Web Syllabus(講義概要)

平成29年度

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ライフサイエンス I 臼田 秀明
【Ⅶ】  2単位
【Ⅶ 地球環境と生命科学を学ぶ】 17-1-1334-0080-01

1. 授業の概要(ねらい)

 21世紀は、私たちが引継いだ恵まれた地球を次世代にバトンタッチできるような『持続可能な発展』を遂げる暮らしをしなければならない。そのためにはわれわれは『環境といのち』の仕組みを理解しなければならない。
 このライフサイエンスの授業では、生命の仕組みと最先端の生命に関したことがら(ゲノム・ゲノム編集・iPS細胞・遺伝子組み換え作物)などについて理解を深めてもらうことと、もくもくと頑張って働き続けている『肝臓』を例にとり文系の方にも分かって貰える世にと言われている。それはためには20世紀の後半に経済が多くの歪みを伴いながらかつてないほど急速な成長を遂げたことにより『環境といのち』が危うくなったことを反省している為である。現在世代の暮らしは将来世代の取り分まで使いながら、あるいは地球にその環境収容力以上の負担を掛けることによって成り立っている。
 『持続可能な発展』という方向性が示されてから40年が経つが、グローバル化・肥大化・細分化する現状のもと、格差のある先進国・新興国・発展途上国の個人は全体を見通すことが出来ず、21世紀を豊かな『環境といのちの世紀』することは混迷を深めている。
 例えば、福島の原発の事故も想定する範囲を限定し、全体を捉ええることをせずに我々が無定見に“安全神話”を受け入れたことが大きく作用した。このように物事を見通すことは簡単ではない。
 このような現状を考えると、我々は新たな世界観・価値観を構築し21世紀の地球のあるべき姿のビジョンを描くことが重要であることが分かる。
 この授業では『地球といのち』の成り立ちを考えることを一つの軸として、風土・伝統・文化を異にする世界の人々が通底してもてる世界観・価値観を探り、我々が直面しているグローバルな問題にも立ち向かう方途を考えたい。
 具体的な内容は主に以下の三つのテーマである。①先ず、なぜ今『環境といのち』を考えなければいけないかの現状の分析を行う(1-3回)。②次に137億年前にビッグ・バンにより始まった宇宙の中で46億年前に誕生した地球がどのように変遷したかをまとめる。そして大きく変わる地球環境の中でどのように生命が40億年前に誕生し、連綿といのちのリレーを行ってきたか、またその間にどのように生物の多様性が増えていったのかなどをまとめる(4-10回)。③最後に、いのちがどのような仕組みで生き永らえて来たのかを、呼吸・光合成の機構あるいは生物の複製などを通じて大きく"理科的"に捉える。このような理解は“文系”“理系”にかかわらず21世紀を生きる者にとっては必要なことである。特に教育にかかわる者にとっては、ヒトのゲノムとかiPS細胞など最近の成果についても学んでおくことは欠かせない(11-15回)。別の講義『人の暮らしと環境』では、700万年前に新たに地球の生態系に加わった猿人を祖先に持つ我々人類がどのように発展してきたかを振り返り、地球史46億年の全体を概観し『環境といのちの世紀』の大きなビジョンを考える。
 受講者の人数により授業の形態を変える予定であるが、積極的な発言・参加を期待している。

2.
授業の到達目標

 いのちの成り立ちを理解する「ライフサイエンス」の視点から『持続可能な発展』を実現する視点を構築する。

3.
成績評価の方法および基準

 15回目の授業中にあらかじめ与えられたテーマに関して資料を持ち込み論述する試験を行う(60%)。加えて毎回の小コメント(40%)により評価する。

4.
教科書・参考書

 テキスト:プリントで配布する。
 参考文献:
  ①臼田 秀明『知は地球を救う』1.はじめに ―豊かな生命と環境の世紀をめざして― 帝京大学文学部教育学科紀要 34:97−104(2009)
http://appsv.main.teikyo-u.ac.jp/tosho/husuda1_34.pdf
  ②臼田 秀明『知は地球を救う』5.我々の暮らしと地球への負荷 ―目を閉じて全体を静かに心で見てみよう― 帝京大学文学部教育学科紀要 37:161−260(2012)
http://appsv.main.teikyo-u.ac.jp/tosho/tos4-5.html#37
  ③臼田 秀明『知は地球を救う』6.宇宙の誕生と進化 ―太陽・地球・生命はビッグ バン・燃える星・爆発する星の内部でつくられた元素から出来ている― 帝京大学教育学部紀要 1:143-207(2013)
https://appsv.main.teikyo-u.ac.jp/tosho/kyoiku-38-13.pdf 
  ④臼田 秀明『知は地球を救う』7.地球・生命の誕生とその後の変容 -われわれはどこから来て、どこに向かおうとしているのだろうか- 帝京大学教育学部紀要2:1-107(2014)
https://appsv.main.teikyo-u.ac.jp/tosho/kyoikugaku2-01.pdf
  ⑤臼田 秀明『知は地球を救う』2.人類の進化700万年 ―予断に捉われないことの難しさ― 帝京大学文学部教育学科紀要 34:105−144(2009)
http://appsv.main.teikyo-u.ac.jp/tosho/husuda2_34.pdf 上記のものは帝京大学のホームページのLMSからダウンロード可能。初回の授業で説明します。

5.
準備学修の内容

 教科書、参考文献を読んでおくこと。

6.
その他履修上の注意事項

 皆さんの親の世代から、皆さんへ、我々の地球に住む全ての人が直面する環境問題について、生命・生態を考える立場からのメッセージを伝えることが目的である。知識を覚えるよりは、皆さんの“自分流の”地球・生命観を作って貰い、皆さんの子どもたちにも、他の生物と共存するような地球をつくるために行動してもらうことを願っている。

7.
各回の授業内容
【第1回】
 ガイダンス・なぜ今『ライフ・サイエンス』なのか?あなたの体の中で黙々と働いている肝臓についてのビデオを鑑賞し、生命のパワーを感じる。
【第2回】
 急速な経済成長とその歪みの現状の分析(1)
【第3回】
 急速な経済成長とその歪みの現状の分析(2)
【第4回】
 急速な経済成長とその歪みの現状の分析(3)
【第5回】
 急速な経済成長とその歪みの現状の分析(4)
【第6回】
 宇宙・地球・の誕生:あなたの体にある水素は137億年前のビック・バンの直後に出来たもの、今あなたの体で今酸素脳に運んでいるヘモグロビンに含まれる鉄はどこかものであることなどを例として元素はどこでどうやって出来たかを知る。その上で、物質の成り立ちについて理解する。
【第7回】
 生命とは、なぜ子は親に似るのか
【第8回】
 遺伝を司るDNAとは
【第9回】
 タンパク質とは
【第10回】
 ビタミン・ホルモンとは
【第11回】
 炭水化物 ご飯を食べると元気が出るのは
【第12回】
 生命の不思議:光合成とは
【第13回】
 C4植物とは
【第14回】
 iPS細胞とは
【第15回】
 まとめ及びあらかじめ与えられたテーマに関して資料を持ち込み論述する試験を行う