Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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確かな学力の育成と学習指導計画の作成 坂本 和良
必修  2単位
【教職大学院】 17-1-1331-3344-02

1. 授業の概要(ねらい)

 教職、教育の意義、役割等を踏まえ、各教科・領域等において「確かな学力」の内実を究めつつ、授業実践事例などを基にして、指導計画・指導案・授業の在り方を追究し、知見を広め、実践的力量を高め、かつ指導力を育成する。
 特定の教科・単元を事例にして、共同で教材の開発、指導計画・授業案を作成し、授業実践の記録を基にして授業研究の手法を身に付けると共に、授業の実践的力量を高める。

2.
授業の到達目標

 <A類学生>
  ・教職の意義、教育の基礎理論を踏まえ、各教科・領域等において「確かな学力」とは何かを究明し、その育成を目指した学習指導計画・授業案・授業の在り方を理解すると共に、それらを的確に作成・実践していくことができる。
  ・各教科、総合的な学習の時間における教材開発、ICTの活用等について理解を深め、それを実際の指導に生かすことができる。
 <B1類学生>
  ・教職の意義、教育の基礎理論を踏まえ、「確かな学力」について、授業実践を理論的に分析・整理することを通じてより深く明確化するとともに、学習指導を充実するための学習指導計画・授業案・授業の在り方を理解し、その作成や指導に実際に生かしていけると共に、そこで得た専門的に高い知見・技術を基に教員を的確に指導することができる。
  ・各教科、総合的な学習の時間における教材開発、ICTの活用等について理解を深め、それを実際の指導に生かしたり、教員を的確に指導したりできる。
 <B2類学生>
  ・教職の意義、教育の基礎理論を踏まえ、「確かな学力」について、授業実践を理論的に分析・整理することを通じて、より深く明確化するとともに、学習指導を充実するための学習指導計画・授業案・授業の在り方を理解し、その作成や指導に生かしていけると共に、そこで得た知見や技術を基にして校内の教員を指導できる。
  ・教育効果という側面から、各教科、総合的な学習の時間における教材開発、ICTの活用等について理解を深め、それを実際の指導に生かしたり、校内の教員を指導したりできる。

3.
成績評価の方法および基準

 ・レポート(25%)、学習指導計画・指導案の作成(25%)、教材開発への取り組み(25%)、授業中の発表・協議(25%)への態度などに基づいて評価する。

4.
教科書・参考書

 ・特定のテキストは使用しない。
 ・授業の際、資料を適宜配布する。
 ・参考文献は、授業の中で紹介する。

5.
準備学修の内容

 ・子どもにとって本当の「学力」とは何か、どのような「学力」を身に付けることが望ましいのか自分なりの考えをもち、現代の学校教育で行われている授業内容や現代社会の求める「学力観」について調べ、考えをまとめておくこと。

