Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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肢体不自由教育授業研究 石川 政孝
選択  2単位
【教職大学院】 17-1-1333-1832-04

1. 授業の概要(ねらい)

 肢体不自由児や重複障害児の生育歴・知的発達・社会性の発達など、個々の児童生徒の実態把握と教育的ニーズに応じた個別の指導計画の具体的な作成方法、また、これに基づく指導についての理解を深め、各教科等の授業の展開や方法などについての研究を行い、実践的な力量を高める。特に、学校見学・レポート・発表・協議を中心として進める。
 A類学生は、肢体不自由と重複する児童生徒の的確な実態把握の観点と方法を学び、個別の指導計画が作成できるようにする。
 B類学生は、肢体不自由と重複する児童生徒の的確な実態把握の観点と方法を学び、個別の指導計画が作成できるようにするとともに、指導計画の作成や指導上の配慮などについて検討し、指導助言できるようにする。

2.
授業の到達目標

 ・一人一人の幼児・児童・生徒の障害の状態や学習状況を把握し、活力のある授業を進めるために必要な知識技能を習得する。
 <A類学生>
  ・特別支援学校(肢体不自由)に在籍する肢体不自由児や重複障害児の実態把握と個別の指導計画、実際的な指導を知り、適切な指導内容の選択や指導方法・教材の開発などができるようになる。
 <B類学生>
  ・特別支援学校(肢体不自由)に在籍する肢体不自由児や重複障害児の実態把握と個別の指導計画、実際的な指導を知り、これらの分析を通して適切な指導内容の選択や指導方法・教材の開発などについて指導・助言できるようになる。

3.
成績評価の方法および基準

 演習やグループワーク・発表など70%、レポート30%の割合で評価する。

4.
教科書・参考書

 テキスト
  特定のテキストは使用しない。
 参考書
  筑波大学附属桐が丘特別支援学校(2008)『肢体不自由教育の理念と実践』 ジアース教育新社
  全国肢体不自由養護学校長会編(2005)『肢体不自由教育実践講座』 ジアース教育新社
  国立特殊教育総合研究所編(2006)『肢体不自由のある子どもの自立活動ガイドブック』 ジアース教育新社
  文部科学省(1992)『肢体不自由児のコミュニケーションの指導』 日本肢体不自由児協会
  文部科学省(1994)『肢体不自由児の養護・訓練の指導』 日本肢体不自由児協会

5.
準備学修の内容

 肢体不自由教育における教育実践に関する文献や研究論文等に多く触れること。

6.
その他履修上の注意事項

 <A類学生>
  特別支援学校(肢体不自由)の学校公開や学校行事などの機会に学校見学を行うなど、肢体不自由のある児童生徒の指導場面を積極的に知ってほしい。
 <B類学生>
  特別支援学校(肢体不自由)において肢体不自由のある児童生徒の指導場面を参観し、個に応じた指導方法や指導内容あるいは教材教具の開発などについて実践的な所見を多く収集してほしい。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 オリエンテーション
 ①授業計画
 ②文献資料収集方法や活用、授業研究の方法の概要を学ぶ
【第2回】
 実態把握と個別の指導計画①(講義・協議)
 ・生育状況・医療歴について、適切な実態把握の観点や方法を学ぶ。
 ・A類学生は、生育状況や医療歴の観点、聴き取りなどの方法・留意点などについて知る。
 ・B類学生は、これまでの実態把握の方法などの問題点から、留意事項などを検討し、的確な実態把握の方法を協議し、学ぶ。
【第3回】
 実態把握と個別の指導計画②(講義・協議)
 ・知的発達・学習状況について、適切な実態把握の観点や具体的方法を学ぶ。
 ・A類学生は、知的発達や学習状況の観点、検査や観察などの方法・留意点などについて知る。
 ・B類学生は、これまでの実態把握の方法などの問題点から、留意事項などを検討し、的確な実態把握の方法を協議し、学ぶ。
【第4回】
 実態把握と個別の指導計画③(講義・協議)
 ・運動機能の発達について、適切な実態把握の観点や具体的方法を学ぶ。
 ・A類学生は、運動機能の発達についての観点、検査や観察などの方法・留意点などについて知る。
 ・B類学生は、これまでの実態把握の方法などの問題点から、留意事項などを検討し、的確な実態把握の方法を検討し、学ぶ。
【第5回】
 実態把握と個別の指導計画④(講義・演習)
 ・社会性の発達についての適切な実態把握の観点や具体的方法について学ぶ。
 ・A類学生は、社会性の発達についての観点、検査や行動観察など把握の方法・留意点などについて知る。
 ・B類学生は、これまでの実態把握の方法などの問題点から、留意事項などを検討し、的確な実態把握の方法を検討し、学ぶ。
【第6回】
 実態把握と個別の指導計画⑤(講義・演習)
 ・実態把握に基づく課題の設定と個別の指導計画の作成の方法について学ぶ。
 ・A類学生は、実態把握の事例から、課題の明確化、個別の指導計画の作成と保護者との連携などについて知る。
 ・B類学生は、実態把握の事例から、課題の明確化を図り、個別の指導計画の作成と保護者との連携などの課題の解決方法などを学ぶ。
【第7回】
 自立活動の指導①(授業見学)
 特別支援学校(肢体不自由)の自立活動の授業見学を通して、個別の指導計画との関連を学ぶ。
【第8回】
 自立活動の指導②(講義・協議)
 ・自立活動における指導法の1つである動作法について、基本的事項を学ぶ。
 ・A類学生は、動作法の基本的事項を知る。
 ・B類学生は、これまでの指導事例を通して、動作法の指導の留意事項などを確認する。
【第9回】
 自立活動の指導③(講義・演習)
 自立活動における指導法の1つである動作法について、指導技法を学ぶ。
【第10回】
 各教科等の指導①(演習)
 ・重複障害児の各教科等の指導法について実際を学び、指導計画との関連を把握する。
 ・A類学生は、個別の指導計画を基にした各教科等の指導計画の作成を知る。
 ・B類学生は、個別の指導計画を基にした各教科等の指導計画の作成と実際を踏まえて、改善点を学ぶ。
【第11回】
 各教科等の指導②(演習)
 ・重複障害児の各教科等の指導法について評価し、指導計画との関連や授業方法の改善を検討する。
 ・A類学生は、各教科等の指導計画について指導案を検討し、指導法・授業の改善の視点や方法を知る。
 ・B類学生は、各教科等の指導計画について指導案を検討し、指導法・授業の改善の視点や具体的な方法を検討し、助言の内容や方法を学ぶ。
【第12回】
 各教科等の指導③(学校見学)
 ・学校見学を通して、肢体不自由児や重複障害児のための教材教具の開発の観点や方法を知る。
 ・A類学生は、学校における実際の指導と教材教具の開発の視点を知る。
 ・B類学生は、学校見学を通して、教材教具の開発の知見を広げる。
【第13回】
 各教科等の指導(演習)
 ・事例を通して肢体不自由児や重複障害児のための教材教具の開発を試行する。
 ・AとBの混合によるグループを編成し、事例から教材教具の開発の視点・方法を学び、開発を検討する。
【第14回】
 各教科等の指導(発表・協議)
 肢体不自由児や重複障害児のために開発した教材教具の発表を行い、指導法と合わせて望ましい開発の方法を学ぶ。
【第15回】
 まとめ
 ・A類学生は、肢体不自由や重複障害児の指導計画の作成と評価・改善についての基本事項をまとめる。
 ・B類学生は、肢体不自由や重複障害児の指導計画の作成と評価・改善について検討し、望ましい指導・助言のあり方を学ぶ。