Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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多文化教育 中山 京子
選択必修  2単位
【教育文化】 17-1-1333-2710-11

1. 授業の概要(ねらい)

 グローバル社会の進展によって、教室の児童生徒の多様化が進み、教育の課題として多文化共生教育の必要性が指摘されてきた。多文化教育は教育改革運動であり、改革の視点として多様な文化変数は社会階層、エスニシティ、人種、言語、ディスアビリティ、宗教、ジェンダー、性的指向性などがある。異文化を背景にもつ子どもたちが集まる学校において、現在求められている教育の一つが多文化(共生)教育である。多様な人々が集まることによって生じる軋轢や葛藤に対して、相手を尊重し共生する資質が求められている。
 そこで本科目では、多文化(共生)教育の概念や歴史、具体的な実践事例を学び、国際化やグローバル化の進展とともに国際化・多文化化がすすむ学校教育における多文化(共生)教育の可能性を考える。

2.
授業の到達目標

 ・多文化(共生)教育の歴史について理解し、説明することができる。
 ・内外の多文化学校の取り組みを知り、可能性と課題を考えることができる。
 ・多文化教育の実際について理解し、説明することができる。
 ・多文化教育教材を作成することができる。
 以上を通して、多文化(共生)教育について自分の考えを表現することを目指す。

3.
成績評価の方法および基準

 平常点(コメントカード、提出物)30%、テスト70%

4.
教科書・参考書

 参考文献:松尾 知明著『多文化教育がわかる事典』明石書店、2013年。

5.
準備学修の内容

 多文化マップなど作成のための調査と作成作業を授業時間外に求める予定です。

6.
その他履修上の注意事項

 関連領域にして学ぶ科目「国際社会と教育」を履修することを求めます。教育と文化理解、多文化事象に関する興味をもって受講してください。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 オリエンテーション:多文化教育とは何か。
【第2回】
 多文化教育への道標:私たちの肌の色は何色か。肌の色を示すことの課題は何か考える。
【第3回】
 多文化教育の歴史:多文化教育がアメリカの公民権運動から始まり、多文化国家(移民国家)において発展してきたことを学ぶ。
【第4回】
 多文化教育の事例と教員養成(アメリカを事例に):初期実践として「青い目茶色い目」をとりあげ、多文化教育は本来極めて実践的な教育改革んどうであることを理解する。
【第5回】
 多文化教育の事例と教員養成(オーストラリアを事例に):移民国家であり、多様性とハーモニーをどのように掲げ、授業実践をしているのかを学ぶ。
【第6回】
 日本の多文化教育の歴史:日本の多文化教育は人権教育、在日外国人に関する教育から発展してきた独自の歴史があることを理解する。
【第7回】
 多文化学校とは?海外の事例として、アメリカなどの学校の取り組みを学ぶ。
【第8回】
 多文化学校とは?日本の事例として、入学児童の半数が外国につながる子どもである学校の事例を学ぶ。
【第9回】
 多文化保育の取り組み:絵本の活用など、保育場面での多文化教育実践の事例を学ぶ。
【第10回】
 多文化教育と先住民:地域のアイヌの人々との信頼関係の上に発展させてきたアイヌ文化学習を取り上げる。
【第11回】
 教材をつくろう1:多文化マップをつくるために、地域を調査し、多文化的要素が社会にはふんだんにあることに気づく。
【第12回】
 教材をつくろう2:多文化マップを相互に評価し、多文化的要素が社会には豊かにあり、それらをみつめる「まなざし」について考える。
【第13回】
 多文化カリキュラムを描く:教科化されていない多文化教育を日本の学校で展開するための方法を考える。
【第14回】
 多文化教師の資質:多文化教育を推進する教師の資質能力について論考する。
【第15回】
 ふりかえり―多文化教育についての自分の考えを論じる―