきこもりに関して、心理学的アプローチと医学的アプローチについて理解する。
【第6回】
 幼児期・学童期の問題2(登園拒否・登校拒否、ひきこもりの事例検討)
 ・A類学生は、登園拒否・登校拒否の実態を調査して発表する。
 ・B類学生は、自験例について問題点を整理して発表し、全体討論の司会をする。
【第7回】
 幼児期・学童期の問題3(いじめと被虐待児)
 いじめと被虐待児に関して、心理学的アプローチと医学的アプローチについて理解する。
【第8回】
 幼児期・学童期の問題4(いじめと被虐待児の事例検討)
 ・A類学生は、いじめと被虐待児の実態を調査して発表する。
 ・B類学生は、自験例について問題点を整理して発表し、全体討論の司会をする。
【第9回】
 学童期の問題1(外傷後ストレス障害、適応障害)
 外傷後ストレス障害や適応障害に対する心理学的アプローチと医学的アプローチについて理解する。
【第10回】
 学童期の問題2(友達と遊べない子ども、人前で話せない子ども)
 ・交友関係の確立に障害を認める子どもや、人前で話せない子どもの背景に見られる疾患について理解し、学校での対応方法を学ぶ。
 ・B類学生は、自験例について問題点を整理して発表する。
【第11回】
 学童期の問題3(完全主義、神経質、潔癖症)
 完全主義、神経質、潔癖症などの性格特性について、心理学的アプローチと医学的アプローチについて理解し、学校での対応方法を学ぶ。
【第12回】
 学童期・中学期の問題1(思春期の身体の変化と心のケア)
 思春期の心と身体の変化について医学的知識を身につける。B類学生の経験を授業に取り入れる。
【第13回】
 学童期・中学期の問題2(きれる子、家庭内暴力、自殺企図)
 きれる子、家庭内暴力、自殺企図について、心理学的アプローチと医学的アプローチについて理解する。A・B類学生と分かれてグループを作り、学校での対応について教師が留意し、活動していくべき事柄について協議し、その成果をまとめて発表する。
【第14回】
 長期入院児を取り巻く環境と心のケア
 長期間病院に入院する子どもと、その保護者の精神状況について理解する。また院内学級における子どもの心のケアについて考える。
【第15回】
 家庭、学校・教育委員会と医療現場の協力体制を築く上で教師に求められること
 児童生徒の心のケアにおける、家庭と学校と医療現場の協力体制を築くうえでの問題点を整理し、学校内外での改善策を提案する。