6.
その他履修上の注意事項

 ・自分自身が何をどのように学んできたのか、そしてそのことが今の自分の生活にどのように生きているのかを見つめ直し、子どもにとって「確かな学力」とは何か、共に見つめ直していきましょう。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 「確かな学力」の育成と指導の計画
 「確かな学力」とは何かを追究していく中で自分なりに考えをまとめ、課題意識を高めると共に、「確かな学力」を組織的計画的に高めていく指導の計画・方法、評価方法などについて課題意識を明確にし高める。
【第2回】
 各学校における教育課程の編成①―小学校の事例研究を通して―
 学習指導要領の基準に基づいて、各学校が地域、児童などに応じて、どのように独自に目標を設定し、教育課程を編成していくのか、小学校教員のB類学生の勤務校の事例報告を基にして協議し、理解を深める(学年・教科間の縦横の関係・連携にも留意。第3、4回も同様)。
 B類学生は、特に他校や異校種の違いと連携についての理解と課題意識を高める。
【第3回】
 各学校における教育課程の編成②―中学校の事例研究を通して―
 学習指導要領の基準に基づいて、各学校が地域・生徒などに応じてどのように独自に目標を設定し、教育課程を編成していくのか、B類学生の勤務校の事例報告を基にして協議し、理解を深める。
【第4回】
 各学校における教育課程の編成③―特別支援教育の事例研究を通して―
 学習指導要領の基準に基づいて、各学校・学級が地域、児童・生徒などに応じて、どのように独自に目標を設定し、教育課程を編成していくのか、B類学生の勤務校の事例報告を基にして協議し、理解を深める。
【第5回】
 単元指導計画の立案
 学習指導要領の基準に基づいて、地域、児童・生徒などに応じて、また前年度までの経験を活かして(指導計画は毎年、変化していく)、どのように独自に目標を設定し、指導計画を編成していくのか、実践事例を基に検討して理解を深めると共に、指導計画作成の実践力を高める。その際、教職の意義、教育の基礎理論を踏まえることとする。
 B類学生は、指導計画の作成などについて、教員への指導力を育成する。
 (教材の意義・在り方・開発にも着目。第6、7回も同様)
【第6回】
 単元指導計画の立案と展開
 上記の指導計画事例を基にして、当初の指導計画と実際の展開と相違を、授業記録を基にして検討し、指導計画の性格の理解を深めると共に、指導計画作成の実践力を高める。
【第7回】
 学級ごとに異なる単元指導計画・授業案の立案
 学習指導要領の基準に基づいて、地域、児童などに応じて、また前年度までの経験を活かして、独自に学年で単元目標を設定し指導計画を編成しても、学級の状況・課題、教師の教育観などによって異なってくる。同一単元の、異なる2学級の指導計画・授業展開の事例を基にして検討し、指導計画の性格の理解を深めると共に、指導計画作成の実践力を高める。
 B類学生は、指導計画・授業案の作成、授業記録の分析の指導力を育成する。(第8、9回も同様)
【第8回】
 学級ごとに異なる単元指導計画・授業案の立案と展開
 上記の2学級の指導計画・指導案・授業の展開の違いを、授業記録を基にして検討し、指導計画・授業案の在り方についての理解を深めると共に、指導計画・授業案作成の実践力を高める。
【第9回】
 個に即する指導計画・授業案の作成とその指導
 児童・生徒一人ひとりの個性・課題に留意してどう指導計画・指導案を作成し、授業を進めていくか。上記の指導計画・指導案と授業記録を基にして検討し、児童一人ひとりを生かすとはどういうことで、そのための手立てを指導計画・授業案作成の視点から理解を深め、実践力を高める。(評価の在り方にも着目)
【第10回】
 中学校における指導計画・授業案の立案―中学校の事例研究を通して―
 学習指導要領の基準に基づいて、地域・児童などに応じてどのように独自に目標を設定し、教育課程を編成していくのか、中学校教員のB類学生の勤務校の事例報告を基にして協議し、理解を深める(学年・教科間の縦横の関係・連携にも留意)。
【第11回】
 指導計画・授業案の作成と検討(第11~13回の実施時期は変更されることもある)
 付属小学校で参観する授業について指導計画・授業案を各自作成し、グループで討議し、その作成の力量を高めると共に、授業を共同で記録する力を育成する。
 B類学生は、授業研究を進める指導力を育成する。(第12、13回も同様)
【第12回】
 付属小学校の授業の参観と記録の作成
 付属小学校の授業を参観し、分担して授業記録(抽出児も含む)を作成する力を育成する。
【第13回】
 授業記録の分析と評価
 付属小学校の授業を分析することを通じて、指導計画・授業案作成、発問・板書の在り方を理解し、その技能を獲得するだけではなく、授業研究の方法、評価の視点・方法についての理解と技能を高める。
【第14回】
 ICT機器を活用した教材開発の動向
 児童生徒の調べ学習などにおけるインターネット、デジタルボード、デジタル教科書など、ICT機器を活用した教育の動向とその利用の有効性、課題について理解を深める。
【第15回】
 ICT機器を活用した指導の方法・留意点―授業記録による事例研究を通して―
 ICT機器を利用した授業記録を分析していくことによって、その意義、活用の方法、留意点を理解し、授業実践力を高める。