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授業の概要(ねらい) |
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この地方史研究Ⅰという授業は、さまざまな地方、あるいは地域として認識され区分される、それぞれの個性を持つ一定の範囲の土地についての、場所ごとに積み重ねられてきた歴史や地理的特質、文化的差異などの諸相を講義していくものである。 地方・地域とはいろいろな定義が考えられるが、この講義では担当教員が実際に現地に足を運び、一部であってもその現場の風景や風土・生活・文化などを実見してきた場所を題材として取り上げ、一時間ごとに一つの地方・地域に関して説明していくという方式で進めていく。
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2. |
授業の到達目標 |
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各地方・地域の歴史や地理の様相につき、いろいろな視点から事例をあげつつ分析・説明し、その実態を知るという趣旨の授業なので、受講学生がそれら授業で取り上げられた、あるいは自らの居住している地方・地域の知識・知見を得ることができるものとする。またそれを基礎として、学生が専攻分野の演習や卒業論文などに対応する際に、その題材や構想を立てる手がかりを得ることが可能となるようにすることを目標とする。
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3. |
成績評価の方法および基準 |
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出席は成績評価の前提となる必要条件である。それを満たした上で、前期授業の最後に実施する試験の解答内容を勘案して、成績を評価する。
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4. |
教科書・参考書 |
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テキストは使用しない。必要な各地方・地域の情報を掲載したプリントを担当教員が作成して、毎時間それを学生に配布する。 参考書としては、各都道府県ごとに一冊本としてその地域の歴史が説明されている『県史シリーズ』(山川出版社、全47巻)が適切なものである。
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5. |
準備学修の内容 |
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受講学生はそれぞれ自分が興味を持っている地方や、また居住している地域の歴史・地理などにつき、関係書籍を各自読んでいくことが望ましい。それは上記の県史シリーズや、あるいは各都道府県・市町村が発行している自治体史がよいと考える。 さらにこの授業には、説明を聞く都合上地理的な知識を持っていることが不可欠なので、普段から地図を見る、旅行して現地を見るといった形で、それを深めておくこと。
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6. |
その他履修上の注意事項 |
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特定の地方・地域史に関する卒業論文を書こうとしている学生には有益な授業なので、積極的な参加を期待する。 また下の授業内容はあくまで予定であり、状況によって変更されることがあるので、承知しておいてもらいたい。
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7. |
各回の授業内容 |
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【第1回】 | ガイダンス。講義の方針などについて説明する。基本的なことは上の説明に尽きるので、初回から講義をしていく。初回は会津地方について。 | 【第2回】 | 以下順次各地方・地域の講義。出雲地方について。 | 【第3回】 | 江戸・東京、その一。古代・中世の江戸、都市化以前の状況。 | 【第4回】 | 江戸・東京、その二。近世、都市化された江戸。そして近代の東京に関して。 | 【第5回】 | 隠岐諸島。日本海の中継地として、流刑地として。 | 【第6回】 | 沖縄本島。琉球独自の歴史と文化。 | 【第7回】 | 甲斐・山梨。武田信玄を出した山国と盆地の性格。 | 【第8回】 | 鎌倉。東国の武家政権の首都なったのはなぜか。 | 【第9回】 | 川越。関東平野の中央、歴史的な位置付け。 | 【第10回】 | 吉備地方について。古代の独自性、中世の生産性。 | 【第11回】 | 京都、その一。やはり歴史と文化の堆積地、語ることはいろいろある。古代から中世。 | 【第12回】 | 京都、その二。近世から近代。 | 【第13回】 | 熊野地方について。補陀落渡海の出発地。 | 【第14回】 | 堺、自治都市。また古墳地域・交易都市。 | 【第15回】 | 以上のまとめと試験。 |
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