Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

ひとつ前のページへ戻る 教授名で検索

 
問題行動の究明と児童生徒指導計画 田村 順一
選択  2単位
【教職大学院】 17-1-1331-1955-14

1. 授業の概要(ねらい)

 授業は、複数の教員によるティーム・ティーチングの形態で行う。
 春期の「児童生徒の心の理解とケア」の授業を踏襲し、教職の意義、教育の基礎理論を踏まえて問題行動の経緯を究明し理解(児童生徒との対話による内面理解、行動観察に基づく意味的理解、参加観察の質的分析)するとともに、校内あるいは学校外の人的援助資源を活用するために、援助資源、援助チーム構築の可能性、学校組織及び個々の教員が保持している教育相談力を把握するための方法を学ぶ。そして、問題行動に関する校内研修会や事例検討会の展開、包括的事例検討やケースシミュレーションのあり方、心理・健康面への援助、学習や進路への援助、集団適応への援助の諸方法等を通じて、教師の在り方について、理解を深める。
 家族形態の多様化や、学校・学級の固有的特性や、学校教育に関する新しい課題について展望し洞察するための研究視点・方法について理解する。
 教育の基礎理論を踏まえた上で、学校内外の援助・支援資源を探るとともに、家庭・地域の特性及び学校との関係性を把握するために、連携協力校において、児童生徒の生活環境や性格行動・能力等を総合的に把握・理解している状況や生徒指導・教育相談体制等について実地研究(現地調査)を行って、個別的支援や集団への支援、予防的・開発的支援の進め方について理解し、児童生徒理解に基づいた指導計画を立案する。

2.
授業の到達目標

 <A類学生>
  ・児童生徒の内面理解と問題行動との関連を理解するために、困り感の認知構造、環境としての社会的文化的背景・要因を解明し把握するための方法論について教職の意義、教育の基礎理論を踏まえて学ぶとともに実践できる。
 <B類学生>
  ・個別対応の行動支援計画や行動マネジメントを立案するために、個別の特性及び自助資源についての情報収集と、学習面、心理社会面、進路面、健康面、学校社会面を科学的に分析する方法を習得するとともに、児童生徒理解に基づいた生徒指導計画について教職の意義、教育の基礎理論を踏まえて教職員に助言・指導できる。

3.
成績評価の方法および基準

 包括的事例検討、ケースシミュレーション、心理教育的アセスメントについての理解、児童生徒指導及び教育相談に関する指導計画の立案、報告などのプレゼンテーション(40%)を総合し、合わせて資料を読む特レポート課題(60%)にて評価する。

4.
教科書・参考書

 テキスト
  特定のテキストは使用しない。
 参考書
  『教師のための学校教育相談学』(岡田守弘監修 ナカニシヤ出版)
  『学校心理学』(石隈利紀著 誠信書房)
  その他授業で必要に応じて紹介する。

5.
準備学修の内容

 授業で取り上げるテーマについての基本的知識については事前に調べておくこと。

6.
その他履修上の注意事項

 教師の在り方として、それぞれの教育現場で応用できるよう、自分なりの問題意識をもって臨んでほしい。解答は一つではなく、正解が用意されているわけではない。積極的に議論して教員・学生ともに相互に学びあう授業にしたいと思う。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 子どもの問題行動種別による理解と指導(事例検討・協議)1
 ・第1回から第8回は、教職の意義、教育の基礎理論を踏まえて子どもの問題行動の代表的な事例を通して、問題行動の経緯を理解するとともに、対応・指導計画について協議する。第1回から第8回におけるA、B類学生の活動は以下の通となる。
 ・A類学生は、事例について調べ、経緯と理解について報告する。
 ・B類学生は、報告された事例への対応と指導について考察して協議を展開する。
 (1)不登校
【第2回】
 子どもの問題行動種別による理解と指導(事例検討・協議)2
【第3回】
 子どもの問題行動種別による理解と指導(事例検討・協議)3
【第4回】
 子どもの問題行動種別による理解と指導(事例検討・協議)4
【第5回】
 子どもの問題行動種別による理解と指導(事例検討・協議)5
【第6回】
 子どもの問題行動種別による理解と指導(事例検討・協議)6
【第7回】
 子どもの問題行動種別による理解と指導(事例検討・協議)7
【第8回】
 子どもの問題行動種別による理解と指導(事例検討・協議)8
【第9回】
 多様化する家族と心理教育的援助の実際1:家族援助の理論と方法(講義)
 様々な困難を抱える家族、不安を子ども・学校に保護者への心理教育的援助のあり方を理解する。
【第10回】
 子どもの問題行動種別による理解と指導(事例検討・協議)9
【第11回】
 子どもの問題行動種別による理解と指導(事例検討・協議)10
【第12回】
 子どもの問題行動種別による理解と指導(事例検討・協議)11
【第13回】
 学校組織及び家庭との連携、援助資源及びチーム支援の状況を把握して、対応・指導計画の立案を行う。
【第14回】
 児童生徒の問題行動の視点を整理し、対応・指導計画の立案を行う。
【第15回】
 まとめ
 実地研究で得た資料等を整理・分析し、その結果を報告するとともに全体で討議する。